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取り憑かれて  作者: 恵 家里
第四幕 習慣と執着
32/371

第一話 前編

本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。


○詩を読むように読んでいただきたい

○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい


このような勝手な願望からです

一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。

 来週末にゲッショクパーティ開催予定です

 日曜が一番都合良いだけど、みんなはどうかな?


 四人のトークルームに、葵からメッセージが入る

 待ってましたとばかりに、オレはすぐに返信した


 オッケー

 いつもどーりな感じで、おねげーしまーす


 で、欠かしちゃいけないぶさぴよちゃん

 他の二人からも、了解のメッセージやスタンプが送信される

 ゲッショクパーティとは、毎月一度開催されるオレたちの定例行事

 葵が先生してる料理教室の、次回予告用と試作を兼ねて作るメニューを、オレたちで酒持ち寄って食おうっていうお馴染みの企画だ

 名前は葵が決めた

 第二回目の開催時に、試食会とかじゃ味気ないから何か名前付けようって


 毎()やる試()会でゲッショク


 それに、月食ってのは昔から、何かこの世とは思えない、畏怖や恐怖の象徴みたいな、オカルト好きには堪らない現象って相場が決まっている

 次の開催が第一三回目

 オレが地元に帰ってきて、葵と出会って、一年が経過した

 四人とも、仕事の都合が合わなくて、しょっちゅう四人揃うなんてことはなかったけど、このゲッショクパーティだけは、誰かが欠けることなく、必ず毎月開催された


 オレはほぼ毎週末、肝試しだ宅飲みだママの店だ誘っては、四人で、多くは三人で、昔からほぼ確実に捕まる瞬と二人で、いろんなことを見て、聞いて、話して、やっぱり取り憑かれて、笑った


 離れていた四年間を埋めるように、四人のこれからがずっと続くように

 葵が、オレたちといることを、当たり前の習慣と思えるように


 まぁこのオレの、まめまめしさを嫉妬するやつらは、オレを暇人呼ばわりしたり、だからお金が貯まらないんだよ、とか頼んでもないことを言ってくるわけだけど


 葵自身の話も、この一年でたくさん聞けた

 葵の話の全ては驚愕と感心、そして疑問と衝撃の連続だった

 まず、葵に取り憑いている守護霊は、びび(・・)ちゃんとぜん(・・)だけではない

 総勢二九

 単位は人、なのか、体、なのかよく分からない

 想像を遥かに超える数過ぎて、よく分からない


 葵が新たに守護霊を宿す時は、向こうの方から葵ん中にいたいって言ってくるそうだ

 気持ちはすげー分かる

 で、来るもの拒まずで、現在まででコツコツと増えていったようだ

 葵は、守護霊全員に名前を付けている

 生前の話を聞いて、それに因んだものを付けることもあれば、全く別の名前をインスピレーションで付けることもあるらしい

 名前は、分かりやすく呼びやすく親しみやすいものを、という葵なりのこだわりがあるようで、そのセンスは抜群、と本人は思っているようだ

 が、真に遺憾であることに、オレたちの全体評価は芳しくない



 もも(・・)


 一〇歳位の少女

 理屈は分からないが、あっちの世界の時間の流れを制御できるらしい

 よく神隠しとかで起こる、浦島太郎現象が任意でできるという

 葵が霊たちと話す時はいつも何時間、何日と長話をしているんだけど、もも(・・)の力で、その時間はこっちの世界の数秒間で収まっている

 ぜん(・・)は双子の弟、双子が忌み嫌われる時代に生まれた

 一度は母親に守られて、その命と引換えに生きながらえたみたいなんだけど、発狂した父が神の力を得る儀式やら何かをしたとかで、それによって姉弟もろとも殺されてしまったっていう、何ともひでー話

 その因果でか、もも(・・)ぜん(・・)は死ぬと同時にそれぞれ神の力を得たらしい

 もも(・・)は時間を制御する力、ぜん(・・)は本質を見る力

 二人を取り巻く怨念や邪念、恐らく父親が犯した罪とその反動みたいなのが、全部ごちゃごちゃに混ざって、それがまた二人の力を強くしてしまった

 消えることもできずに、この世で、悠久の時間を彷徨い続けていたらしい

 死んでも死にきれないとは、この姉弟の場合、比喩でも何でもない



 ぜん(・・)


 一〇歳位の少年

 人や物の本質、真の姿を見ることができる

 姉のもも(・・)とともに父に殺され、神の力を得た

 もも(・・)ぜん(・・)も、葵を母のように敬愛しているのが分かる

 きっと彷徨っていた二人を救ったのが葵で、そこにはきっとすげードラマがあったんだろうな、と勝手に想像ムフフしてる

 ぜん(・・)は葵を喜ばせたくて神の力をこっちの世界で使ってしまう

 それが原因で、葵は恋人との関係が悪化して、精神を病み、ぜん(・・)を責めちまう

 このことを葵はずっと後悔してるようだ

 オレがある時、持ってきた曰く付きの御札

 ぜん(・・)は、それに書かれていることから、それが収められている場所、更には何をすれば良いかまで教えてくれた

 ってか、正確にはイエスノーの質問に首振って答えてただけなんだけど、オレ、感動しちまって


 おめーすっげーな

 もも(・・)の後くっついてくだけかと思ってたら、すげー特技持ってんじゃん


 って、いつもの調子でぜん(・・)に言ったら、何かすげー喜んでもらったみたいで、以来、ぜん(・・)は出てくたびに、オレの周りをチョロつくことが多くなった



 びび(・・)


