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取り憑かれて  作者: 恵 家里
第八幕 後悔と代償
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第五話 後編

本作品は、句点、かぎ括弧、エクスクラメーションマークを敢えて付けずに編集しております。


○詩を読むように読んでいただきたい

○読者の皆様に、自由に情景を想像して読んでいただきたい


このような勝手な願望からです

一般的な小説と比較すると、大変読みにくくなっておりますことを、予めご理解いただいた上でお読みいただければ幸いです。

 時を刻むスピードが、少しずつ(ゆる)やかになる

 葵は、落ち着きを取り戻したように、泣き方を小さな嗚咽に変えた

 混乱

 困惑

 焦燥

 自分のこれらの感情を全力で押し殺して、穏やかに声をかける


 葵

 どーどーどー


 背中をポンポン叩く

 葵は一つ鼻をすすると


 ひひーん


 と、いなないた

 瞬が軽く吹き出す

 冷静になった葵に安心して、抱きしめた腕を一度離す

 葵の両肩を押さえ、潤んだ瞳を正面から見据えた


 葵

 大丈夫だ

 春樹は死なねーよ、ぜってー


 言い聞かせる

 葵に

 自分に


 こいつ、昔から悪運強くてさ、何回も死ぬって場面になっても、ぜってー当たり前のように生きてやがんだ

 何回も助けてやったし、助けてもらった

 こいつはきっとガキの頃からさ、ひでーものもたくさん見てきて、すっげー大変な思いをしてきたんだ

 ビビリなんだけど、いざって時は割と冷静なこと考えてるし、終わった後なんか、もう忘れましたーって顔してんだ

 山の怪なんかにゃ負けねーよ

 ぜってー戻ってくる

 だから泣くな

 ぜってー大丈夫だから


 オブラートよりも薄い根拠で、何とか励ます

 涙一滴で溶けてしまいそうな、泣き声一つで吹っ飛んでしまいそうな、ペラペラの言葉

 それでも葵は、うんと言って、少し笑ってくれた


 じゃ、これからのこと考えるぞ

 春樹が起きた時、起きなかった時、起きたとしてもその状態次第で、こっちの対応も変わってくるからな


 瞬が号令をかける

 うん、オレが言いたいの、それ

 ナイス代弁

 心の中で、親指を立てる


 葵

 何もできねぇとか言うな

 それは俺たちも同じだからな

 お前がそうやって自分のこと責めてたら、俺たちが困る


 うん、オレも同じこと考えてた

 ナイス賛同

 もう一つ親指を立てる


 ずっと何も食ってねぇんだろ?

 三人で春樹見ながら飯にしよう

 これからどうなるにしても、腹減ってたら何もできねぇからな


 うん、やっぱおめーはすげーわ

 ナイス晩飯

 心の親指は二本使い切ったので、代わりに現実の親指を立てておく

 葵はオレたちに礼を言うと、不安と自責の念を、ため息と一緒に吐き出し、安堵したような表情になった

 こたつテーブルに、瞬がコンビニで買ってきたお茶やコーヒー、おにぎりや菓子パンを並べる

 春樹の分を残して、三人で各々口にものを運びながら、今の春樹の状態を確認し、今後のことを話し合う


 簡単な夕食が終わっても、葵に聞きたいことや話し合いたいことはたくさんあった

 今までどんなことを試したのか

 オレにできることはないか

 守護霊たちは何て言ってる?

 ぎん(・・)は?

 ぜん(・・)は?

 しかし、その全ては中断せざるを得なくなった


 春樹が前触れなく、

 突然、

 目覚めたのだ


 驚きと喜び

 そして安堵


 でもそれ以上に、

 上体をムックリとおこした春樹を見て、

 オレは


 そこはかとない不気味さを

 感じてしまったんだ

本作品では、挿絵並びに登場人物の肖像、ストーリーの漫画などを描いていただける方を募集致しております。プロアマ不問

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