表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/52

44 四国征伐

予想通り家光は長宗我部討伐を命令、徳川義直を総大将に阿波より徳川頼宣、井伊直孝、藤堂高虎ら畿内の大名を先鋒に前田利常、松平忠直、そして徳川義直の6万、讃岐より本多忠政を大将に池田忠雄、池田長幸ら池田家、森忠政らの3万、伊予に水野勝成を大将、加藤嘉明を先鋒に毛利秀就、浅野長晟、堀尾忠春の4万(忠親的に水野勝成と毛利家は厄介なので若干ビビっていた。)、更に西伊予に家光は九州勢を送り込もうとしたが細川忠興と島津家久が適当な理由で出陣しなかったので他の大名も便乗しほとんど兵が集まらなかった。


対する長宗我部勢は忠直を将軍にすることに成功し既に諸大名の調略を始めていた。


「姑殿のおかげで伊予にあまり兵力を割く必要が無くなった。今後も水野勝成と加藤殿の調略は続けていくゆえ無駄な戦は避けるように。まず防衛の拠点は白地だ。これは以前と変わらん。まずは植田に政親を入れる。敵を降伏すると言って数日足止めさせろ。必要なら下人の首を家臣の首と言って差し出せ。阿波は徳島城で足止めする。既に婿殿とは話をつけてある故敵の退路を立ち一気に討ちとる。」


「兵は如何程?」


政親が聞く。


「植田、徳島にそれぞれ五千入れる。後の城は素通りさせろ。俺の本隊は一万だ。」


「残りの一万は土佐に置くのですか?」


「そうだ利宗。上様を失ってはなんの意味もない。」


「数では圧倒的に不利だが質はこちらの方が上だ。何としても勝つぞ!」


「応!!!」


土佐の兵達の声が木霊した。

では幕府軍の方はどうなのか様子を見てみよう。


「全く……忠親もとんでもない事をしてくれたものよ。」


「しかし中将様は将軍に任ぜられたとのこと。このままでは我らの立場も危うくなるのでは?」


進軍中の藤堂高虎と織田信重もこの情勢に困っていた。


「聞けば越前様は大坂城に入り後詰を申し出られたそうじゃ。やはり姑とは戦えぬということだろうか。」


「まさか内通では?」


「その可能性もありうる……そうなれば我らは挟み撃ちじゃ。」


「しかし数の差で押し切れば何とかなるのでは?」


「数の差をひっくり返すのが名将というものだ。長宗我部忠親という男は味方にすれば頼もしいが敵にすると恐ろしい男じゃぞ……。」


藤堂高虎勢の士気はかなり低かったが同様に伊予方面軍は全体的に士気が低かった。


「味方になれば三河一国を与えるだと!?」


「はっ、上様は水野殿のこれまでの功績は10万石では足りぬとお考えです。」


「おい、武蔵。どう思う?」


長宗我部の使者から忠長の朱印状を受け取った水野勝成は動揺し家臣の宮本武蔵に案を聞いた。


「今や中将様が正式な将軍です。朝廷から見れば我らは逆賊……。朝敵になるやもしれませぬ。」


「朝敵がどうなんて知らねえが三河一国は欲しいな。毛利にも餌を与えたのか?」


「はっ、安芸と出雲の返還です。」


「ほう、なら今から聞きに行くか。」


水野勝成は早速、毛利軍の陣に向かった。


「これは水野殿、如何なされた。」


病の秀就(言い訳)に代わり毛利軍を率いていた秀元が出迎える。


「おう、長宗我部の使者が来てな。味方になれば三河を貰えるらしい。」


「我々のところにも来ました。もちろん我らは現実的ではないと追い返しましたが……。」


「俺は乗ろうと思う。俺を正当に評価しない幕府になんか仕えたかねえよ。」


「……兵を引くと?」


「おうよ、お前も長宗我部の当主とは古い付き合いなんだろ?この戦で時勢を見誤らなけりゃまた五大老に復帰出来るかもしれんぞ。」


毛利家からしたら本領の安芸を奪われたのは雪辱だ。


「仕方ありませんな。我らは大将に従うのみです。加藤殿、浅野殿、堀尾殿にもお聞きせねば。」


「そうじゃな、皆を呼び出せ。」



早速3人も秀元の陣に集まった。


「土佐の中将様より兵を引くように命じられた。俺と毛利殿は既に兵を引く考えだがお前らはどうだ?」


「ワシは忠親とは古い仲だ。正直戦いたくはなかったし撤退には賛成だ。」


「私も父上は中納言殿と親しい仲でした。撤退に賛成します。」


「皆様がそう仰せられるなら私も賛成です。」


こうして5人とも撤退に賛成したので伊予方面軍はさっさと国元に撤退して行ったのである。

更に忠親は讃岐方面の森忠政にも調略をかけていた。


「信濃一国か……。本当にそう上様が仰せなのか?」


「はい、幕府軍を植田城に引き止めるだけで良いのです。」


「それなら容易い事だ。よかろう、貴殿らに御味方致す。」


そして薩摩の島津は……。


「今こそ、好機!幕府が揺らいでおる間に日向と肥後を落とすぞ!」


「応!!」


島津家久は早速二万の軍勢を率いて日向に攻めかかった。

これに島津と友好関係にあった秋月家と有馬家も呼応したので日向はあっという間に島津の手に渡り更に肥後へ向けて進軍するのだった。


「いいぞ、全て予想通りに進んでいる!」


各地での報告を受け俺は喜びが抑えられなかった。

面白いくらい自分が思い描いたとおりに話が進んでいる。


「申し上げます!讃岐の植田城に幕府軍が大挙して押し寄せたようにございます!」


「わかった、直ぐに戦の準備を始める。いつでも出陣できるように備えよ!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 黒田官兵衛に見抜かれた挟み撃ちですが、戦国時代のあの絶望的な展開の中で、もし官兵衛がいなかったら、元親公が四国の主となっていたことでしょう。 某漫画の仙谷と元親公との戦いを思い出しました。…
[気になる点] >>対する長宗我部勢は忠直を将軍にすることに成功し既に諸大名の調略を始めていた。 ×忠直 ○忠長 あと嫁の父親は舅だと思う
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