17 G殺
朝鮮水軍を壊滅させた俺たちは全羅道の要所の南原城に迫った。
その後に続くように宇喜多秀家、小西行長、島津義弘、長政、そして父上らが城を包囲した。
まず諸将が集まり軍議が開かれた。
「敵方が和議を申し入れて参りました。これに関して各々のご意見を伺いたい。まずは御大将から。」
行長が秀家に聞く。
「敵は退城するのか?」
「いえ、あくまで和議です。」
「ならダメだろう。島津殿はどうも思われる?」
「中納言殿に同じく。」
「では交渉は決裂じゃな。城内に要る物は老若男女問わず皆殺しにせよ。」
宇喜多秀家って意外と残忍な性格なんだなぁと思いながら俺はそれを聞いていた。
軍議の結果、俺は秀家の隣に配属された。
大将の隣ということは活躍するチャンスだ。
「御大将、先陣は私にお任せあれ。」
俺がそう言って立ち上がると諸将の視線が一斉にこちらを向く。
「おお、淡路守殿か。漆川梁での活躍は耳にしておる。では貴殿に任せよう。」
こうして俺は先陣を任されることになった。
軍議の後、父上が俺のところにやってきた。
「先陣は危険な仕事じゃ。無理はするなよ。」
「はい、長宗我部の名に恥じぬ戦をしてみせます。」
翌日、まだかまだかと攻撃の命令を待つ兵士達の前に立ち俺は采配を振る。
「全軍かかれぃ!討ち取った者は耳と鼻を削ぎ落とせ。さすれば末代までの手柄じゃ!」
一斉に全軍が突撃する。
敵の抵抗はかなりものもので斬っても斬っても湧いてくる敵は中々に恐ろしいものだった。
しかし所詮寄せ集めの朝鮮軍は次々と攻撃してくる日本軍を前に徐々に討ち取られていった。
言語が分からないので女子供の悲鳴もそこまで悲痛ではなかったがやはり複雑な気持ちだった。
天守閣に上り詰めた俺は敵の大将を照準に捕らえた。
ダァンッ!という銃声と共に敵の大将は足を抑えて倒れた。
またも大手柄だ。
淡路長宗我部軍は自軍の4倍近い4000の耳と鼻を取り戦功第1位とされた。
「いやぁ、天下一の働きじゃ。このような息子を持たれて土佐侍従殿も鼻が高いでしょう。」
そう秀家に言われ父上は嬉しそうだった。
こうしてまたも大手柄を上げた俺の前にいよいよあの男が立ちはだかるのだった。