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取り憑かれて  作者: 恵 家里
第十一幕 家族と共有
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第四話 後編

本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。


○詩を読むように読んでいただきたい

○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい


このような勝手な願望からです

一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。

 退社後、葵に連絡しようとスマホを取り出すと、四人のトークルームに悠からメッセージが入っていた

 何でも、俺と葵を家まで送ってくれるとのこと

 予測していた申し出を、ありがたく受けることにする

 そうなると当然ながら春樹も、ということで、葵のマンションに全員集合する運びとなった


 いつも春樹と別れる交差点の向こうから、ジャージ姿のいかにも先生ってやつが、手を振りながら走って来るのが見えた

 二人で並んで歩いていると、後ろからクラクションが鳴る

 悠の車に乗り込み、目前に迫った葵のマンションへ向かった

 マンションの前に人影

 悠と春樹がほぼ同時に気づき、はしゃいで手を振る

 が、徐々に二人の表情から、笑顔が消えていくのが分かった

 何事かと聞く前に、後部座席のドアが開く


 二人とも、わざわざありがとう

 うー、緊張してきたあ


 前に座る二人が、恐る恐るといった様子で後ろを振り返ってきた


 どうしたの?

 何か変かな?

 服装とか、お化粧とか、大丈夫?


 出来損ないのブリキ人形のように、二人の首が縦に動く


 完璧

 すっげーカワイイ


 うん、キレイ過ぎてびっくりしちゃった


 二人の視線の先には、もちろん葵がいる

 葵は、目をしばたたかさせると、恥ずかしそうに笑った


 ありがとう

 自信出てきた


 ってか葵、指輪、つけてねーの?


 悠が目ざとく葵の左手を見る


 あげてねぇんだから、つけてるわけねぇだろ


 何であげねーんだよ?

 プロポーズといえば指輪

 指輪といえばプロポーズ

 給料三ヶ月分

 ひざまずいてカッパーンだ


 カッパーンて


 春樹が吹く


 いつの時代の話だ

 葵は普段、そういう装飾品はつけねぇだろ


 つけるつけないじゃなくてさ

 形が大事なんだよ、こーゆーのは


 つけねぇと分かってるやつを、わざわざ渡す意味が分かんねぇ


 葵は欲しいだろ?

 婚約指輪

 ひざまずいてからのカッパーン


 カッパーンかあ

 あたしも瞬さんと同意見かな

 頂いたならつけたいと思うけど、仕事上、外してないとダメだしね

 もったいないなーって


 合理的な考えばっかじゃ人生楽しくねーぞ


 合理性の欠片もねぇから、常に金欠なんだろ


 でも、悠は常に楽しそうだよね


 財布は常に寂しそうだろ


 オレのお金ちゃん、いつもどこに急いで旅立ってるんだろ


 給料三ヶ月分なんて、悠には絶対無理だねぇ


 結婚指輪は、ぜってーちゃんと買う


 気がはえぇ


 おめーも買えよ

 指の大きさに合わせたりするのに何週間かかかるからな

 入籍日に指輪なしじゃ、アガんねーだろ


 お前のその、指輪への異常な思い入れは何なんだ


 もしかして悠、誰かに指輪プレゼントしたことあるの?


 春樹の問いに、突如悠はしどろもどろになった

 こんな俺たちのいつものやり取りに、葵はずっとクスクスと笑っていた

 その後、話題の変更を余儀なくされた悠が、お節介にも結婚式はどうするだとか、葵のウェディングドレス姿はオオアマウワテバラミスに食われてでも見たいだとか言ってきたので、とりあえず、食われるだけ食われて来い、とだけ言っておいた

 車が目的地に到着し、車から下りる


 じゃ、サンキュ

 気をつけて帰れよ


 中に残った二人に声をかける

 恐らくこいつらは、この後どっか飲みにでも行って、あることないこと言っては、騒ぎ倒すつもりだろう

 ドアを閉め、窓から手を振る二人を見送った

 車が去った後に現れた葵の姿を、改めて認める


 お気に入りのベージュのスーツに、髪はハーフアップ、しっかり化粧もしていて、シンプルなデザインのピアスが光っている

 なるほど普段より、女性らしい艶やかさが数段上がっているようだ

 普段から葵と会っている、あの二人があの反応

 ということは、だ


 大きなトートバッグに、手土産の紙袋を抱えた葵が、俺の隣に並ぶ


 行きますか


 緊張で少し紅潮し、照れくさそうに葵は笑った

 俺でも十分理解できるほどの美しさ

 俺は、葵のトートバッグを引ったくると、


 お手柔らかにな


 と言ってやった

 葵はおよそ予想通りの表情になり、

 大きな目を音が出るほどに、しばたたかせた

本作品では、挿絵並びに登場人物の肖像、ストーリーの漫画などを描いていただける方を募集致しております。プロアマ不問

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