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14 さぁ、修行の開始なんです4

 砂漠の地中を這い進む

どういう原理なのか、まるで泳ぐ蚊のように素早い


「あのでかさであのスピードか」

「まずは地中から引きずり出す必要があるな」

「ばあさん、できるか?」


少し考えて答えるアクシア


「でかいねぇ、まぁ、やるしかないさ」


アクシアは重力を支配し、自分の体を空へと持ち上げる

ゼログラビティ、半径三キロを無重力空間にするが

任意の相手をそのままの重力下に置くこともできる

美汐たち以外のすべてが宙へと浮いた


いくら体が大きかろうが体重が重かろうが

無重力空間では何の意味もなかった


ゆっくりと地中から引きずり出され暴れるデスワーム


「うわ、気持ち悪いです」

「なんですかあのおぞましい姿は」


一見すると芋虫のような姿

その体節からは無数の脚、ところどころに毛が生えていた

すべてを飲み込みそうな口からは異臭を放つ


「うう、すごい臭いだ」

「大量の生ごみが腐ったような」


美汐は鼻をつまみ手を仰ぐしぐさをする


詩季ナツキ「先生、アクシアさんから合図が!」


「む、そうか」

「攻撃開始だ」


美汐はデスワームの尾っぽから攻撃していく

巨体すぎて分解が遅いが少しずつ削れていく


「詩季、やれ!」


詩季ナツキ「はい!」


詩季が双銃剣に力を込めると周囲に冷気が漂い始めた

その冷気を一気に収束させ撃ち放った


命中した瞬間絶対零度の氷結が訪れ、デスワームを包んだ

瞬間冷凍され固まる


アクシアはゼログラビティを解除すると地面に降り立った

と同時にデスワームも落ちてくる

その体躯は地面に激突し、粉々に砕け散った


「うわぁ、えぐいな詩季」

「ぐちゃぐちゃになったぞ」


砂漠の暑さのためか、砕け散った氷はすぐに解けはじめ

異臭を放つ肉片があたりに散らばった散々な光景になっていた


「し、しばらくここは立ち入り禁止区域にするです」

「早く帰りましょう」


鼻をつまみながらセリアは訴えた


いったん支部に戻ると、一人の女性が来ていた


「戻られましたか、セリアさん」


白髪がとても似合う健康的な黒い肌に白い口紅

右腕にはめる赤いガントレットと

左の腰にぶら下げた左手用の刃付きメリケンサックが光っている

ガントレットには黒い炎の文様が鈍く浮き出る


「アナシー、戻ってたのですね」


アナシーと呼ばれた女性はコクリとうなずいた


アナスタシア・クララウス、皆は親しみを込めてアナシーと呼ぶ

能力は黒い炎を纏っての格闘戦

右手のガントレットで殴ると黒い爆炎が上がり

左手のメリケンサックで斬るとその傷口から炎が広がり相手を包み殺す

SSSランクのハンターだった


「こちらの討伐も終わりました」

「デリーのところもまもなく帰還するそうです」


「そうですか、頑張ったご褒美になでなでしてあげましょう」


セリアがそういうとためらうことなくすっと頭を差し出すアナシー

撫でられる間うっとりと目を閉じていた


詩季がその様子をじっと見ているとアナシーがそれに気づき言った


「あなたもどうです?」

「素晴らしいですよ、セリアさんのナデナデは」


真顔で言ってくるので詩季も戸惑った


「いいですよ、詩季さん」

「あなたもよく頑張ってくれましたからご褒美なのです」


近寄って背伸びをし、詩季の頭をなでる


詩季ナツキ「な、なんかこっぱずかしいんだけど\\\]


そこに扉を開けて男が入ってきた

撫でられる光景を見て少し固まる男

デリー・トンプソン

薄い赤毛に頬にちょっとした傷をつけている

年齢は若い、20代前半頃だろう

背中にはパルチザンと呼ばれる長槍を背負っている

能力は音波

槍を突き刺すことで音波の振動を内部に伝え、体の内側から破壊する


「あの、セリアさん?」

「報告いいですか?」


「む、デリーさん、どうでしたか?」


「は、はい、時間はかかりましたが無事死者も出ず討伐できました」


報告を聞いたセリアはこちらに向き直り説明する


「彼らには天災級でも比較的危険性の少ない...」

「といっても危険すぎることには変わりないですが」

「その天災級の討伐に行ってもらってたのです」

「アナシー、デリー、ありがとうです」

「ゆっくり休んでくださいです」


「はい、では、失礼します」


二人は部屋を出た


「これで、天災級は片付いたですよ」

「でもまだまだ警戒しないとですね」

「いつまた現れるかわからないですよ」


「そうですね、我々はまた別の支部での活動があるのでそろそろ御暇おいとまします」

「セリア支部長、お気をつけて」


「はい、ありがとうなのです!」


ニコリと子供っぽく笑う笑顔はとても70代とは思えなかった

まぁ若返るのだから当たり前かと詩季は思った


次の目的地はヨーロッパ

すでに国はひと塊となり、一つの大国家を形成している

これも魔生物対策のためだろう

一つ一つの国では対処しきれなかったためその結果として一つの国家にまとまった

いま世界には人同士の争いはない

共通の敵は人類を幸か不幸かまとめていた


共通の兄妹案敵こそが今の人間には必要だと思っています

人間同士で争うなんて愚の骨頂!

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