17.初依頼①
遅れてごめんね
――試験も終わり、わたしとカトレアは宿を探しに街を歩いている。
昼下がり、人も多くなっているのか来たばっかりのときよりも混雑していた。
……カトレアからはぐれないように、手を繋いで歩き宿を探す次いでに色々と見て回っている。
しかし、特に目当てのものもないためただ見て通り過ぎるだけだけど。
無事に宿も見つけて、今日はゆっくり過ごすことになるのだった。
***
次の日。
わたしたちはギルドにて、依頼を受けて街の外にまでやってきていた。
驚いたのがライセンスがあれば通行料はただになるのだとか。
「薬草採取と魔物の討伐だけど……ま、私たちなら余裕ね」
「そうなの?」
「ええ。むしろ薬草採取のほうが時間かかるかもね」
魔物というと、森でわたしが狩っていたあの狼も魔物らしい。
普通に狼も知らないから、魔物の狼と言われてもよく分からないけど。
「どんな魔物なの?」
「ゴブリンっていう魔物よ。群れなければ雑魚よ」
「そうなんだ」
街の外を歩いていて、そんなことを話しているとちらほらと同業者のような人たちが見えてくる。
ここに依頼で来る人は結構いると聞いていたけど……大体3パーティーくらいだろうか。
その中に昨日の老人や男の子はいないから、面倒なことにならなさそうで一安心。
「ゴブリンっていうのは、あれよ。台所で一匹見かけたら百匹はいると思いなさいっていうあの生物くらい繁殖能力に長けていてね。数が多いと危険度が上がるのだけど、今回ははぐれゴブリンだから、問題はないと思うわ」
「分かった。でも、気を付けておいたほうがいい?」
「そうね。警戒しておくに越したことはないわ」
平原から、街の近くにある森に入る。
ゴブリンと薬草はこの森にあるらしく、薬草を探しながらゴブリンを討伐していく流れだそうだ。
「……居たわ。あれがゴブリンよ」
カトレアが指さす方向に、子どものような物影が見えた。
よく目を凝らしてみると、それは子どもではなく緑色の肌をした異形。
さすがのわたしでも、あれが魔物じゃないなんて思わない。
……ギョロギョロと大きな目を動かして、何かを探している。
「じゃあ、私が魔術で燃やすからアイリスちゃんはその隙に蹴るでも首を折るでもいいからトドメをお願いね?」
「うん」
いつでも飛び出せるように、息を潜めて……カトレアが魔術を放つのを待つ。
指から小さな火を生み出すと、そのままゆっくりゴブリンの背後に放つ。
その火が触れたと思ったら、全身に火が駆け巡りゴブリンがその場に蹲り、苦しんでいた。
「今よ!」
「――っ!」
カトレアの合図と共にわたしが走り出し、その勢いのままゴブリンに突撃する。
走りながら殴るというのは意外にも難しく、体当たりをかまして吹き飛ばしてしまった。
……ゴブリンはそのまま木にぶつかり、未だに火に苦しんでいた。
「えいっ!」
【暴食】の力は使えないので、そのまま身体能力に任せてゴブリンを踏み潰す。
そのまま動かなくなり、とりあえず一体を討伐することに成功した。
明日はちょっと忙しいので、また更新が遅れるかも