表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
取り憑かれて  作者: 恵 家里
第二幕 再会と告白
16/371

第四話 前編

本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。


○詩を読むように読んでいただきたい

○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい


このような勝手な願望からです

一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。

 山の遊歩道入口にある駐車場に車を停め、懐中電灯片手に、二〇分ほど歩く

 すると、誰も利用しなくなり、放置されたままの小さな拝殿のような建物がある、ひらけた場所に出た

 そこから更に獣道を進むと、幣殿や本殿があるらしいのだが、こうも暗いと獣道も何も分からない

 手分けして探して、やっとそれらしい道を発見した

 昔は階段だった所が、土砂で埋もれて雑草が生え、所々に角張った石が露出している状態


 足場悪いから、気をつけて


 悠を先頭に、四人一列になって進む

 悠の後ろに葵ちゃん、僕、最後尾は瞬


 お、あったあった


 ほんの数分で、悠の声が上がる

 先ほどよりも、ずっと広い空間に出た

 小学校のグランドまでは行かないけども、サッカーコート一面は張れそうだ

 建物も、さっき見たものと比べ物にならないほど大きい

 大きめのコンビニか、小さめのスーパーか、教室二個分くらいの建物が三つ


 いい雰囲気だねぇ


 葵ちゃんは嬉しそうだ

 本当にこういう所が、好きなだけなんだろうか

 僕の考え過ぎなのかもしれない


 じゃ、あたしこっちから回るね

 二〇分後くらいに、ここに戻ってくるってことでいいかな?


 慣れた様子で出発しようとする葵ちゃんに、慌てる悠


 本当に大丈夫?


 葵ちゃんはあどけなく笑って、


 心配ご無用

 何かあったら叫ぶから助けてね


 と行ってしまった

 悠は、すこぶる残念そうな表情で、葵ちゃんの背中を見送る


 オレたちは、こっちから行くか


 ため息混じりに、葵ちゃんが進んだ方とは、逆方向を指差した

 広いとは言っても、ゆっくり歩いて一〇分もあれば、元の場所に戻って来れる広さだ


 建物に入るつもりなのかな

 見たところ、どれも閉まっているけども

 二〇分も葵ちゃんは、一人で何をするんだろう

 女の子が一人で心霊スポットに行く、というスタートからして不自然なんだから、何をどうやっても不自然なことには変わりない

 終わった後で聞いてみよう

 僕はそう納得することにして、悠と歩き出した

 しかし、いつもすぐ後ろから、面倒くさそうについてくる瞬が、動き出す気配がない


 瞬?


 俺はここで待ってる

 何かあった時、バラバラにいた方がどっちか早く行けるだろ


 しまった

 悠と僕が顔を見合わせる

 葵ちゃんの不自然な言動の、あまりの自然さに、僕たちもその不自然さを、受け入れてしまっていた

 その迂闊さに、やっと気づいたのだ


 普通に考えて、夜に女の子一人なんて危ないに決まってる

 葵ちゃんの肝試しルールを、最大限尊重するならば、最良の行動は瞬の言うことになるのだろう


 お願いします、と素直にこの場は瞬に任せることにする


 光源は、二本の懐中電灯の光のみ

 大の男二人が、肩を寄せ合い夜道を歩く、という不自然

 不自然って思うくらいだから、僕にそっちの趣味はない


 バー二本松のママなら喜んだ、かな


 肝試しは、無駄に騒がず粛々と

 しかし、ママのことを思い出してしまい、頭の中はすっかりママのことでいっぱいになった


 ママの男の好みってあるのかな?

 そりゃあるか

 でも、あんなマッチョな身体で心は女で、好きになる男の人ってどんななんだろ?

 ってか、葵ちゃんとどうやって知り合ったんだ?

 絶対接点なさそうたけど

 料理?ヨガ?

 うーん、そんな教室に行くイメージが沸かない

 今度聞いてみようかな

 またママの店行きたいな

 すっごい楽しかったし、お酒も美味しかった

 僕が誘ったら変かな

 連絡先は交換したけど、悠のバーターだしな

 一人で行く勇気はないしな

 一人で行って、何か誤解されのも嫌だし

 あのママに、アタシを口説きに来たのぉ、何て迫られでもしたら

 夢に出てきたのが、葵ちゃんでなくて、もしもママだったら

 どんな心霊体験よりも、恐ろしい結末を迎えることになりそうだ


 自分の妄想と、男と二人きりという、今の自分の状況にゾッとしながら、辺りの様子を伺う


 空気のように漂っている、何かの動物たちの霊はいるけども、他には何もない

 まぁ心霊スポットとしてはハズレだ

 ホッと胸を撫で下ろす

 アタリのところだと、また悠が取り憑かれただのなんだのが始まる

 今回は、葵ちゃん誘っての初めての肝試しだし、穏やかに終わるに越したことはない


 でも


 白い大蛇


 再び、葵ちゃんと大蛇が戯れる様子が、思い出された


 内緒、なんだよな


 葵ちゃんは、もしかしたら僕の出方を探っているのかもしれない

 僕が余計に騒いだり、不思議がったり、気持ち悪がったり、どんな反応をするのか、見ているのかもしれない

 僕が然るべき反応をすれば

 もしかしたら、葵ちゃんは


 なあ、何分たった?


 悠の質問で、思考が一時停止する

 え、と間抜けな返事をした


 出発してから何分たった?


 ああ、一〇分くらいはたったんじゃない?


 腕時計を見たが、出発した時間を見てないので、この行動に意味はない


 だよな

 広さからして、普通に歩いてたら、葵ちゃんとすれ違ってても良くねー?


 うん、僕も思った

 葵ちゃんは二〇分後って言ってたけど、どう考えても一〇分くらいで終わっちゃうよなーって


 だよな

 葵ちゃん、どっか違うところ行ってんのか?

 それともどっかで止まってんのか?

 建物には入らねーよな?


 うん、建物は閉まってると思うけど


 じゃあやっぱ、どっか行ってんのか?

 懐中電灯の光も見えねーもんな


 うん


 もしかして


 悠の声色が重くなる


 足滑らせて山から落ちて気絶してるとか

 不審者に襲われて口塞がれてるとか

 幽霊に出くわして恐ろしくて声も出ないとか


 悠は決心したように、僕を見てきた


 大変だ

 助けに行くぞ


 そう言って、勢いよく走り出した

 誰かこいつに、妄想と現実の違いを教えてやって下さい

 とはいえ、悠の妄想が、全く非現実的だとは言えないのも確かだ

 思いがけない不慮の事故が、絶対起きないとは言えない

 幽霊なんかを、葵ちゃんが怖がることはないとは思うけど、野生の獣とか、変質者なんかが現れる可能性はゼロではない


 悠の後を、急いで追う

 道を外れていたら、大捜索が必要だけど、時間的にそこまで遠くには行ってないはず

 とりあえず、正規ルートと思しき道なき道を、周りに注意を払いながら走る


 建物のすべてを通り過ぎ、後はスタート地点まで直線一本を残すのみになった

 そこから山を少し下った所に、一番星のような光を発見する


 こんな所に星が落ちているわけがないから、それは懐中電灯の光だと確信した

 僕と悠は、ほぼ同時にそれを見つけて、光に向かって駆け下りる

 が、近づくにつれて、その光をもつ影が、葵ちゃんではないことに気づいた

本作品では、挿絵並びに登場人物の肖像、ストーリーの漫画などを描いていただける方を募集致しております。プロアマ不問

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