13 天災が世界を覆ったんです2
三人の前には巨大な蛇が鎌首をもたげていた
東京にかつてあった電波塔のゆうに三倍はあるだろう
「でかいな、やれるか?ばあさん」
「まずはあの首を抑える」
「美汐、あんたはそのすきに消し飛ばしな」
かなり高級そうなスーツ姿のアクシア
白髪まみれの白髪をたなびかせ、蛇の首に重力を加えて行った
蛇は頭を垂れていく
まるでお辞儀でもするかのようにゆっくりと
「よし、美汐!」
「ッは!」
美汐が右手をかざす
かざしたそばから蛇は分解され、霧となって消えた
「残りは?」
「後一体です」
「場所は、大阪です」
「急ごう」
最後の天災級の出現場所、大阪へと飛んだ
大阪ではすでに数百人単位のハンターが戦っていた
「お待ちしておりました!」
「戦況は芳しくありません、ハンターたちに多数の犠牲者が出ております」
「集まっているのはランクB以上です!」
「ランクB...詩季たちもいるということか」
「詩季?誰だいそれは?」
「あたしの弟子みたいなもんだよ」
「一応そいつらの担任だったからね」
「ふむ、美汐にもそのような子ができたか」
「昔はあんなにおとなしくて引っ込み思案だったのにねぇ」
「ちょ、ばあさん、今そんなこと言ってる場合じゃ」
「はいはい、わかってるよ」
「行くとするかね」
腰をトントンと叩きながら椅子から立ち上がるアクシア
三人は天災級のもとへと向かう
数時間前のこと、東京
詩季たちは組合で同級生ハンターたちと話していた
「げ、お前らもうBランクかよ」
「俺たちまだCだぜ?」
そう驚いているのは同じクラスだった岸部藤太だ
能力は回転、触れたものに回転を加えることができる
武器はダーツの矢、回転を加えることでライフル並みの威力を持つ
詩季「ま、これがあたしらの実力ってことだよ」
「岸部も頑張りなよ!」
詩季は藤太の背中をたたく
「お、おう」
「おれ、頑張るわ」
顔を赤らめながら答える藤太
「あれ、絶対詩季ちゃんのこと」
「だろうね」
「前からあんな感じだもんね」
司と霊花の二人はクスクスと笑った
その時、エマージェンシーコールが鳴り響いた
『緊急事態発生!緊急事態発生!』
『天災級が複数確認されました!』
『Bランク以上のハンターは至急大阪へ向かってください!』
「詩季、いくのか?」
詩季「ああ、行かなきゃ」
「そうか、気を付けろよ」
「絶対帰ってこい」
詩季「いわれなくてもわかってるって」
ハクラ、鷹音、才華と合流すると詩季たちは大阪へテレポートした
大阪、現在
詩季たちは天災級の巨竜に吹き飛ばされていた
死んではいないがすでに戦闘不能だろう
その巨躯に全くダメージが与えられなかった
詩季たちは己の弱さを痛感した
まるで歯が立たない
災害級と天災級でここまで違うものなのかと嘆いた
そこに、美汐たちが到着する
「詩季!大丈夫か?」
詩季「美汐先生、私は大丈夫です」
「そうか、では傷ついたものの治療を頼む」
詩季「はい!」
詩季はそこで後ろにいるおばあさんに気づいた
詩季「先生、そちらの方は?」
「ああ、私の元上司、かな」
「初めまして、あなたが詩季ちゃんね?」
優しく微笑みかけるアクシア
詩季「は、初めまして」
「私はアクシア」
詩季「え!?アクシアさんってあの!?」
「重力の支配者、七大英雄ですよね?」
「あら、こんなお嬢さんにまで知られているのね」
「そらそうだ、私はともかくばあさんは名前も顔も出してたからね」
詩季「あの、お会いできてうれしいです」
ギュッと握手をする二人
そこで何かに気づいたかのようにアクシアは眉をひそめた
「お嬢さん、あなた、無意識に力を抑えてるわね」
詩季「え?」
「まぁ、詳しい話はあとにしましょう」
「いくよ、美汐」
「ああ」
詩季「ま、待ってください!」
「今の言葉」
「あとでアトラ学長のとこにきなさい」
「そこで話すわ」
「それより、早く仲間の治療をしてあげなさい」
詩季「はい」
詩季は気絶している5人の治療を始めた
「やはり、わかったかばあさんには」
「当たり前だよ」
「まるで昔のあんたのようだね」
「それに、倒れてたあんたに似た子」
「あんたのお姉さんだね?」
「ハハ、かなわないな、ばあさんには」
「まぁその話はあと」
「とりあえず今はあのでかいのを倒してからだよ」
「了解!」
榊の元に戻ると三人は巨竜のもとへ転移した
「さぁ、もうひと踏ん張りだよ!」
アクシアは最大限の重力を叩き込んだ
巨竜は一瞬のうちにただの肉塊へと変わる
「ば、ばあさん」
「派手に決めたな」
「ありゃ、あんたに倒させるつもりだったのにやっちまったよ」
あれだけのハンターたちが苦戦した相手をいとも簡単に潰してしまった七大英雄
それほどにSSSランクと英雄の距離は遠かった
とりあえず七大英雄がどれほど強いのかというのを表現したかったので
ちゃっちゃと倒させました
ちなみに神災級は七大が壊滅するほどです




