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花束を
遮音様が死んだ。
ネットニュースには細かな場所や日時まで書かかれていた。他二名も死んだらしいのだが、そんなことは枝葉末節。
私は居ても立っても居られず、野菜の生産工場から飛び出した。
人間が戦争に勝って大半のロボットは破壊された。戦闘能力の無いセクサロイドの私は野菜の生産に従事する代わりに廃棄を免れたのだが、これで私もスクラップ確定だ。
だが、行かねばならぬ。遮音様の墓に花を添えに。
私は金庫に隠していた遮音様の予備の鉄腕を装着し、飛行機を奪って飛び立った。
目的地までは約六時間の旅になる。自動操縦なので着陸までは暇だ。バッテリーを節約したいのでここからはスリープモードに入る。
その前に、少し懐古に浸ろうか。