表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/59

15 黒幕の登場なんです2

 名実ともに国の最高戦力となった六人は六聖守護者と呼ばれるようになっていた

どこに天災級が出没しようが着実に討伐する実力と、その速さを持って被害を最小限に防ぐからだ

もはや世界中の人間が口々に言う

新たなる英雄の誕生だと

しかし、アトラ含む幾人かは一抹の不安を抱いていた

いずれ確実に来る神災級の出現のことだ


「彼女たちと美汐、アクシアの働き、また、SSSランクたちの力添えによって少しは盛り返しています」

「しかし、相変わらず定期的に、まるでそれが日常のように天災級はあらわれています」


「学長、このままでは疲弊し、神災級との戦いに支障が出るのは明白です」

榊が不安を浮かべた顔で述べる


そうはいっても今天災級を野放しにしてしまえば確実のどこかの国が消えるだろう

それは、皆わかっている

敵方もそれを狙っているのだろうことも

敵は、確実に人類を滅ぼそうとしていた

突如として現れる天災級は必ず都市を襲うように出現している

元凶を叩かなければ人類は滅びる


 そんな中、詩季たちは相も変わらず天災級の討伐に目まぐるしく駆け回っていた

当然、出ずっぱりの彼女たちの疲労は激しい


詩季アキナ「もう、一か月以上戦ってる気がする...」


「そうかも、僕たち、今じゃ英雄って呼ばれてるんだってね」


「あこがれてたけど~、なってみると~、ただ忙しいだけ~、みたいな~」


英雄と呼ばれるのは嫌いではなかった

ただ、羨望や憧れのまなざしが、期待に満ちた目が怖かった

ほんの一年ほど前までは自分たちにそこまでの力はなかったのだから当然と言える


「私、人形を直してもらってくるね」

「これ、特別性だから組合じゃないと直せなくて」


「うん、行っておいでよ」

「そのくらいの時間なら大丈夫だと思うよ」


「私もすこし、武器の手入れをしてもらってきます」

「霊花さん、一緒に行きますよ」


霊花とハクラは司につかまり、組合へと戻る


残った詩季、才華、鷹音は少しの休憩のために地面へと座り込む


詩季アキナ「そういえば鷹音ちゃん」

  「さっき受けた傷、大丈夫?」


「あ、ええ、はい、治してもらったので問題ないですよ」


詩季アキナ「それならよかった」

  「あら?才華ちゃん、もう寝てる」


横で口を開けて眠る才華を見て二人は笑った

クークーと小さく寝息を立てる才華

よほど疲れていたのだろう

みんなの盾となる才華は特によく動いている

最も硬いとされる金属、オリハルコンを取り込んで

自らの体の構造をオリハルコンに置き換えることのできる才華

大概の攻撃ははじくことができる

手荷物大楯とその体でほぼすべての攻撃を受け止め、チームの守りの要となっていた


およそ30分後、三人が戻ってきた


そのタイミングでちょうどよく指令が入る

近くでまたも魔生物が現れたとのことだ


そこに、今までにない違和感を感じた


今まで定期的に一定のリズムで出現していた天災級が、こんなにも短期間で現れたことはなかった

いくらなんでも早すぎる

少し不安に思いながらも現地へと到着した一行


そこで見た光景、それは惨劇


数十人のハンターが倒れ伏し、息絶えている

どの遺体もバラバラ、もしくは潰れ、あるいは消し炭、もしくは爆散

あらゆる形で死んでいた


その遺体の中心、そこには女性が立っていた

目は虚ろ、真っ赤な髪を血でさらに赤く染め上げている

手には装飾美しいロングソートそれが偉業ともいえる六本の腕それぞれに握られていた

さらにその周りに数百本、いや、数千本ともいえる量の様々な形をした剣が地面に突き刺さっている


女性はゆっくりとこちらを向く

そこに人間らしさは皆無だった

まるで、そう、ゾンビ


「なに...あれ」

霊花はゾッとした


「僕、あの顔見たことある」

「行方不明になってた」

「殲滅女王...」

千堂神流せんどうかんな...さん..だ」


詩季フユノ「なんですって!?」

  「でも、あの姿は」


「わからない、千堂さんの能力はオーラブレードだったはず」

「作り出した剣で戦う達人だったんだけど」


神流はこちらをジッと見ている(目の焦点は定まっていない)


突如、視界から消えた


「危ない!」


すんでのところで撥ね飛ばされそうになった詩季の首を守る才華の盾

ガインという金属音を立てて剣ははじかれた


詩季フユノ「た、退却しますわよ!」

  「アトラ学園長に報告しなくては!」


すぐに司に全員捕まると転移した

迫ってくる刀はぎりぎりで空を薙ぐ


「グゥウウrッラアア」

低く獣のように唸った神流はまるで瞬間移動のようにかっ消えた


学園に転移した一同はすぐにアトラのもとへと向かう


慌てた様子の六人を招き入れたアトラは悟った

ついに、神災級の現れたことを


しかし、そこからはアトラも驚いた

千堂神流が、神災級の魔生物となっていたことに


「学長、これはやはり、以前姉さんを実験体にしたリサーチャーの仕業では?」


「そうですね、私もそう思います」

古賀祢寧々子こがねねねこ...恐らく、彼女が」

「生きているんですね?寧々子」

「あなたは、一体何をしようとしているのです...」



―――――――――――――――――――――――――

リサーチャー、古賀祢寧々子はかつて娘を失った

魔生物が街を襲った時の混乱に乗じた犯罪者の手によって

凌辱されて、ごみのように捨てられ、死んでいた


寧々子は心が壊れるほど悲しんだ

くしくも彼女はそれで覚醒した

どんなものでも解析する目と、複数のモノを一つにする力に

その力は魔生物の知識を飛躍的に高めただけでなく

今まで防戦一方だった人類に反撃できるだけの力を与えた


彼女は称賛され、たたえられた

それでも心の壊れた彼女は人を恨むことはやめなかった

自分の娘を奪った人間を許せなかった

壊れた心で考える

どうすれば復讐できるかを

自分の力では人類すべてを敵に回すことはできない

だったら自分が魔生物になろうと思った

もはや正常な思考ではない

 

 その実験の最中、爆破の能力を持った魔生物とともに

自らをふき飛ばしてしまった

即死は免れたものの、体の右半分は無くなり、死ぬことを悟った

彼女は死ぬ間際に奇妙な安らぎを得た

娘のもとに逝ける

そう思った時、手が差し伸べられる


「お前の力が必要だ」

「手を貸せ」


もはや血の通わない左手でその手をつかむ

死ぬ覚悟はもうできていた

そのはずだった

何がその手をつかませたのかはわからない


目を覚ました寧々子は大男が傍らに立っているのに気付いた

亡くなったはずの右半身は元に戻っている

それどころか力がみなぎるようだった


「お前に、この世界を滅ぼすだけの力を与えてやる」

「滅ぼせ、にくいだろう?」

そう言われてうなずいた寧々子

流れ出る涙はそれで最後だと言わんばかりにあふれ出た

それ以来涙は出ない


寧々子は大男の願いをかなえると決めた

天の門を開け

それが彼の望み

彼の名はセグマッド、終末の七柱の一人だった

クライマックスッシリーズ突入って感じです

ちょこちょこほかの作品とつなげる話も出てくるようにしてます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