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鉄腕娘々デンジャラミィ  作者: らりるらるらら
【鉄腕娘々セクサラミィ】
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0909

「よ!鉄腕娘々の看板娘!日本一!」

クラッカーを鳴らす。

「えへへ。さあ、もっと褒め称えなさい!」

やべ。何か褒めるとこあるかな。

「よ!メンヘラ!ストーカー!闇取引!」

「悪口じゃん!」

「だって褒める所が...」

「何?」

遮音様はムスッとした顔になる。

「ホ?度忘れしちゃった」

「あんたねぇ、私が一位になったのに気の利いた台詞の一つも言えないの?」

「肩凝り大変でしょ。おっぱい揉もうか?」

「せめて肩な!何?祝いの席でもセクハラか?」

「うん。タイトルもセクハラミィに変えとくワ」

二人の頭の上に現れた『鉄腕娘々デンジャラミィ』の『デンジャ』を押し退けて『セクハ』をねじ込んだ。

「変えるな!そこは!」

「え?セクハラ好きだろ?」

「な訳あるか!」

「遮音様!鉄腕娘々ランキング一位おめでとう!」

「き、急に話を戻すな。最初から言えばいいのに」

「このグダグダ感がいいんだ。ゲームとかもサブクエストとか特定のキャラの組み合わせでしか見れない掛け合いとか、不必要な要素が作品に深みを生むんだよ」

「知るか!付き合わされる私は疲れるのよ!」

溜息を吐いて額に手をやる遮音様。

「まあまあ、そう言わずに」

「ま、こんなとこで拘泥しても仕方ない。ホラ」

と、手を出してきた。お手でもしろってか?

「何だこの手」

「あるんでしょ?サプライズ」

「サブプライム?」

「住宅ローンの話なんかするか!プレゼント用意してないんか!?」

プレゼントなんか用意してないがどうしよう。無料で出来ること…そうだ!

「遮音といる毎日が何より素晴らしいプレゼントだろ(イケボ)」

「...」

ぷいっと向こうを向いてしまった。

「あ、あれ?遮音様?ミュートになってる?もしもーし」

「何で怒ってるかわかるかぁ?」

「酒が切れたから?」

「違うわ!一緒に頑張ってきたからお祝いぐらいしてくれるだろうと期待してたんや!」

「でも遮音様、私は金なんか持ってないぞ」

「...確かに。それもそうだ」

彼女は頬を掻いた。

よし、意地悪はこのへんにするか。

「だから、お金が無くても出来ることをした」

「ん?」

サプライズならちゃんと用意したぜ。

「玄関開けてみて。ゲストを用意したから」

「え!まさか!」

大慌てで玄関に飛んでいき扉を開けた遮音様。そこにいたのは…。

「遮音ちゃんおめでとー!」

「邪布ちゃん...。ありがとう」

期待し過ぎたが故に落胆を隠せず、邪布も苦笑いしている。

「ごめんねー。ラミィは仕事で来れないから代わりに僕になって。はい、これ。ラミィから」

「焼酎の一升瓶!」

「僕からはコロッケとガトーショコラ。ラミィがよく食べてるからさ」

「わあ!いいの!ありがとう!上がって上がって」

「お言葉に甘えようかな。お邪魔しまーす」

「どうぞ。狭い部屋ですけど」

「お洒落な香りがする。...ん?」

邪布はクンクンと臭いを嗅ぎながら進み、私の前で止まった。そして、鼻を私に近づけた。

「何だ?どうかしたか?」

「楽阿弥はこの部屋だと臭いが際立つな。臭ッ!」

顔を歪ませて顔を遠ざけた。

「言うな!遮音様はなぁ、臭い方が好きなんだよ!」

「お前こそ言うな!ぶっ飛ばすぞ!」

なんやかんやで席についた。

「そうだ楽阿弥、お酌してよ」

「ふぁい?」

「何シャクレとんねん!お酌ってのは酒を注いでくれってことよ」

「いいよ。どうせ飲み食い出来ないし。ロック?水割り?」

「ロックよ。ラミィ先輩のお酒を薄めるなんてとんでもないわ」

「そうか。じゃあ」

邪布が持ってきた一升瓶に手を伸ばすと、

「待ちなぁ」

遮音様は立ち上がり寝室に入ったかと思うと、何故かブラジャー片手に出てきた。それをジョッキに押し込み、私の目の前に差し出す。

「注げ。ラミィ先輩になりきって」

え、怖。人前でもこれやるんだ。

「いつもご苦労様。遮音お前一位になったんだってな。おめでとう。私だと思ってこのラミィ酒飲んでくれよ。いつもより汗かいたぜ」

ブラジャーの上に焼酎を注いでいると、邪布が耳打ちしてきた。

「...いつもこんなことしてるの?」

「うん。大体こんな感じ」

私も声を潜めて言う。

「楽阿弥...」

怖!目がヤバい!

「言わない言わない!何も言わないから!ホラ!ぐいっといっちゃって!」

「あ、その前に。どうして邪布ちゃんは来てくれたの?他は誰もお祝いしてくれなかったからさ」

「何日か前にラーメン屋の帰りにこいつに土下座して頼まれたんだよ。きっと誰も祝ってくれなくて悲しい思いをするだろうからって」

「楽阿弥...あんた...」

遮音様が何か言いたげに私の方を見る。

「いいんだよ。遮音様の為なら頭ぐらい下げるさ」

「勝手に一人で外に出歩くなってあれほどきつく言ったのに!」

「あ、そっち」

「後で説教だから」

「へーい」

「そこまでしてくれたのにラミィが来れなくてごめんね」

邪布が軽く頭を下げた。

「ラミィ先輩は何してんの?」

「うーん。よくわからないんだけど、後始末とか何とか」

「後始末?」



後日、遮音様に大量のプレゼントが届き、他の鉄腕娘々との軋轢も自然と解消された。

ラミィの後始末とはつまり、遮音様が皆に認めて貰える様に根回ししたのだろう。

遮音様の夢はあの祝賀会にラミィを呼ぶことだったんだが、鈍い奴だよ本当に。

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