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46 大坂制圧

そういえば元親も国親も家は違えど細川家から偏諱を受けてるし忠親の息子は家親だし盛親が可哀想ですね。


「我らは中将様にお味方する!大坂城を占拠せよ!」


讃岐での幕府軍敗戦の報せを聞いた松平忠直は直ぐに大坂城を二万の軍で占拠。

更に手勢を二手に分け和泉と河内も制圧した。


「早、えーはやー。」


なんというか幕府軍のしょぼさに俺は拍子抜けしてしまった。


「殿、藤堂家の使者が到着致しました。」


「よし、通せ。」


俺が許可すると勝元に連れられて藤堂殿の使者がやってきた。


「織田信重でござる。藤堂少将の名代として参りました。」


「ご苦労、藤堂殿はなんと?」


「我ら藤堂家は中将様を将軍としてお支え致します。ついては尾張中納言、紀伊中納言、加賀宰相、彦根侍従の首を持ってまいります。」


「待たれよ。加賀宰相を私は幼い頃より知っておる。どうか命だけは助けてくれないだろうか?」


長重が横から入ってきた。

んー確かに別に前田利常は仕方なく動いてるだけだし前田利家は個人的に嫌いだけど利常は恨みないしね。


「わかった、前田家の沙汰は上様に決めて頂こう。」


「ご配慮感謝いたす!」


個々で長重に恩を売っておくのは良い考えだろう。

その日の夜には藤堂殿が騙し討ちで徳川義直、頼宣、井伊直孝、その他幕府重臣らを討ち取りその首を持ってきた。

指揮官を失った兵は混乱したため四国から出ていけば命は取らないと約束するとあっという間に6万の大軍は解散した。


「上様、四国に侵入した謀反人は全て討ち取りました。」


「うむ、前田家はどう処分すれば良いだろうか?」


「120万石から改易はあまりに厳しいかと。ここは能登22万石で如何でしょうか?」


「うむ、それなら前田家の旧領であるし問題は少なそうじゃ。利常には安堵するように伝えよ。」


初めは藤堂高虎の騙し討ちに不服だった利常だが改易にされなかったことを喜び以降は忠長に忠誠を誓うことになる。

ともかく幕府軍を退けた俺たちは直ぐに淡路を超えて大坂城に入城した。


「お待ちしておりました、上様。」


「ご苦労であった、越前。これよりは徳川忠直と名を改め副将軍として余を支えよ。」


「ははっー!」


「次に中納言殿。余の征夷大将軍への就任などを含めそなたの功績には感謝してもしきれぬ。故に伊予と淡路を加増いたす。」


キターっ!四国全土俺のものだ!

父上、兄上、盛親、俺やったよ!

成し遂げたんだ!

1人でガッツポーズした後我に戻った俺は忠長に進言する。


「上様、まずは朝廷に挨拶しその後、諸大名に大坂に挨拶に来るように触れを出しましょう。ここで挨拶に来なかったものは家光側と見なし討伐すべきかと。」


「それは良きお考え。その際の先鋒はこの高虎にお任せあれ。」


「少将、そなたももう歳じゃ。無理はするな。そなたにはしっかり働いてもらうぞ参議。」


「ははっー!」


利常が平伏する。


「皆の者!これからは大変だろうが最後まで余に尽くしてくれ!」


頼もしい一言だなと思いながら俺たちは頭を下げた。


次の日、上洛した忠長は従二位右大将に任ぜられ大坂幕府が誕生した。

この江戸と大坂の二重政権は諸大名を真っ二つにした。

加藤、黒田、細川、浅野、堀尾、更には所領を捨ててやってきた福島正則などの豊臣温厚の大名と水野、毛利、島津、立花、鍋島ら所領に釣られた西国の大名はほとんどが大坂側に付き伊達政宗や真田信之など東国の大名は全て江戸側に着いた。(もちろん不満のある大名もいる。)


