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最狂クッキング部  作者: ルコト
7/10

第2章クッキング部の新入生歓迎会No.2

そこで私の後ろでドアがガラガラっと開いた。私は振り返ってぎょっとした。

ものすごく背が高くてガタイが良い短髪の男の人。まるで野球部か柔道部。とにかく、ここには随分と不似合いな雰囲気だ。ネクタイのカラーが私と一緒だから同学年だ。彼はハッと私を見た。さっきの高松先輩の目を見た後だからか、すごく優しい目つきだ。

「日向さん?」

「そ、そうです」

「僕は松江誠。同学年が増えて嬉しいよ。よろしく」

「それよりも、誠。この状況どうにかして」

楓ちゃんがちらっと先輩二人を見る。

「えぇ、また僕?分かったけど……」

松江君はカバンから三角巾を出して頭に巻いた。おぉ、なんか植木屋さんみたいだ。

「誠、どう見ても体育会系でしょ?」

楓ちゃんが言う。

「でもほら見てて」

松江君は最初、

「先輩!」

と声をかけたものの二人の耳には全く入らず。すると戸棚をあけてフライパンとお玉を出してきた。そして……


カンカンカンカンッ


え、叩いてる……。

「っるせぇな!」

高松先輩が怒鳴る。

「先輩達いい加減にしてくださいよ。なんですか、原因は」

「あそこのお譲ちゃん」

渋谷先輩に言われて思わずビクッとしてしまった。

「とにかく、今日は歓迎会ですから、一回落ち着いてください」

「チッ、分かったよ、このオカンが」

高松先輩が松江君を睨みつける。

「分かったでしょ?誠は今流行りのオカン系男子ってわけ」

楓ちゃんがニヤつきながら言う。あの見た目で、オカン……。

「さ、とにかく準備をしましょう」

そう言って松江君はてきぱきと準備をはじめた。同い年とは思えないくらいしっかりしてる。ちょっといかついけどね。


私は新人席なるものに座らされた。

「優真はあとで来るって聞いた。これで全員?」

渋谷先輩がそう聞いた瞬間

「すんません!遅くなりました!」

そう言って教室に飛び込んできた男の子。お世辞にも優等生な感じではない見た目。茶髪でパーマで、多分ワックスか何かでセットしてる。しかもものすごく大胆に制服を着崩してる。

「あ、君この間見学に来てくれた子!」

楓ちゃんが嬉しそうに言う。

「ホンマ、すんません!先生につかまってしもて……。」

関西弁かな?ネクタイの色が一つ下の学年だ。しっかり謝ってくるところを見ると根は悪い人じゃなさそう。

「ギリギリセーフだから大丈夫。座って」

渋谷先輩に言われて男の子は私の横に座った。

「え、こんな別嬪さんいるなんて初耳!オレこの部活には男しかおらんって聞いてたんですけど・・・あ、楓先輩は女やけど、それとこれはちゃうっていうか。え、先輩、ネクタイの色からして2年ですやんね?でも新人なんですか?それにしても先輩めっちゃ可愛いですやん!普段からモテはるんちゃいます?なんか女の子って感じのオーラがバンバン来てますね。なんか拍子抜けしてもーて、言葉も出てきませんわ!」

あの……返事する間がないくらい言葉が出てますけど!?


「とりあえず自己紹介するから落ち着いて」

渋谷先輩に言われてハッとする茶髪君。

「あ!すんません!オレ、ホンマおしゃべりで。オカンにもよく怒られるんですけど。大阪のオバちゃんも顔負けやで!言われてますねん……あ!」

高松先輩に睨まれてしゅんとする茶髪君。

「ホンマ、すんません。」

「いいよ、うちの部活は個性的な人ばっかりだからね、大丈夫」

笑いながら言う渋谷先輩。


「さ、自己紹介と行こうか。俺は3年の渋谷。一応副部長。得意料理は肉を使った料理全般。よろしくね」

「高松翔樹。3年。パスタが得意。以上」

「2年の松江誠です。和食をよく作ります。よろしくお願いします」

「私は明石楓。2年。ホワイトソースを使った料理が得意かな。弓道部と兼部してるのであまり来れないけど、よろしく。」

「じゃあ新人のお二人もどうぞ」

渋谷さんの言葉で茶髪君がちらっと私を見た。

私がお先にどうぞと軽く合図すると元気よく立ち上がった。

「はじめまして!ピカピカの1年生、和泉千尋です!関西にいたんですけど、ここのクッキング部に憧れてこの高校に来ました!得意料理はもちろん粉もんとあとは魚には詳しいです。よろしくお願いします!」

「チッ、またうるさそうな奴が来やがって」

「高松、お前がうるさいから黙って。じゃあ次あかねちゃんどうぞ」

渋谷先輩に言われて私も立った。

「日向あかねです。2年生ですが転校生です。得意料理はこれと言って……でもどんな料理も作るのは大好きです。よろしくお願いします」

ふーっ、言えた……。やっぱり人前でしゃべるのは緊張する!

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