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23 秀忠くんは鈍感です

徳川秀忠 軍才 36 政治 未知数

7月の初めに俺は江戸城に到着した。

現代で東京に行くとなればテンションが上がるがこの時代の東京はド田舎とまでは言わないが割と田舎だ。

しかし真ん中に建つ江戸城はこの田舎には不釣り合いなくらい豪華で巨大な城だ。


「お待ちしておりましたぞ、淡路殿。」


そう言って俺を出迎えたのは榊原康政だ。

わざわざ四天王がお出迎えとはありがたい。


「おお、式部殿。わざわざすまぬな。まずは中納言殿にご挨拶した方がよろしいかな?」


「ええ、中納言様もお待ちです。」


俺は榊原に案内され江戸城の本丸に入った。


「おっと、こんなクソ田舎にわざわざ上方の大名が何の用だ?」


「お前らの為に来てやったんだよ。それよりもどうして俺がお前の指揮下なんだ?」


榊原は笑いながら言う。


「実は中納言様が大殿にお願いなされたのです。初陣の際には淡路殿がいて欲しいと。」


「おい、言うな!」


「ほぉー。なら俺の進言はちゃんと受け入れろよ。」


「ああ、分かってるさ。」


ほんとに分かってんのかこいつ。

って言うかもしかして俺は本戦じゃなくて上田城の戦いに参加するのか?

どっちか分からんが上田城の方なら対策を考えなきゃならんな。


そして1週間後、秀忠と俺、そして徳川軍は宇都宮城に入った。

城主の蒲生秀行に先行された城内には秀忠の兄の結城秀康らが到着していた。


「これはこれは秀忠殿。また随分と凛々しゅうなられて。そちらの御人は淡路侍従殿かな?」


「兄上、ご無沙汰しております。こちらが我が友の淡路侍従でござる。」


「噂は聞いておりますぞ。私も北政所様の元で育った者、同じ釜の飯を食ったもの同士仲良くしようではないか。」


そう言って秀康が手を差し出す。

俺も手を出し握手する。


「我らは兄弟同然、良い関係を築いていこうではないか」


なんとも好青年という感じでなんで家康に重用されなかったんだと思う。


「それで兄上、上杉は何か?」


「国境に兵を集めております。それに加えて佐竹も怪しげな行動を。どうやら当主義宣と先代義重で家中が分裂しているようです。」


「となると佐竹は動けなさそうですか?」


俺が聞く。


「ええ、恐らく脅威にはなりますまい。上杉の方も伊達と最上の対策で米沢の兵は動かしていない様子。恐らく私のみで対処できまする。」


「えっ、兄上だけとは?何のために軍を集めたのですか?」


この時点で秀康を始め隣の榊原らも家康の意図を理解しているようだ。


「あのなぁ……秀忠。」


「淡路殿、少し。」


そう言って端にいる爺さんが話しかけてきた。

爺さんに連れられ俺は別の部屋に通される。


「私は本多佐渡守でござる。さては貴殿は内府様の考えにお気付きですな。」


本多正信って家康の知恵袋か!


「ああ、石田治部に挙兵させ一気に叩くつもりでは?そのために俺に金吾中納言を内応させたのだろう?」


「はい、おっしゃる通りです。それに中納言様がお気付きになるのを我らは待っておるのです。」


「なるほど、しかし軍才は無くとも奴には政の才能があると俺は見込んでいる。」


「私も同感ですが少なくとも徳川の天下が安定するまでは軍才も必要です。だからこそ戦上手の淡路殿が中納言様の元にいて下さり安心です。」


「左様か。しかし最後は奴の判断だぞ?」


「その時は我らにお任せくだされ。淡路殿を危険に晒しは致しませぬ。」


こうして東軍諸将と俺が関係を深める中、石田三成らが大坂で挙兵した。

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