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暴力衝動と平和主義者11

「青子」

「なんですかクリムゾンさん」

 正直コミュニケーションは求めてない。いかに脳を揺らして昏倒させるか、血流を止めて意識を奪うかのことしか考えてなかった。

「君は何を考えてる?」

「あなたを殺すことだけですが?」


 まじか。

 予想はしていたが予想以上の殺意マシマシだった。

 しかも、今の言葉が無ければ今すぐ飛び出してきそうな感じだった。

 というかこの世界の現地民がみんな青子みたいなわけじゃないよな?!

 まあ、そうだったら侵攻は一瞬で終わっていただろうし。あたしたちが皆殺しにされてっていう意味で。

「では、続きを」

 紅の瞳の彼女は右足を引いて左の爪先を前傾姿勢で踏み込んでいる。言うまでもなく飛び出してあたしを打撃するつもりだろう。そして、殺すつもりだろう。ステータスは離れすぎている感はあるが、彼女の殺意はあたしの命を削るに足りる。

「そうだな」

 そして、決定的に残念なのは、


「楽しいな」


 この暴力を楽しく思ってしまった。

 命を削られる感触が愉悦だった。それをひっくり返して叩き付ける絶望を見てみたかった。

 嗜虐心じゃない。

 純粋にこの女を負かしたいという気持ちだ。

 ステータスの差?

 関係ない。彼女はあたしを殺しうる技術を持っている。

 ならば、何の抵抗もない。

 確かにあたしは人外の魔物だ。頂点ではないとしてもこの世界の人間と比べれば上位に立つ身体能力を持っているだろう。

 そして、青子はただの人間。最低限の身体能力しかもっていない。

 だが、彼女の持つ殺意は、能力すりら覆す人外そのものだ。

 そう、人外だ。でなければ、人間の身であたしにダメージを与えることなんてできない。

 鼓膜は二回も破られるし、おかしな打撃で視界がゆがませられたりと散々だ。多少は回復できるが生命力は削られる一方。

「だが」

 そう簡単に殺し切れると思うなよ獣め。

 あたしの再生力とお前の迂遠な打撃と絞め技関節技の勝負だ。

「あたしが勝った後に話を聞かせてもらうぞ」

「死んでいなかったらいいですよ」


 激突。

 といってもそのままぶつかり合えば私は余裕で死にます。親戚の緋色ちゃんが良い例ですね。あれは人外なのでダンプカーみたいなものに対して私は人間です。そして、彼女・・・クリムゾンも同じ類の化け物です。

 だから、獣ののように突進しながら伸ばしてきた手を掴み取りながら引き倒して脇固め。

「っ!」

 本来ならもう一回関節を外したいところですが、今回は向こうも警戒していたようで力を利用する前に腕を切られてしまいます。ですが、だからこそ、後頭部に掌底を一発。そして、また背を蹴って距離を取ります。

 ですが、仕切り直しなんてさせません。クリムゾンの振り返りざまに直拳を顎先に一発。膝から崩れ落ちる後頭部にバックハンド。地面に叩き付けられた瞬間、側頭部にサッカーボールキック。それだけで彼女の体は何回も横転しながら止まりました。


「でも」


 まだ終わっていませんよね?

 

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