42 真
実はこっちが本編です。
家光の世界で忠親は生き残れません。
なのでこっちが正史です。
「なんて話もあるかもしれまいぞ。」
「そんなわけないでしょう。俺がどうにかしてでも忠長様を将軍にしますよ。」
全く、舅殿の冗談は怖すぎるわ。
にしても浪人が増えて反乱が起きるの予想してるのすげーな。
「ともかく、ワシは上様のところに行って参る。ここは任せたぞ。」
「承知仕りました。」
舅殿が撤退したタイミングで伝令が来た。
「申し上げます!黒田隊、加藤隊が崩れました!間もなく敵がこちらに向かってきます!」
ついに、ここまで来たか。
「そうか、敵は兄上じゃな。」
「はっ!長宗我部宮内少輔かと!」
「わかった。愚かな謀反人には俺自ら天誅を下そう。」
家臣たちの反対を押し切り俺は刀を取る。
「俺につづけぃ!」
そう言うと俺は騎馬に跨り突撃する。
銃声やら兵の悲鳴やら砲撃音やらが耳に触る。
いつまで経ってもこれには慣れない。
「大将首だ!討ち取れぃ!」
何人かの雑兵が俺めがけて襲いかかってくる。全員大したことは無いな。
そう思いながら斬り伏せる。
「おお、強くなったな!」
そう言って敵の大将が現れた。
がっちりとした体格に伸びきった髭、厳つい顔。岡豊で遊んだ頃から変わらないな。
「天下を乱す豊臣家に組す愚か者め!俺が成敗してくれよう!」
俺は刀を振り上げる。
「ちっ!仕方ねぇ!かかってこい!」
敵の大将、長宗我部盛親も槍を構える!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!兄上ェェェェェェェェ!」
「忠親ァァァァァァァァァァァ!」
俺は叫びながら長宗我部盛親に斬りかかった。
カキンッ!
刃と刃の交わる音が響き閃光が飛び散る。
俺は姿勢をすぐに戻すとまた刀を向ける。
「なぁ忠親……。どうして俺たち兄弟が戦わなきゃならないんだ?」
そんな甘い考えを俺はとうに捨てている。
「キサマがあの時選択を誤らなければ良かったでは無いか!そうであれば共に……。」
「ああ、そうかい……。俺が馬鹿だった。最後の最後までお前より俺はバカみたいだ。じゃあ最後くらい華々しくやらしてもらうぞ!」
そう言って兄上が斬りかかってくる。
しまった、はめられた!
俺もすぐに刀を構える。
ドシュッ!
鈍い音が響いた。
刀が手から落ちる。
馬の手綱が離れ、俺は落馬した。
「お前の首取らぬ。俺が求めるのは大御所と将軍の首だ……!」
そういうと盛親はかけていった。
「あっ、兄上ぇぇぇぇッ!」
突撃した盛親は秀忠本陣に斬りこんだ。
「将軍、徳川秀忠。その首貰った!」
盛親が槍を秀忠に突き刺す。
「上様ァッ!」
直ぐに立花宗茂が盛親の背中を斬り裂いた。
崩れ落ちる盛親と秀忠。
「上様を直ぐに手当せよ!この者の首を取れい!」
(忠親……長宗我部をッ!任せたぞ……。」
長宗我部盛親、享年41。後に西国一の兵と呼ばれるようになる。
これを見た真田信繁、毛利勝永の攻撃は勢いを増しついに家康は戦場の藻屑となって消えた。
しかし数で優る幕府軍は水野勝成らの指揮により持ち直し真田、毛利両名を討ち取り大坂城を包囲、秀頼を自害させる事に成功する。
この後、忠親は功績を称えられ讃岐を与えられるのだが幕府はこれ以降、大きな問題を抱えていくことになる。