22 調略
織田信長が天下を統一したif小説の最もめんどくさいところは大名配置なんですよね。
昔読んだ本だと西国は豊臣政権と一緒でそれはねーだろ(笑)と思いながら読んでました。
あと上杉景勝は今作では無能扱いです。
毛利輝元の方が有能だと私は思ってます。(作中では忠親に嫌われてるけど)
慶長5年の正月、俺は黒田長政と共に家康に呼び出された。
「今後、石田治部や西国の諸大名と戦になる可能性が高い。そこで毛利を分裂させて欲しい。」
「毛利を分裂……両川の事でしょうか?」
長政が聞く。
「そういうことじゃ。吉川広家は甲州殿と親しくしていると聞く。吉川は貴殿に任せよう。」
「では俺は小早川を?」
「うむ。元は淡路殿は金吾中納言の家老。それに今の家老の稲葉正成の妻は斎藤利三の娘でござる。その縁から貴殿が適任だと思うのだが。」
「承知致した。して条件は?」
「畿内に2カ国。これで十分であろう。」
こうして家康の命を受けた俺は小早川家の屋敷に向かった。
先に福を通して稲葉正成に説明しておいたので稲葉が出迎えてくれた。
「さあ、どうぞこちらへ。」
「いや、案内せずとも勝手知ったる屋敷である。」
俺は昔よく金吾と遊んだ部屋に入った。
「久しぶりだな。俺を売り大名になって楽しそうだな?」
「まだ恨んでいるようだがあれは殿下の命令だった。俺の言い方にも問題があったがそのおかげでお前は筑前37万石の大大名じゃないか。」
「ふん!1度殿下に減封に処されたがな。内府殿がいなければワシはどうなっていたやら。」
「左様か、それでその内府がお前に頼みたいことがあるそうだ。」
「なんだと?内府殿が俺に?」
「うむ、今後奉行衆と軍事衝突が起きた場合に内府に味方して欲しいそうだ。報酬は上方2カ国。」
「上方2カ国?つまり俺は中央に戻れるのか?」
「ああ、内府からの書状もここに。」
俺は懐から書状を差し出した。
「わかった、約束は守れよ?」
「ああ。内府を信用しろ。」
結局史実では宇喜多秀家旧領の3カ国を与えられるのだがそれは言わなくていいだろう。
「先に言っておくがもし不測の事態があってこちらの味方になれなかったとしたら初めは治部らに従え。その後内府が何らかの指示を出すだろうからその時に寝返れ。」
「俺は裏切り者になるのか?」
「それお前のやり方次第だ。治部が関白の座を示そうと決して靡くなよ。どうせ反故にされる。」
「あの男には俺もうんざりしている。それだけは有り得ぬ。信じろ。」
この後稲葉に絶対に目を離すなと命じた俺は屋敷を後にした。
そして二ヶ月後、家康は会津にて不穏な行動をしている上杉景勝討伐のために諸大名に兵を出すように命じ早速大坂城にて軍議が開かれた。
参加しているのは家康の家臣と子飼い衆がほとんどで西国の有力大名の姿は見られなかった。
「上杉はいかほど動員できる?」
家康が聞く。
「およそ3万程、されど会津に移ってから日も浅くかつて謙信公を支えた越後の兵はほとんどが当家に属しております。」
上杉家の後任として越後を治めている堀秀治が報告する。
「つまり烏合の衆か!会津の兵は強いのか?飛騨侍従殿。」
正則が上杉景勝の前に会津を治めており現在は下野17万石の蒲生秀行に聞く。
「会津の兵は殿下の天下統一以降はまともに戦に出ておらず内府殿を初めとした方々の歴戦の兵に比べれば恐るるに足らずかと。」
「しかし騎馬隊がいるであろう、あれはどう対処する?」
嘉明が聞く。
「上杉の騎馬隊は噂のみで実際には他の大名と大差はござらぬ。数の差を生かし包囲殲滅すれば問題は無いかと。」
俺が説明する。
いや知らんけど謙信も四天王もいない上杉なんて雑魚同然だろ。
景勝も直江も大河とかで着色されて過大評価されてるだけだし。
「確かにこちらには10万の軍勢がある。上杉よりも真に警戒すべきは……。」
「黒田殿、もう良い。先陣は福島殿と細川殿に任せる。」
「おう!」
長政を制し家康が正則と舅殿に先陣を命じる。
俺の率いる三千は江戸で待つ秀忠の部隊に配属された。
そしていよいよ会津征伐が始まった。