「加藤忠広は自害しちゃいましたかー。


「島津の勢いがとんでもなかったからな。秋月を筑前に移して黒田が播磨に、ワシが丹後、丹波にするのは誠か?」


「ええ、姑殿は都の近くに居られた方がよろしいと思いまして。加賀には丹羽殿が既に入っておられ越後に攻め込む準備を整えておられます。」


「それにしても土佐侍従殿もそなたが二条城に入っておられると知ったら喜ぶであろうな。」


「きっと泣いて喜んでくれますな。ここまで多くの犠牲を払ってきた甲斐があったやもしれませぬ。」


俺は忠長の補佐をするためもあって二条城に駐屯していた。


「おい、忠親!酒がもう尽きたぞ!」


「ったく、何故そなたまでいるのだ。」


「市兄は所領を捨てて来たので居場所が無いのです。」


「そうだ!俺は忠親様のために家族を捨ててやってきたぞ!」


「単純に所領を召し上げた土井利勝に腹が立っていただけだろう。いくらで釣られた?」


「それがじつは完全に市兄のことは忘れてたのです……。」


大変申し訳ないのだがどうせ来れないと思ってのと最近政に顔を出していなかったので全然忘れてた。


「おい!ともかく勝っても別に何も求めてねえよ。」


「どうせお前のことだ。尾張一国くらい貰う気だろう?」


姑殿も軽口を叩いて楽しそうなのだが空白地となった尾張と紀伊の事は未だにどうするか決まってない。


「問題は尾張と紀伊に誰を入れるかなのです。婿殿には越前の代わりに近江と山城を抑えて頂くつもりなのですがいずれは上様を江戸に……。」


「いっそ、上様を尾張に移せばどうだ?」


「あっ!!!」


正則のテキトーな発言に俺も姑殿も声を上げた。


「確かに江戸よりも尾張の方が地理的にも経済的にも良い場所だ。諸大名にも睨みをきかせられるし新たな支配体制を作るためにも尾張に幕府を開いた方が良いのではないか?」


「なら江戸に誰を置くかが問題ですな。出来れば徳川の一門の者を入れたいのですが。」


「そもそもこの問題を俺ら外様の人間が議論するのがおかしかねえか?」


「あっ!」


また正論である。

勝手に天下をとった気になってたがそもそもまだ家光側も倒してないし幕政を決めるのは忠長と正純だった。


「じゃあどこで戦になるか考えましょうよ。個人的には関ヶ原でまたやるのもアリかと思うのですが。」


「馬鹿野郎、尾張はこっちのもんだからその必要は無いだろ。殿下の小田原征伐の時みたいにやりゃいいんだよ。」


「3方面から西国諸大名を送り込む案か。となると敵を切り崩していく必要があるぞ。」


「応じそうのは上杉と佐竹くらいですかね。伊達は何しでかすか分からないから危険ですし滅ぼしておいた方が良いでしょう。最上と蒲生は戦力にならなさそうですしねえ。」


「なら東北でこれらに反乱を起こさせ敵の目を東北に向けさせたところを突くか。」


「それが楽そうですね。とりあえず上様には伝えておきます。」


とりあえず御三家をどうするかは最重要事項だったので直ぐに正純に相談することにした。


「やはり家光派は皆殺しにしておく必要があると考える。そうなると御三家を名乗れるのは誰だ?」


「やはり越前様の所の弟君の伊予守様と出羽守様では無いでしょうか?」


「やはりそうか。しかし越前徳川家から3人も出すのは不安定ではないか?」


「伊達の娘を娶っている上総介殿は危険ですしあとは思い当たる節がありませぬ。これで良いのでは?」


「うーむ、なら伊予守殿は大坂、出羽守殿に江戸を与えて上様は尾張に入って頂くのが1番のようだな。」


「はい。紀伊は上様の筆頭家老の鳥居殿が適任でしょう。」


とりあえず親藩をどうするかの暫定案が決定した。


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