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18 韓国映画みたいな

9月に入り俺たちは鳴梁海峡にせまっていた。

攻めるにしても守るにしても難所のこの海峡の近くに敵の水軍が複数いるとの報告が成された。


「敵の罠の可能性があります。ここは迂回して進みましょう。」


「されどもし敵だった場合如何致す。我らは背後より攻められ味方は総崩れじゃぞ。」


嘉明が俺の提案に意見する。


「しかしここで敵を追い鳴梁海峡に入るとなると敵の思う壷です。荒波の中で敵に迎撃されれば味方は総崩れになるのでは?」


「五分五分じゃな。淡路守殿の意見はご最もじゃがここで敵を倒してしまう方が安心して進軍できる。ここは進軍しよう。」


「では先発は拙者にお任せくだされ。もしもの時はお逃げくだされ。」


「うむ、任せよう。」


結局俺の意見は退けられたがまあ対策は一応考えてある。

史実でこの戦いで負けた要因は潮の流れが変わったからだ。

つまり潮の流れが変わる前に白兵戦に持ち込み叩くという作戦だ。

そのために3隻の安宅船で敵を引き寄せ大量の小早で一気に近くまで攻めるという作戦だ。

淡路水軍は精鋭なのでこれに関しては問題ないだろう。

兵たちの士気も高く必ず李舜臣を討ち取ると俺は決めた。


そして翌日、やはり海峡には水軍が待ち構えていた。


「皆の者、打ち合わせ通りにやるぞ!奇襲部隊は俺と共に続け!」


俺は政親と共に小早に乗り込み安宅船の利宗に砲撃を命じた。


「放てぇ!」


利宗が手を振り下ろすと4発の砲弾が朝鮮水軍の亀甲船に降りかかった。

飛び道具は弓矢しかない朝鮮水軍が大混乱だ。

さあ、史実を変えてやるぜ。


俺たち奇襲部隊は猛スピードで李舜臣の乗る亀甲船目掛けて動き出した。

途中で敵勢の弓が降り掛かってきたが板を重ねた小早に効果はなかった。


「殿、まもなく敵軍にぶつかります!」


「良し、左右の部隊は雑魚を片付けろ!俺たちは本船を叩くぞ!」


朝鮮水軍は俺たちを止めようと弓による攻撃を続ける。


「怯むな、進め!」


俺はリボルバーを亀甲船に向けて撃ちながら命令する。

そしてついに李舜臣が乗っているであろう亀甲船を捕らえた。


「ハシゴをかけろ!」


全軍がいっせいにハシゴをかける。


「焙烙火矢投げい!」


そして上に焙烙火矢を投げ込ませる。

爆音と共に兵士たちが落ちてくる。


「全軍、乗り込め!」


俺は先頭を切って船に乗り込んだ。

襲いかかってくる兵士を撃ち殺し左手で刀を抜いて敵に斬りかかる。

敵は大混乱だ。

ただ1人だけ、明らかに雰囲気の違う男がいた。


「あいつが李舜臣だ!討ち取れい!」


俺の近くにいた3人の家臣が斬りかかる。


「오오오오!」


だがその男は矛で3人を真っ二つにした。

は?強すぎだろ……

俺は銃をそいつに向ける。


「小僧が大将か?」


「日本語喋れるなら初めから喋って欲しいね。」


「大将かと聞いている。」


「おうよ、長宗我部淡路守忠親。その首置いてけや。」


俺は両手で銃を構える。


「長宗我部?漆川梁で暴れた小僧か。ひ弱そうな見た目なのに大胆だな。」


「ひ弱だから銃を使うんだよ。」


「ふん!1度くらい刀で戦え!」


そう言うと李舜臣は目にも止まらぬ早さで矛を振りかざしてきた。

俺は咄嗟に避けるが銃を落としてしまった。


「クソが!」


直ぐに刀を抜くが李舜臣の凄まじい攻撃に俺は守るしか出来なかった。

日本であれだけ訓練したのに……!

俺は攻撃を避けながら銃を探した。


「ぐはァッ!」


しかしふとした隙に李舜臣に腹を殴られ俺は崩れ落ちた。


「少し調子に乗っていたようだがまだまだ甘いな、小僧。」


李舜臣が矛を振りかざそうとした時、俺は死を覚悟した。


「殿、これを!」


すると政親が火縄銃を蹴りよこした。

俺はすかさずそれを手に取り李舜臣の頭を狙う。


「시키겠냐!」


刃が顔スレスレで横切ったところで俺は引き金を引いた。

2秒後、目を開けると手は血で真っ赤に染まり目の前には立ち尽くす李舜臣の姿があった。

頭から血を流しているし始末したみたいだ。


俺は血を拭いながら立ち上がる。


「殿、ご無事ですか?」


「ああ、感謝するぞ半右衛門。お前がいなかったら死んでた。」


「家臣としての務めを果たしたまでです。敵も引いていくようです。」


見れば李舜臣が死んだと分かった途端、敵は撤退を始めた。

こうして朝鮮水軍はほぼ壊滅した。

合戦後、藤堂殿の船に乗り込むと皆俺を歓迎してくれた。


「すまない、淡路守殿。お主の意見を聞いていればよかった。」


藤堂殿が謝罪する。


「俺もすまなかった。単純な考えだった。」


いや、マジでやばかったからな。


「まあ、もう大丈夫です。とりあえず疲れました。」


「そうだろうな、実はワシが捕らえておる敵の将を日本に輸送せよと命令が出ておる。それをお主に任せたい。」


「つまり帰国して良いのですか?」


「うむ、そういう事だ。お主の初陣での成果を太閤殿下に報告してまいれ。」


「分かりました、お気遣い感謝致します。」


こうして俺の初陣は終わり帰国することになった。


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