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取り憑かれて  作者: 恵 家里
第十四幕 守護と変化
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第五話 中編

本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。


○詩を読むように読んでいただきたい

○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい


このような勝手な願望からです

一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。

 こうして、オレたちは瞬の仕切りの下、およそ一般人では知り得ない情報を手に入れることができた

 あのホテルの厨房の隠し通路から繫がる、実験施設の存在は既に聞いていたが、さらに、Uホテルの権利を全て買い取り、リニューアルと称してその実験施設や、人食いの森を作った組織の存在も知った

 その組織こそ、今後オレたちが相手にしていくべきやつらだ

 やつらに真実(まなみ)を元に戻す方法を吐かせる

 これがオレたちの、最終目標であろう


 他にも、監視カメラには何が写っていたのか

 人食いの森は他にもあるのか

 今までどれほどの被害が出たのか

 ホテルに行った人、その家族の反応は

 これらオレたちの質問に、橘さんと椿は調査結果を踏まえて分かったことを包み隠さず教えてくれた

 少なくともオレには、そう思えた 

 二人が話した内容は、どれもショックなことであったが、オレたちが共有していた考えを裏付けるようなことばかりで、全く別の、新しい見方のものはなかった

 逆に言えば、橘さんや椿が言ってることとの整合性が取れたことになる

 つまり、葵や葵の守護霊たちが、言っていたことは正しかった、ということだ

 思い込みでも、勘違いでもなく


 真実は

 化け物に、食われた


 適正量を超えた事実の処方に、胃がキリキリと痛んだ

 奥歯を噛み締める

 すり潰された苦虫が、頭痛がするほど不味い


 橘さんが、捜査中に撮った写真を見せてくれた

 ホテルの厨房の隠し通路

 そこから繫がる隠し部屋

 その部屋の様子

 そこにあった人の魂が封印されていたであろう、禍々しい雰囲気全開の木箱

 まだ閉まっているもの

 空いているもの

 作られてから経た年月は、恐らく様々だが、その大きさと、箱に貼られた紙に書いてある梵字みてーなのは、気持ち悪いくらいに均一だった

 始めから、人食いを作るために集められていたものなのか、違う目的のだめだったのかは分からない

 とにかく、橘さんたちの調査結果からも明らかなように、隠し通路先の部屋で、人食いが作られていたのは間違いなかった

 その作り方を椿が説明する

 水晶のような見た目の鉱物に、悲痛な死を遂げた人の魂を何体も押し込み、あの化け物に成形する

 材料となる人の魂は、何百年も前からかき集められており、封印、保管されて来た木箱の中身

 人食い量産の技術の確立とともに、その封印が解かれたようだ

 しかし、材料になりきれなかった魂が、ホテルを飛び出し、悪霊となった

 去年の春先から頻繁に起こるようになっていたおかしなことは、そこから逃れた霊たちによるものであろうと、椿は最後に前髪をかき上げながら言った


 また、人食いの森は、現段階分かっている範囲で言うと、あのホテルのものだけだろう、というのが橘さんたちの見解だ

 椿が言うに、あのホテルの場所は、S県の中でも相当特別な場所で、霊や霊能者にとって、良くも悪くもパワースポットになるそうだ

 あそこでは数多くの、あらゆる儀式や呪術が、昔から行われてきた

 そこで蓄えられていったエネルギー、霊同士が溶け合って増幅された思いが、余計にこの場所の力を強めていった

 近づきたくても近づけない、少し霊感があるやつなんかは冷や汗が止まらねーくらいの雰囲気は出ていたようだ

 なおかつ、質の良い温泉が湧いているから、年中集客があり、森に塀を作るだけで舞台の準備は完了

 それだけ他に資金をかけることが可能になり、ホテルの改装という名目の下、怪しまれることなく地下施設が完成

 こんな条件が揃った場所は国中、いや世界中探しても中々見つかるものではないそうだ


 自分たちが調査できたことは、今のところこのくらいで、今後、ホテルを牛耳る組織について調べを進め、最終的な目的を突き止めて行きたい、と橘さんが言ったところで、オレは溜めに溜めていた身体中の空気を、やっと吐き出すことに成功した


 ってかあんたらさぁ、なんも感じんかったん?

 あんな見るからにヤバい所行っといて


 こいつの、いちいち人を馬鹿にする言い方

 若干、面白くなってきてしまっているのだから、オレの適応力は昆虫並みだと自負できる

 オレたちは、四人でお互いの顔を見合わせた


 あの森が、すごく異様で何だか別世界だなーっていうのは感じたよ

 でも、何というか


 春樹が口ごもってオレを見てきた


 今までのに比べたら、大したことねーなってか

 一応心霊スポットだしこんなもんかって、な?


 オレは葵を見る


 うーん

 ごめん、あたしはそういうの感じにくくて


 申し訳なさそうに言った

 そう言われてみればそうだ

 葵には常時何十体もの守護霊が憑いているし、言ってみればびび(・・)ちゃんが葵を霊的なものから守るバリアの役割を担っている

 見る力が強くなって、取り憑かれやすくもなっている分、余計にびび(・・)ちゃんは守りを固めてる状態なのかもしれない

 イメージとしては、そうだな

 最強レベルになっちまうと、魔王の城とか暗黒大陸とか、そのへんの村歩くのと同じ感覚で歩けるようになっちまう、的な感じ?


 俺はそもそも霊の類は何も見てねぇし、何も感じねぇ


 最後に瞬の答えを聞き、椿は呆れたようにオレたちを見ると、


 はぁ?


 と言って、暫くオレたちの頭の周りで目をキョロつかせた

 考え事をするように、サラサラと前髪をかき上げる


 感覚、馬鹿になっとるん

 あんたら


 うん

 こいつは確かに、頭の回転が速いんだろうな

 オレたちには、腰を抜かすくらいの霊が取り憑いていることを知っており、オレと春樹の発言から、今までいろんな怪異に遭遇してきたのだと想像した

 その後の葵と瞬の分からない発言は、それと大きく矛盾することで、じゃーおめーらに取り憑いている霊は何なんだよって質問攻めしたくなるところを、感覚が馬鹿になっている、という結論を述べることで、あのホテルで見たもの、霊たちのこと、今まで経験してきた怪異を、オレたちの方から説明するように仕向けているのだろう


 まぁ、ただただこいつの性格の悪さが出ただけって可能性が濃厚だけど

 いずれにしても、言い方がアレだから、よっぽどのお人好しでもない限り話してやろうって気には


 確かに、馬鹿になっているよね


 いた

 よっぽどのお人好し

本作品では、挿絵並びに登場人物の肖像、ストーリーの漫画などを描いていただける方を募集致しております。プロアマ不問

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