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終わり  囚われた0番目3

 それぞれのデータはすでに取られていると言っていい

すべての攻撃が無効化される

たとえ能力で持ち上げた岩を投げつけたとしても

そう、能力の影響下になくなった物体が寧々子に向かったとしても

その機械触手に撃ち落とされる

ならばハルミの時間操作は?

詩季はハルミにシフトすると寧々子の時間を止めた

いや、止まらない


「無駄だよ」

「どうしようもなく無駄」

「お前たちに私を攻撃するすべはない」

「私にミサイルを撃ち込んだとしても私は耐えるさ」


詩季ハルミ「ううう、どうすれば」

  「どうすればいいの」


美汐が詩季をかばうように前に出る

それは寧々子に対峙するということ


「次はお前か?」

「来い、無駄だろうがな」


美汐は能力を全力でぶつける

が、やはりまったく意に介さない

そこを司がナイフを投げて攻撃した

寧々子はちらりとも見ずに触手で撃ち落とす

撃ち落としたその触手で司の胸を貫いた

ハクラと同じように心臓をえぐりだされ、地面に転がる


詩季ハルミ「くそ!くそ!」

  「巻き戻れ!」


ハルミは時間を巻き戻そうとする

二時間丸々巻き戻ってしまい、再び神流と戦うことになるだろうが

死んだ者はその前、生きていた時間まで巻き戻る

ならば自分が見てきた未来を変えられる

そう思って

しかし、能力は発動しなかった


「何をやろうとしたのかは知らんが」

「成功していればこちらは少し不利になっていたのか?」

「お前の切り札だったようだが、残念だったな」


触手が詩季めがけて振り下ろされる

それを才華が防いだ

いや、能力が解除されたため才華がかばう形となり貫かれる


腹の中で暴れる触手


「グブゥ」


血反吐を吐き出す才華

しかし、その触手をしっかりと握り、動きを止めた


「詩季、ちゃん、今なら」


おびただしい出血

詩季はすぐには動けなかった

そこにまたも触手が迫る


振り下ろされた触手

それは

美汐が受け止めた


肩口、鎖骨をくだき、肺まで達する触手


激痛に意識を失いそうになる

しかし、それでも、美汐は叫んだ


「詩季!やれ!」


ハッとする詩季


銃に普通の弾を込める

まだ数本の触手が襲ってくる

それを、霊花、鷹音、が受け止めた

もちろん、生身で受けたその体は無事では済まない

死ぬのも時間の問題だろう

それがわかったから

彼女たちにこたえるため

詩季は立ち上がる


アトラはそっと詩季に寄り添う

手を添え、その軌道を外すことのないように


「触手を!」

「っく!、なぜ動かせん!」


ガードに回そうとする触手はそれぞれの体に深く食い込み

それを握る者たちの手によって動かすことができなくなっていた


ゆっくりと銃を寧々子に向ける詩季とアトラの手

そして

引き金を引いた

撃ちだされる鉛

それは寧々子の額を貫いた

後ろへと倒れ込む寧々子

皆を貫いていた触手ははがれる

詩季はアキナにシフトすると急いで治療を開始した

しかし、司、才華はすでに死亡

起き上がることはなかった

死した友人たちを並べると

急に涙が込み上げてきた

助けることができなかった

大切な友人たちはもう起き上がることも一緒に笑うこともないから

涙は止まらない

そこに声がかかった

絶望の声が


「お別れはすんだ?」


そこには、今倒れたはずの寧々子が立っていた

打ち抜かれた頭からは脳?のような固形物が流れ出ている

どういう理屈で?なぜ立って?不死身

そう思いが至った瞬間

胸に鋭い激痛が走った

胸に目を落とす

そこには

ぽっかりと穴が

そしてその先には

抜き出されたまだ脈打つ心臓があった


詩季ナツキ「あ、れ?」


詩季は自分のシフトが保てなくなったのか

髪の色がまるで壊れたテレビのようにパチパチと変わる

眼の色は失われ、死が訪れようとしていた


「詩季!」


アトラが駆け寄る


力なく倒れる詩季


「だめ!まだ死んでは!」


アトラは力を解放する

解放された力はその流れを詩季の体に生命力として流れ込んだ


死の間際ならばまだ間に合う


アトラの力はほぼすべての、思い描いたことができる

しかし、力が強すぎるため、相手の蘇生ですら相手を不老不死にしてしまう可能性もある

危険だ

自分と同じ目に合わせてしまうかもしれない

永遠とも思える長い生

それを詩季に与えてしまうかもしれなかった

それでも、この世界の未来を担える詩季の可能性を思い

アトラは注いだ


詩季は意識を取り戻す

詩季は自らの心臓が脈打つのを感じた


詩季「アトラ学長...」


寧々子は面白くないと言った感じで言う

「また無駄なことを」

「死ぬまでの時間が伸びただけ」

「もう一回きっちり殺してあげる」


触手を詩季に打ち付けた


それを詩季は拳一振りで撃ち返す


「な!」


寧々子は驚愕した

