2.竜という名の理不尽
短い。でもまだ導入が終わってない…
「ここが……竜の巣」
竜は特定の場所に寝床を作り、そこに居座る習性がある……と『影』が言っていた。
竜は災害を閉じ込めたような存在で、とてもではないが人間では敵わず、努力や才能でどうこうなる相手ではない。
おまけにほぼ不死で、殺しきることも難しい。
だけど、俺の手にある武器は『不死殺し』。
不死を殺すことができる武器。
……確証はないけど。
「…………」
死ぬかもしれないのに、妙に落ち着いているのはきっと失っても惜しくないものだと認識しているから。
恩返しというより、なにかしないと家族の後追いをしてしまいそうで……常に暗闇がそばにあるみたいな感覚に陥る。
「――っ」
余計な雑念は振り払い、竜を殺すことだけに集中する。
俺は、死人。
だったら、この命は惜しくない。
『――――』
建物に入り、目につくのは巨大な青い鱗だった。
蛇と魚の中間点に位置するような見た目をしており、手足がなく翼のようなヒレが付いている。
竜は語る。
だけど、それは俺に届かない。
「――灼赫剣!」
不死殺しを熾し、自分の血を吸い上げさせる。
そうして、熱を持ち、血を燃やす。
生きている者、死なない者を殺す火をまとい、俺は剣を振るう。
「しッ!」
軽く息を吐き、一気に距離を詰める。
竜はうっとうしそうに、鼻息で応戦する。
灼赫剣の火はその程度で消えはしないが……俺の体はそうはいかない。
「カハッ!?」
鼻息だけで、建物の壁に叩きつけられる。
竜というのは、それほどまでに理不尽で……強力な存在だと自覚させられる。
でも、俺だって頑丈にできているから死なない。
何度だって、竜に向かう。
……そのたびに、壁に叩きつけられる。
血を吐いても、骨が折れても、気にせず何度でも。
本当によく、頑丈にできている。
自分の体ではないような気がしてくるけど、今は竜を殺すことにのみ専念する。




