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最狂クッキング部  作者: ルコト
8/10

第2章クッキング部の新入生歓迎会No.3

と、そこに

「失礼」

ガラッと扉を開けて入ってきたのは小樽先生と、目を見張るくらいの美青年。透き通るような肌で背が高くてサラサラの髪で、まるでお人形さんみたい……。小樽先生と並んでるとすごい違和感。

「優真、小樽のじじぃなんて連れてくるんじゃねぇよ」

「そんなこと……」

高松先輩がつく悪態に答えようとしてその美青年は私と目があった。吸い込まれそうな瞳……。

「っやっだぁ!この子が新しく来た女の子?ふわふわのウサギちゃんみたいに可愛いじゃない!?」

ぇぇええ゛!?なんか想像してたのと違うよ!?

「あら、彼もイケメンじゃない?」

「それほどでもありますわ~」

すぐに馴染んじゃってる千尋くん。え、私はまだこの目の前の見た目と中身のギャップに追い付けないんだけど……。

「もしかして僕の性格に戸惑ってる?」

「あ、いえ……、とっても可愛らしいなと……」

「いいのよ、別にお世辞なんて。見ての通りなんだから。でもせっかくだから仲良くしましょうね♪」

そして改めて私達の方を向いて

「はじめまして。3年の盛岡優真です。スイーツ作りが好き。よろしくね!」

この部活のメンバーが変わってるって言われてる原因の半分はこの人のせいじゃないかしら。


「あとこちらは顧問の小樽先生ね」

盛岡先輩がニコニコしながら小樽先生を紹介する。先生にはまたしても目があって不敵な笑みを浮かべられた。……怖い。横でぼそっと千尋くんが

「いかついなぁ……」

と呟くのも聞こえた。

「おい、綾部はどうした」

小樽先生が渋谷先輩に聞く。

「多分そろそろ来ると……」

そう言って堂々とスマートフォンを出す。

「お前、いい加減にしろよ。」

小樽先生が不機嫌そうに言う。うちの学校ってケータイ禁止なんだけどな。でもそんなこと気にする様子もなくスマホをいじっている先輩。そして、

「うわぁぁぁぁ!」

「どうしました!?先輩!?」

一緒に大声を上げる松江君。

「ヤバい、2分前に今下駄箱ってLINE来てた……!」

「え……!」

教室の中の空気が一気に凍りつく。私と千尋くんはいまいち状況が飲み込めない。でも明らかに張りつめた空気。

「ちょっと俺、出迎えに……」

と渋谷さんが言った瞬間。


ガラガラッ

「出迎えは結構」

「部長!お久しぶりです!」

「お元気そうでなによりです!」

楓ちゃんと松江くんが交互に言う。じゃあこの人が部長?でも……

「ほんっと、ごめん!マジで!おい、高松もなんか言え!」

「は?俺はお前のミスに何の関係もねーし」

「綾部、お前、また制服の着崩しが酷くなってるぞ」

「小樽先生、気のせいです」

私の目の前に立っているその人はモデル並みの超絶な美女なんですけど……


モデルのように高い身長と、長くて細いきれいな足。グラビアアイドルも顔負けだと思われる素晴らしい体の曲線美。まさしく不二子様スタイル。顔もとってもセクシーで唇の下にあるホクロがとっても印象的。女の私の目から見てもすごい美しさ。私が呆気にとられている間に部長さんは私と千尋くんの前にやって来た。

「はじめまして。あたくしが部長の綾部紫織よ。どんな料理も作る。よろしく。」

「……あ、よろしくお願いします!」

ツヤのあるきれいな声!じっと見られて目が離せない。千尋くんはすっかり見とれている様子。

「さ、あたくしも来たからはじめて頂戴」

そう言って部長はどこから出てきたのか、豪華なイスに腰掛けた。部長はが渋谷先輩に何か合図する。

「え、自分で説明すればいいじゃん」

「嫌。あたくしの代わりに働くのが副部長の務めでしょう?」

チッと舌打ちして渋谷先輩が私と千尋くんの方を向いた。

「今日は二人に、ここの部員達に料理をふるまってほしいんだ。どんな料理でもいい。でもこれが君達の今の実力を見る基準になるから、出来のいいものを期待するよ」


つまりいきなりテストってこと……?

「材料は奥の準備室にあるものを好きに使っていいから。冷蔵庫のももちろん。時間は30分から1時間くらいでね」

私の実力が見られる料理……。一体何を作ろう……?

いきなり大きな不安が押し寄せてきた。

「分からないことは俺達に聞いて。はじめ!」


「うぉっしゃ!頑張るで!」

千尋くんは気合い十分だ。

「あかね先輩、一緒に準備室見てみましょー!」

そう言われて一緒に中を覗いた。想像してた以上に材料が豊富にある。冷蔵庫も大きくて、お肉もお魚もたくさんある。

「なんでも作り放題ですやん!何しよー」

私は何を作ればいいんだろう。私にはこれが得意料理!と言えるものがない。どうしよう……。


「決まらないの?」

準備室に入ってきて声をかけてきたのは紫織部長。

「あ、えっと……」

「別に得意料理がないのは悪いことじゃないの。全部一緒に技術を磨けば最強になるんだから。あたくしみたいにね」

やっぱり凄いきれいな人。制服がもはや制服に見えないくらい着こなしてる。

「なに?あたくしに見とれてるの?」

私はハッとした。いけない、いけない。

「すみません、ボーっとしちゃって」

そう私が言うと紫織さんは私に顔を近づけて

「あたくし、可愛らしい子は好きよ」

と耳元で呟いた。

「あなたの実力、期待してる」

そう言って私の足をすっと撫でると紫織さんは部屋を出ていった。突然のことで頭が真っ白になった。……。撫でられた……。足と……お尻と……。ちょっと怖くなった。もしかして女の子達がやめていくのって……。


「あかね先輩!キャベツ、俺が使ってもいいですか?」

そうだ、今はそんなこと考えてる場合じゃない。

「あ、うん。大丈夫」

私も気合いを入れなきゃ。

「何作るの?」

「そりゃあキャベツ言うたらお好み焼きですわ!」

と言うと千尋くんは材料を抱えて元気に飛び出して行った。よし。不安がってる場合じゃない。紫織先輩が言うように、得意料理は無いけど私にバリエーションはある。お好み焼きに合わせられるものを作ろう。

うん、デザートが良い。

それにお好み焼きは味がちょっと濃い目だし、あっさりしたデザート。決めた!プリン!これなら私も何度も作ってるし、きっとうまくできると思う。私は材料を探し出して全部抱えて準備室を出た。千尋くんは手際よくキャベツを切っている。みんながそれを眺めている。見られながらやるなんて緊張する……!でも頑張ろう!


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