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50 富士川の戦い

もうすぐ最終回です。

あと今四国なう。

富士川の北の森林に千の兵を隠した正則は残りの三千で川を渡り東側に布陣する最上義俊を罵倒した。


「おおっ!あれに見えるは乗り換え上手で卑怯者の最上義光の孫では無いか!かと言って祖父にも似ず不出来なそなたはそのうち幕府から見捨てられるだろうな!」


これを聞いて案の定、義俊は激怒した。


「おのれ!ワシだけでなくお爺々様まで侮辱するとは許せん!全軍かかれぃ!」


最上勢が動くと釣られて南部利直も動き出した。


数々の戦を生き抜いてきた正則に対し最上、南部の両者はかなり苦戦した。

べつに両者は弱くはなくもし南部晴政や最上義光が存命なら正則など一瞬で討ち取っていただろうが今回はそれらの子孫である。

大した将では無いのは誰の目にも明らかであった。

しかし江戸側は一万を超えるため正則も完全に叩きのめすという形にはならなかった。


「まあまあ引き寄せたな。よし、全軍撤退!」


福島勢が撤退するとまあ見事に幕府勢は釣られて追いかけていくでは無いか。

あまりに単純すぎる敵に正則は苦笑しながらも伏兵隊に攻撃を命じた。


「鉄砲隊、放て!」


いっせいに鉄砲が火を吹き幕府勢の先鋒を破壊していく。

正則の完全勝利だった。

そしてその報せはすぐに総大将の徳川頼房の元に届けられた。


「ほら見た事か、一気に攻め込んでおけばよかったものを。」


信之は政宗を非難した。


「黙れい!最上と南部の若造だから負けたのじゃ!ワシであれば逆に福島勢を逃がさず討ち取ったものを……!」


「だからこの軍勢の大半はそう言う若造だと言うのはそなたもわかっていたでは無いか?相手は豊臣家の家臣として数多の戦を潜り抜けてきた福島宰相だぞ。」


「黙れ信之!そもそもそなたは13万石の小名では無いか!この場に居れるだけでも有難いと思え!」


そうこう議論している内に西軍が到着した。


「皆待たせた。これから一気に敵を叩き潰すぞ!」


忠長がそう言うと諸将は早速配置に着いた。

俺の相手は……伊達軍か?

政宗は大したことないが片倉重長と騎馬鉄砲隊が厄介だな。


「半右衛門、この戦どう見る?」


「騎馬鉄砲隊の対策さえすれば勝てますよ。向こうが騎馬鉄砲ならこちらは……。」


「盾か。すぐに準備させよ!」


いや、これ俺の小説のネタじゃんけ。

ともかく、木板を重ね合わせて馬上盾を作り伊達勢と睨み合った。


「はい皆さん、よく聞いてください。伊達政宗は頭でっかちで馬鹿にされたらかならず突っ込んできます。戦が上手い雰囲気を漂わせていますが東北平定戦では相馬、佐竹勢に完膚なきまでに叩きのめされ先の大坂での戦では真田勢と後藤勢に苦しめられ乱心したのか味方を撃ったそうじゃ。いやー、あんなへっぽこ、独眼竜じゃなくて独眼トカゲじゃな!」


そう言うと皆どっと笑う。

そしてこれは俺の策である。

伊達家お得意の黒頭巾が忍び込んでいるのは確信していた。

そしてその予想は的中した。


「ええぃ!アホ曽我部め!ワシを蜥蜴などと偉そうに!あのような子倅、騎馬鉄砲の餌にしてくれるわ!」


と、見事に釣れた伊達勢は川を渡って突っ込んできた。


「釣ーれました、釣れました!作戦通りにどうぞ。」


黒頭巾が帰ってから夜に川に埋めておいた壺やら槍やら足止めするためのゴミが伊達勢の馬を足止めする。

そこから一斉に鉄砲による攻撃を加える。

どうせ馬上騎馬隊で近接戦を挑んでくると思っていた伊達軍はびっくり仰天、大混乱となった。

伊達勢も撃ち返すものの根来や堺に近い四国製の鉄砲と奥州製の鉄砲では威力も射程も質も多いに差がある。

被害が伊達勢の方が多いのは日の目を見るより明らかだった。

ほかの戦場でも練度に優る西軍が幕府軍を圧倒し幕府軍は徐々に押されて行った。

そしてついに北の東北勢が崩壊すると幕府軍は撤退を始めた。


「今ぞ、すすめぃ!」


そう言って真っ先に追撃を始めたのは汚名を晴らさんとする前田利常と血気盛んな康豊だった。

しかしその2人を待ち構えていたのは殿を務めた真田信之だった。

名将真田信之は弟にも劣らぬ采配を見せ見事に全軍を撤退せしめた。

とはいえ幕府軍は将こそ失わなかったものの十万の兵のうち相模まで戻れたのは5万程度だった。

こうして富士川の戦いは幕を閉じた。

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