 白い大蛇

 一番最初に葵に取り憑いた、元山の神、らしい

 葵が生まれ育った田舎の山が、形成された頃にうまれたらしいが、葵と遊ぶのが余程楽しかったのか、葵に取り憑いてでもついて行くようになり、取り憑き時間がどんどん長くなり、現在では取り憑きっぱなし状態になったっつー

 大抵の悪霊やら怨霊やらは、びび(・・)ちゃんの一睨みで退散する

 ちなみに大蛇、ウワバミは大酒飲みの意味もあって、酒好きの葵にはピッタリだと瞬に言われているが、オレはびび(・・)ちゃんのせいで酒好きになったんじゃねーのか、とも思う



 ぎん(・・)


 白銀の狐

 四〇歳位のスラリとした美しい女性の姿になることもある

 元は狐だったんたけど、同時期に非業の死を遂げた人間の霊と混ざり合っちゃってるとか

 春樹がいたくお気に入りなようで、狐の姿で首にまとわりついたり、人間の姿で頭を撫でたりしては春樹を照れさせている

 大学ん時の自殺の名所の崖で、オレに取り憑いて春樹を助けたのは、ぎん(・・)だったんじゃねーかなーって勝手に思ってる



 りゅう(・・・)


 真紅の竜

 元は人間の男性だったが、りゅう(・・・)と呼ばれているうちに本当に竜になってしまったっつー

 自由過ぎんだろ

 普段は丸くなって寝てばかりらしいが、やる時はやるやつ、らしい



 いと(・・)


 黄金色の蜘蛛

 人にも人でないものにも使用可能な粘性の強い糸を出せるらしい

 葵の頬がお気に入りの場所のようで、オレが葵に抱きつくと現れて、人が大げさに飛び退くのを見て笑ってる、悪趣味なやつだ



 しろ(・・)


 灰色の鴉

 元は白かったが、悪霊などをついばむたびに徐々に黒みを増しているようだ

 そのうち黒いのに、しろ(・・)と呼ばなければならない事態になることを葵は危惧している

 細かな情報収集はできないが、行動範囲が広い

 元恋人や変な奴らが辺りをうろついていないか、あの事件の後、暫く偵察してくれてたらしいが、ちゃんと見分けられるのは霊だけみたいなので、意味があったかどうかは謎



 かい(・・)


 山吹色の蝦夷鹿

 葵がエゾシカをトナカイと勘違いしたため、この名前になった

 いや、トナカイだとしても、その名前はどうかと思うけど

 脚力に優れ、足場の悪い所でも俊敏に駆けることができるので、帰りが遅くなった夜、憑依させて凄まじい速さで帰宅するらしい



 きね(・・)


 桃色の兎

 これと言った特技はないが、ピンクのウサギってだけで癒やされる

 ということで、葵が昼寝している時、よくお腹に乗っかっている

 守護霊の中で、誰かと入れ替わることができるなら、オレは間違いなくきね(・・)を選ぶ



 りり(・・)


 巨大なトラ猫

 普段はゴロゴロ葵の膝で寝てばかりだが、攻撃体制になると巨大で獰猛なトラと化す、らしい

 見たことはないが



 たも《・・》


 玉虫色の蜥蜴

 葵の肩がお気に入りの場所のようで、やっぱりオレが葵に抱きこうとすると現れやがる



 みみ(・・)


 透けるような青の鼠

 ほぼ身体は透けており、葵はよく見失っては捜索するが、呼べばすぐ出てくる

 最初から呼べよ、と誰もが思う

 小さな穴や通路の探索をお願いされることが多い

 他の霊たちも大きさは自由自在に変えられるので、別にみみ(・・)でなくても良いのだが、鼠の方がそれっぽいという理由でみみ(・・)が駆り出される

 そしてすぐ捜索される



 おうじじ(・・・・)


 自称元王子の(おきな)

 立派な白髭ともじゃもじゃの白髪、サンタの格好がさぞかし似合うんじゃねーかっていう

 生前はどこかの国の王子だったが、戦争に負け国を追われてとか言い張る残念サンタ

 謎のカリスマ性があり、たくさんいる守護霊達のまとめ役になっており、葵が霊たちのいざこざに悩むことないよう配慮サンタしてる



 さりばあ(・・・・)


 自称魔女の(おうな)

 媼、と言ってはいるが見た目は五〇代の美しい女性らしい

 まだお目にかかったことはない

 葵も知らないうちに葵に取り憑き、いつの間にか消えては、また取り憑くを繰り返している

 他の霊たちとほとんど関わることはなく、葵が何を話しかけても、長い煙管でタバコをふかして美しく微笑むだけだそうだ

 口を開いたかと思えば、悠久の時を生きているような物言いをし、全てが謎に包まれている、何とも妖艶な美女、というオレの妄想



 以上一四の霊たちが、人間に干渉できる何らかの能力を持っている

 ほか一五人の人間の霊が、葵には取り憑いていて、葵に住み着いて話し相手になったり、ただ居心地がいいと遊んでいるらしい

 全くもって羨ましいやつらだが、霊になってこっちの世界にとどまってるって時点で、多分、生前は壮絶な人生だったと思われる


 毎晩、ベッドに入った後で、全員と話をするのが葵の習慣のようだ

 他にも料理している時、移動中、ちょっと誰かと話したくなったり、逆に霊たちから話しかけてきた時、ちょいちょいあっちの世界に行っている

 数分で終わることもあれば、何時間も話したり遊んだりすることもあるようだが、もも(・・)の力でそのへんの時間感覚はないに等しい

 お陰で葵は、認知症テストに引っかかる勢いで、現在が何月何日何時なのか、常に確認している状態だ

本作品では、挿絵並びに登場人物の肖像、ストーリーの漫画などを描いていただける方を募集致しております。プロアマ不問

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