2 福との出会い。
土佐と言うのは面積の割に異様に石高が少ない訳で太閤検地だと何とびっくり9万8千石!
とはいえこれは元親が検地をせずに秀吉から「じゃあお前3000人連れて合戦でろよ。」って言われたのの逆算らしい。
なんてテキトーなんだ……。
昔は俺も長宗我部はバリバリの豊臣アンチかと思ってたけど実際は立場は低くても相思相愛だったみたいですね。
つまりこの時点で関ヶ原で長宗我部全員で東軍に付くという選択肢はかなり厳しいのです。
さらに兄盛親の諌め役となる老臣は関ヶ原の時点でほとんど居らず久武親直が暴れるはずなので俺がどう頑張ろうと無理です。
となると所謂真田戦法を使うしかありません。
これはつまり一族で東軍と西軍に別れて戦うという事。
これは同じ四国の生駒と蜂須賀もしてたらしいが結果は本領安堵!
いやいや、本領安堵だと9万8千石で江戸時代過ごすことになるんだぞ!?
少なくともファンとしてのプライドか長宗我部家が虎の威を借る狐(個人分析)の福島正則や加藤清正の半分以下なんて納得がいかない!
少なくとも40万石は欲しいよね。
じゃあ戦功を上げるしかない訳ですが今のところターゲットは島津かな。
のちのち信親や家老の本山親茂(2推し)や福留隼人も討ち取る訳だしその復讐も兼ねて。
まあ戦術は分かってるから今のうちから対策法を考えなければならない。
あとは俺のシンパを作ること。
候補は福留隼人の子供の福留政親、最後がカッコよすぎる桑名吉成、最後はお医者さんになった吉田政重、それから義理の兄の佐竹親直。
城主格のここら辺を味方につければ俺の勝ちだ。
いや、ホントなら盛親と一緒に行きたいけどね。
噂をすれば盛親が呼んでる。
め、めんどくせー。
「おい、何を部屋に籠っている?」
盛親はお怒りのようだ。
もしかして呼ばれてたのか?
「いえ何も……。お呼びでしたか?」
「ああ、何十回も呼んだのにキサマは何故出て来ない!」
あーあ、やっぱ怒ってるな。
「いや、その考え事をしておりまして……。」
「嘘をつくな!どうせ寝ていたのであろう!」
「いっいえ……これから長宗我部の一門としてどうやって兄上をお支えしていけば良いのかを……。」
「つまらん嘘は良い。今日のところは勘弁してやるが次は無いぞ。」
あー、ウザ。こういう決めつける奴マジで嫌い。
「それで何の御用ですか?」
「お父上がお呼びじゃ。無礼なことはするなよ。」
ハイハイ、分かってますよ。これでも小学校6年間礼法習ってたんですけどね!?
で、俺は岡豊城の大広間にやってきた。
普段、元親は阿波の白地城にいるんだけど今日は岡豊に来てるらしい。
「おお、千王丸。元気そうじゃな。きちんと勉学に励んでおるか?」
元親は身長は高いし優しいしイメージしてたまんまだ。
「はい。父上が用意して下さった師がとても分かりやすく。誠に感謝しております。」
「うむ、入られよ。」
そう言って俺と同じくらいの女の子が入ってきた。
「こちらの姫は我が義兄の斎藤内蔵助殿のご息女で福という者じゃ。以前まで美濃に家族で居られたのじゃが美濃が羽柴の手に渡ったゆえ土佐まで流れてこられた。」
斎藤利三の娘で福って春日局か。
なるほど、この世界ではそーゆー設定なのね。
「はじめまして、千王丸です。」
俺は背筋をただし挨拶する。
「福と申します。」
結構可愛いな。
嫁候補にしてやりたい所だがもう嫁候補は決まってる。
本来なら徳川家の縁者から取りたいが秀吉が許すはずもないので東軍関係者の細川忠興辺りが良いなと思ってる。
ガラシャの娘なら明智光秀の孫だしね。
「で、この御方をどうして私に?」
「うむ、そなたが遊び相手になって欲しいのだ。孫次郎は近頃は忙しく、千熊丸はまぁ……あの調子じゃし。お主が1番歳も近く親しみやすいであろう。」
この歳の女の子とどうやって遊べばいいんですか!?
困惑する俺をスルーして元親は続ける。
「いずれはこの娘を妻にすれば良いとワシは考えておる。仲良くするのじゃぞ。」
いやいや史実通りに進まないとダメだから……。
「わっ、分かりました……。福殿、よろしくお願い致します。」
俺が頭を下げると福も頭を下げた。
「じゃあ、あとは若い者で遊んでくるが良い。」
で、俺は福と部屋を出た訳だがどうする?
マジで分からん。
「福殿は何がしたい?」
とりあえず聞いてみる。
「私は敵討ちがしたいです……。父上を殺めた秀吉を……。」
いや、俺も秀吉嫌いだけどそれは無理だ……。
「それは直接か?」
「はい、あの男の首をはねてやります。」
「残念ながらそれは無理じゃ。あの男は天下を取る。」
そう言うと福は怒った顔で言う。
「何を弱気なことを!貴方は今、秀吉と敵対する大名家の5男でありましょう!だらしない!」
そう言って福は俺の足を蹴った。
ああ、この感じ懐かしいけどあと12.3年経ってからが良かった。
「いやぁ……そうは申しても秀吉は賤ヶ岳で猛将の柴田勝家を破り滝川一益を降したのじゃ。それに家臣の黒田官兵衛、堀秀政、蒲生賦秀など皆優れた者ばかりです。」
「ああ、貴方は私の夫にはなれませんね!」
そう言って福はそっぽを向いてしまった。
いや、だからお前は江戸幕府で乳母になってもらわないとなぁ……。
「まあ気を取り直して私の玩具を見せてやろう。着いてまいれ。」
そう言って福の手を引きながら自分の部屋に案内した。
「うっ、悪趣味な部屋。」
えぇ……ヨーロッパ風でいいじゃんか。
「なっ……。見よ、あれは雑賀衆より頂いた鉄砲じゃ。弾は出ぬがな。」
俺は銃を持って自慢する。
「興味無い。」
うっ……なんて腹立つガキだ。
元親も面倒なこと押し付けてくれたな。
「えぇ……じゃあこれは?」
俺は地図を出した。
要は戦略ボードゲームみたいな奴でお互いに双六を投げて数が多かった方が国を貰えるみたいなゲームだ。
ちなみに、自作です。
「明智家が天下を取れる地図もあるよ。」
俺はそう言って天王山マップを取りだした。
勢力図はノブ〇ボを参考にしてる。
我ながら駒に武将名を書いたり色分けしてかなりの力作だ。
「十兵衛様と父上もいるね。」
「だろ、これ複数人でやる遊びだから家臣達も呼んでくるわ。」
てな訳で俺は家臣の一円掃部と竹内八右衛門と福留半右衛門を読んだ。
半右衛門は後の政親で歳も3つ上で1番仲良しだ。
後の二人は近くにいたから偶然捕まえた。
「5人だから今回は羽柴、毛利、明智、柴田、織田でやろう。」
それぞれ俺が羽柴、一円が毛利、竹内が柴田、半右衛門が織田、そして福が明智を担当することになった。
今、天下を掛けた国盗りゲームが始まった。