38 ピンチ到来
冬の陣開幕からしばらく経ち、四国65万石の太守、長宗我部中納言忠親はやることがないので遊郭でダラダラしていた。
というのも康豊にやる気がありすぎて全部勝手にやってしまうのである。
先日の野田福島の戦いでも一番槍を上げ昨日は博労淵砦を制圧している。
つまり彼に任せとけば全部なんとかなるとこの男は考えていたのであった。
「今日だけで三人とやってますよ。」
半右衛門は心配症だな。
別にヤリまくっても大丈夫だって。
「問題ないよ。それより今南の方は塹壕を掘ってるらしいな。」
「ええ、どうやら敵の銃撃が激しいらしく。越前様も参加されるようです。」
「婿殿に伝えておけ。無駄に突撃しても被害を生むだけだとな。」
「承知致しました。そろそろ帰りましょう。」
「いや、今日はここの女の家に泊まる。お前先帰ってろ。」
まあ実はその女が大坂方とコネクションがあるんですがね。
半右衛門たちが帰ったのを確認すると俺はその女の家に行った。
「おう、待ってたぞ。」
そこに居たのは仁右衛門だ。
何を隠そう俺と藤堂殿は大坂方の内通者を見つけたのである。
「南条中務大輔じゃ。人払いは済ませてある。」
「さて、南条。大御所はこの戦に寝返るならば伯耆を与えると約束されている。朱印状もここに。」
俺が書状を差し出す。
「信用しよう。合図は?」
「火薬庫を爆破しろ、そうしたら一気に幕府軍が雪崩込む。」
「承知致した。」
「ぬかるなよ。」
そうは言ったものの翌日、バレました。
さらにそれを知らない幕府軍は真田信繁の罠にハマりボコボコにされました。
世にいう真田丸の戦いです。
「うーむ、どうすれば良いかのう。」
この結果は秀忠を大きく悩ませた。
「淀君脅して和睦して堀埋めちゃえばいいんだよ。」
「なるほど、父上に相談してみよう。」
見事にOKが降りました。
そりゃ史実丸パクリだしね。
結局豊臣と徳川は講和した。
しかしここで大問題が発生する。
「四国を豊臣秀頼に与え俺には別の領地を与えるだと!血迷ったか!」
幕府からの使者として訪れた正純から書状を受け取った俺は読んだ瞬間にそれを地面に叩きつけた。
「秀頼を上方において置くのは脅威なれば秀頼を四国へ移し中納言様には然るべき領地に……。」
「然るべき領地だと!?我ら長宗我部の先祖代々の土地である土佐以外に然るべき領地などあるかッ!」
「まだ確定ではありませぬ。これから秀頼との協議の上で……。」
「大御所は小牧長久手、関ヶ原と共に豊臣と戦ったことを忘れたのか!?それほどまでに秀頼が恐ろしいのかッ!」
俺はどんどん頭に血が上り正純の胸ぐらを掴む。
「俺から領地を取りたいなら戦で勝ち取ってみろ!」
「い、今一度、大御所を説得してまいります!」
慌てて正純は出て行った。
「殿、怒りすぎでは?」
「分かっていないな政重。この土地は父上や兄上の夢であった場所だ。渡す訳にはいかない。」
次に徳川家は土佐を安堵しその上で残りの領地を豊臣に渡し長宗我部には美濃を与えるという条件を出してきた。
もちろん重要拠点の海部と大西を渡す訳にはいかない俺はこれを拒否。
激怒した家康は豊臣家を含む諸大名に長宗我部討伐を命令。
阿波に豊臣秀頼、徳川義直、浅野長晟らの8万、淡路に池田家の2万、伊予に加藤嘉明、福島正則、堀尾忠春、毛利秀就らの2万5千、土佐西部に島津家久、加藤忠広らの3万を差し向けた。
これは秀吉の四国征伐を上回る大軍勢であり対する長宗我部家は海部に主力の1万を置き合計で3万の軍勢を各地に配したのだった。
第二次四国征伐の始まりである。
「なんて、なる可能性も……。」
「ある訳ねえだろ。まず大御所が許しても秀忠が許さねえよ。」
「いや、でも流石に幕府の使者を怒鳴り返すのは……。」
「殿、本多下野守様がいらっしゃいました。」
「どうなるか教えてやるよ。」
「大御所を説得して参りました。秀頼は伊勢か大和に移すことになりました。」
「ほら見た事か。では俺の領地には干渉しないのだな。」
「はっ、長宗我部殿にご迷惑をおかけした事誠に申し訳ないと。」
「はっはっはっ。次なる戦ではお返しに先陣をしてやろうぞ!はっはっはっ!」
上機嫌になる忠親だったがこの四国征伐が後々行われる……ことになるかもしれない。