能力を無効化できる自分の攻撃を

いとも簡単にはじかれたことに


「ならばもう一度!」


再び繰り出される触手を詩季は拳で撃ち返していた


「これは、なぜ、無効化が発動しない」


詩季の意識は一つになっていた

それぞれ寧々子を倒すという目標のもと

完全に一つに


そして、その能力を開花させた

それは

支配

その場のすべてを支配する

何物にも代えることはできない事象を

死という概念すらも

支配し、書き換える


死した仲間は生し

無効化するならばさらにそれを無効化する


壊れたものならば巻き戻り、壊れる前の状態に


事象も、概念も、生も死も、何もかもが詩季の支配下に置かれる


詩季「見えている」

  「あなたのその悲しさも」


「何を言って...」


寧々子の体が光に包まれて崩れ始める


「なんだ...これ...」

「私の...」


いや、痛みがない?

光が優しく私を

なんだろう、心が、温かく


寧々子の目に死した娘の姿が見えてくる

娘は手を伸ばす

(おかあさん)

その手を寧々子は取る

(瞳...)


その光が消えると

寧々子も消えていた


あたりには何事もなかったような平和な景色

死者は生者へと戻っている


詩季の意識は再び4分割された

そして、気を失う


その詩季の体は

倒れ込む直前で

皆が見ている前で

消えた

まるでテレポートしたかのように


みんな何が起こったのか分からなかった

突如寧々子が消えたことも

死んだ自分たちがなぜ生きているのかも

寧々子と戦っていた面々

足止めをし、殺されたハンターたちも

ただ、黙していた


脅威は去ったのだろう

何もかもが襲われる前の状況

しかし、もう襲ってくるものがいない

安堵が周りを覆い、歓声が上がる

蘇ったものはいまだに意味が分からなかった


それから数週間

詩季が返ってくる様子はない


「どこに言っちゃたんだろう」


「僕たちはまだお礼も言えてないのに」


詩季の友人でありチームメンバーでもある5人は悲し気に語らう

リーダー不在のまま

パーティを継続させているのは彼女が返ると信じているから




――――――――――――――


目を覚ました詩季が

いや、詩季たちが見た場所は

暗がり

詩季の体は、ナツキ、フユノ、アキナ、ハルミの四人の体になっていた


暗がりの中に一筋の光が見える

光に向かって歩き出す四人


光の中が見えてきた

中には茨でがんじがらめにされた褐色の女性が目を閉じ

眠っているかのような像だった


「お待ちしていました」


像から声がする


「誰?」


「私はノル」

「零番目のノルです」


「零番目?どういうことですの?」


「私たちは観測者」

「あなたがたが転生する際に出会った者のことは覚えていますか?」


「はい、たしか、ドレスを着たきれいな方でした」


「その子は私の...そうですね」

「妹に当たる存在です」

「名を、三番目のトレーシャ」

「私たち観測者は世界を監視し、導く存在」

「あなた方はその観測者に選ばれた特別な力を持つもの」

「そこにいる方と同じように」


そこで気づいた

一人の少女

自分たちと同じくらいの年の少女が立っていることに

しかし、その顔半分は仮面のような白いものでおおわれていた


「私はイア、あなたたちと同じ転生者です」


「イア、さん?」

「私たちと同じ?」


「はい、私ももともとあなたたちと同じ女子高生...」

「だった」


「なるほどなるほど」


「わかるの?ハルミちゃん」


「なんとなくだけどね」

「私たちは選ばれたって言ってた」

「それに、零番目に三番目」

「あなたは何番目?」


「七番目です」


「ふむふむ」

「ノルさん、何人いるの?観測者は」


「七人です」


「ということは私たち以外にも複数人が選ばれてるってことか」


うんうんとうなずきながら何かを理解するハルミ


「つまり、私たちみたいな特殊な力を持った」

「もしくは与えられた?」

「そういうのがまだいるんだけど」

「そういうのに世界を救わせて」

「頃合いで回収したってことかな?」


「あらかた正解ですが、少し違いますね」


そう答えたのはイア

先にここに来ていたのだ

いろいろと聞いていたのだろう


「私たちは転生するよりも前」

「転生前のせいを受けるより前に、ある事象により力を授かりました」

「その事象は、創造主の喪失」

「いえ、...............」


そこから語られるのは衝撃の事実だった

ノルはそれゆえ囚われた


それゆえに皆力を授かった


騙されている

彼女たちは騙されている


終わりました

最後の部分は少しずつ明らかにしていきます

ほか作品の最後とかでね

では、次作品でお会いできたら幸いです

まぁつなげていくので呼んでくれればうれしいですよ

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