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取り憑かれて  作者: 恵 家里
第四幕 習慣と執着
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第二話 前編

本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。


○詩を読むように読んでいただきたい

○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい


このような勝手な願望からです

一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。

 僕と悠が酔っぱらい始めた頃、葵はお風呂に行く

 で、上がって来る頃には、僕らは仲良くソファで寝てるんだ


 湯上がり姿の葵なんて、そりゃあ色っぽいんだろうけど、残念ながらその姿を、僕と悠は未だに拝めていない

 この日も、大魔道士アールコールによって召喚された、睡魔の特殊攻撃によって、僕と悠は見事に戦闘不能

 でもそれは同時に、幸せ夢見タイムのスタートでもある

 葵が浴衣姿とビキニ姿を、そりゃあ恥ずかしそうにお披露目してくれて、僕はダメージマイナス三〇〇

 夢の中で、文字通りふわふわと浮足立った

 僧侶戦士、瞬に強制レ◯ズをかけられるまでは


 おら、布団行くぞ

 起きろ


 戦闘不能状態から、復活させられたゲームキャラってこんな気持ちなのかな

 無理やり現実に引き戻される、陰鬱とした億劫さ

 どうせ復活させるなら、ア◯イズかザオ◯クかけてほしい

 もしくは即ケ◯ルガかベ◯マ


 催眠術にかかった人みたいに、フラフラと隣接した和室に向かい、左側の布団に倒れ込む

 隣に悠、さらにその隣に瞬

 すぐに睡魔の攻撃が再来

 戦闘不能

 そのまま朝まで


 突如、懐かしい香りに鼻をくすぐられる

 その正体を突き止めようとした瞬間、目が開き、自分が寝ていたことに気付く


 暫く呆けて、自分の状況を確認

 葵の家

 昨日はゲッショクパーティ

 時間は七時前

 今日は、


 月曜日

 ヤバい、学校行かなきゃ


 完全に学生のそれと同じ

 引き戸を開けると、既に悠と瞬はテーブルに座っていて、コーヒーを飲みながら、スマホで新聞や今日のスケジュールをチェックしている


 おはよう、春樹さん


 キッチンで朝ご飯の準備をしている葵が、いち早く僕に気付く

 そして、僕の焦りや憂鬱をなかったことにしてくれるような挨拶と笑顔をくれた


 おはよーとお互いに挨拶し合って席に着くと、目の前にカフェオレか置かれる

 温めた牛乳に黒糖とはちみつ、落としたてのコーヒーが入った僕専用のカフェオレ

 飲みすぎた時に出してくれる、コーヒーにココアと黒糖を入れたのも好きだ


 カフェオレをすすっていると、それぞれの席に朝食が置かれていく

 夜は大皿で出てくるが、朝食は一人分ずつ盛られて出てくる

 今日はサンドイッチだ

 部屋中に漂う香ばしいいい香りは、ホームベーカリーからのものだった

 いただきますと三人で声と手をを合わせた後、夢中になって食べる

 市販のサンドイッチの倍近い厚さと、ふわふわ加減

 それに挟まるハムやチーズやレタス、マヨネーズとマスタードの加減がちょうどいい

 感動している内にミネストローネとツナサラダ、焼き立てのオムレツが目の前に並ぶ


 んまーーーー


 旅館にでも行かない限り、こんな贅沢は味わえない、それが最低月一で叶ってしまうという贅沢


 朝食が終わった順に顔を洗って歯を磨き、ジャージに着替える

 小学校教員の正装はジャージだ

 他の二人はサラリーマンらしくスーツ

 ゲッショクパーティーが日曜開催の時は、仕事着を携帯して、葵の家から出勤できるようにしている

 私服の着替えや寝間着は一式、葵の家に置いてある

 最初こそ、洗ってもらうことに気兼ねしたけど、今ではお風呂に入る時、普通に洗濯かごに服を脱ぎ捨てている自分がいるから、習慣ってコワイ


 八時前

 玄関で三人揃って靴を履く


 いってらっしゃい


 現実離れした美しい笑顔に見送られて、男三人は各々言葉を返して出勤していく

 僕と瞬は徒歩で、悠は車で

 普段、瞬は車で通勤しているんだけど、葵の家からは歩いたほうが早い

 帰りは両親にお迎えを頼んだり、バスを使ったりするようだ

 車の悠に手を振って、途中まで瞬と並んで歩き、交差点で別れる

 ここからはまた、それぞれの日常


 社会人の一ヶ月は早い

 新年度が始まって、新しいクラスの子どもたちに藤沢先生、と呼ばれるのにも慣れた頃、ゴールデンウイークを挟んで運動会、宿泊学習、授業参観、教育実習生の受け入れ、夏休みまでに消化しなければならない学習内容、テストの丸付け、連絡帳のチェック、学級通信や学年通信の発行、保護者への対応、いくら片付けてもなくならない提出書類の数々

 そんな中でも、週末は誰かと会って飲んで、ゲッショクパーティもしっかり開催された


 大雨後の増水した川のように、あっという間に時間は流れ、気温は瞬く間に上昇

 夏本番はまだ先だというのに、既にエアコンと扇風機はフル稼働

 エアコンたちと一緒になって、オーバーワークに悲鳴を上げる日々


 汗と疲労と、

 子どもたちのガヤにまみれながら


 七月四日は、やってきた

本作品では、挿絵並びに登場人物の肖像、ストーリーの漫画などを描いていただける方を募集致しております。プロアマ不問

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