15 秀次事件
昨日は天気の子と教場を見ました。
天気の子は映画館でも見たのですがやはりいい映画ですね。
新海誠さんの映画は絵が綺麗なので東京に行きたくなります。
教場見て初めて知ったんですけど濱田岳さんってまだ32なんですね。結構テレビで見るのでもっとベテランかと思ってました。
それから松本まりかさんってモデルとかからの若手かなって思ってたら36歳だそうで葵徳川三代の千姫役だったの知ってびっくりしました。
「父上、お久しぶりでございます。」
年賀の挨拶をするために上洛した俺は久しぶりに父上に会った。
また見ないうちに老けたなぁ。
未だに豊臣政権は当主は父上と見なしているらしい。
「これは淡路守殿。わざわざかたじけない。」
「おやめ下さい。幾つになろうと私は父上の子供です。」
「ははっ、そうじゃな。殿下に挨拶は済ませたか?」
「いえ、まだでございます。ご一緒致しませんか?」
「ああ、そうしよう。」
隣の盛親はずっと黙っている。
やっぱ腹立ってんのか。
「全くワシもそろそろ隠居したいのじゃが殿下が千熊丸を後継者に認めて下さらぬ。これからお願いしようと思うのじゃが。」
「恐らくお許し頂けるかと。」
そんな感じで父上と話しながら廊下を歩いていると秀俊にすれ違った。
「これは金吾中納言様、おめでとうござりまする。」
父上が頭を下げる。
「おお、土佐侍従殿か。本年もよろしく頼みましたぞ。」
秀俊も俺を睨みつけて歩いていった。
まったく嫌われてしまったようだ。
そして俺達は秀吉の待つ大広間に入る。
「おお、土佐侍従に千王丸。2人共元気そうじゃな。それからそっちは確か……。」
「盛親でございます。」
秀吉まだ盛親を認知してねーのかよ!
「おお、そうじゃった。家督の件は増田より聞いているがまだ時期尚早じゃと考えておる。」
「左様でございますか……。では致し方ありませぬな。」
父上は食い下がったが悔しそうだった。
後ろの盛親がキレてるのは分かってるから無視しておこう。
部屋を出た後家臣を何人か貸してほしいと言おうとした矢先、見覚えのある顔を見つけた。
「おっ、秀忠か?」
「げっ、忠親。お前大名になったそうだな。」
「おかげさまでな。お前も元気そうだ。」
「ふん、お前に心配されるほどでもない。じゃあ夜の宴会でな。」
あいつはもう一人で来てるのか。
隣の家臣は困惑してたけどまあそりゃそうだよな。
「あれは徳川殿の嫡子の……。」
「秀忠です。私の友の1人です。」
「そうか、千王丸はわしが知らぬ間に大きくなったのじゃな。」
父上は嬉しそうだ。
もしかすると俺を信親兄上に重ねてるのか?
「あの……実は大きくなると関係することで困ったことが。」
「なんじゃ?申してみよ。」
「実はその家臣が足りぬのです。そこで何人か土佐より送って頂けぬでしょうか……?」
「なるほどのう。誰か引き抜きたいのはおるか?」
「又四郎辺りを……。」
元気にしてるならいいんだけど。
「ああ、又四郎か。分かった、奴もお主の家老としよう。本山と福留が家老とはまるで信親のようじゃ。」
やっぱ重ねてんだなぁ。
後ろから殺気も感じるけど。
そして夜、宴会が始まった。
秀吉や秀次を始め豊臣家の重鎮が沢山集まっている。
「おお、千王丸!見ねえうちにデカくなったな!」
「市兄!清須24万石を与えられたと聞いたぞ、」
「おうよ、それでも虎は25万石じゃ。まだまだワシも頑張らねばな!」
相変わらず正則は酒飲むなぁ。
清正は一応クールな感じを出してるけどちょっと照れてるね。
「おめえ、淡路に三万石だろ?人質から辰之助様の家老、そして大名とは見事な出世だな。のう虎。」
「ああ、兄として誇らしいよ。」
本当の兄ってこんな感じなんだろうな。
もし信親兄上が生きていれば……。
ふと父上の方を見てみると秀吉と話している。
雑談だといいんだけど。
「なあ、関白様どことなく顔が暗くないか?」
ふと隣に来た加藤嘉明が聞いてくる。
「拾様の件では?」
「ああ、不安になられているのか。殿下はそのようなおつもりなど毛頭ないと思うがな。」
「拙者も同意見。」
少なくとも秀吉は秀次を廃嫡する気はなかっただろう。
しかし6月に事態は急変する。
「秀次様が自害された?」
政親からその報告を受けた時、やっとかーと思いながらもやはり困惑した。
「ええ、どうやら家督の件で気を病まれ自害成されたようで……。」
つまりあいつの思い込みかよ……。
「それで殿下が激怒され関白様の妻子や家老を処刑すると。」
「まあそうだろうな。金吾は大丈夫か?」
「それが金吾様も所領を召し上げられるようで……。」
「そうか、残念だな。」
「お見送りに行かれなくても?」
「変に目をつけられても困るからな。それに小早川の養子ならその内、筑前を貰えるさ。」
そして予想通り追放された秀俊は小早川家を継ぎ筑前35万石を手に入れた。
しかしこの事件は秀俊を始め多くの大名に豊臣家への遺恨を残すことになった。