9 死んだあの子はお姉ちゃんで生徒になったんです4
美汐に導かれ、オークの巣へと向かう生徒たち
道中では少なからず魔生物も出たが、大型には出くわさなかった
通常の魔生物なら今の生徒たちでも難なく倒せる
「よし、もう少しでつくぞ」
「私は少し状況を見てくる」
「リサ先生、ここはお願いします」
リサ先生と呼ばれた若い女性は答えた
「りょ、了解しました!」
彼女はまだ一年目の新任で
名前はリサ・マルルライト、年は24
能力は周りから光を集め、光学迷彩を施したり
一転に集中させることでレーザーを生み出す
武器は水晶でできた特殊なレンズだ
「せ、先輩、気を付けて行ってくださいね」
「フ、いらぬ心配だぞリサ」
「私一人でも殲滅できる」
「いや、殲滅しちゃだめですよ先輩」
「生徒たちの訓練なんですから」
「冗談だ」
「か、からかわないでくださいよ」
「ハハハ、では頼んだぞ」
「はい」
そして美汐は森の奥へと入っていった
「大丈夫かな?美汐先生」
「オークって人間を一番襲ってるって聞いたよ」
そう、霊花が詩季に言った
詩季「美汐先生の能力なら大丈夫じゃない?」
「広範囲にも対応できるみたいだし」
「そっか、美汐先生学校で学長に次いで強いもんね」
その話を聞いて鷹音が割って入る
「そうなんですか?」
「あの美汐が...」
「立派になって」
「え!?」
「鷹音ちゃん、泣いて..」
「あ、ごめんね」
「昔から知ってるから、なんか感慨深くて」
「昔はね、美汐、すごくおとなしくて」
「ずっと双子のお姉ちゃんについて回ってたの」
「あの美汐先生が!?」
「うん、引っ込み思案で、すぐ泣いちゃうような子だったの」
「へぇ~、意外だね~」
「でも、それ、なんか違和感があるんだけど」
と、司が指摘する
「え~なにが~?」
「鷹音ちゃんは、12歳、だったよね?」
「う、うん」
「今美汐先生は29歳...」
「鷹音ちゃんが物心がついた年が早くて1歳くらいだとしても」
「美汐先生はそのころ18歳」
「美汐先生のおねえさんは確か僕らより2歳年下の10歳で亡くなってるから」
「鷹音ちゃんはその光景を見てないはずなんだ」
「それなのに、まるで見てきたみたいに話してるけど...」
「あ、そ、それは、美汐姉さんから直接聞いて」
「...そっか」
「ごめんね、疑って」
「う、ううん、いいよ」
そこで、みんなに聞こえないように司は鷹音に言った
「なにか、隠してるよね、鷹音ちゃん」
「な、なにも隠してないよ」
「そう、でも、もし隠してるとしたら、悲しいな」
「僕たちは、鷹音ちゃんの仲間だ」
「なにか、重いものを背負ってるんだとしても」
「話してくれるなら僕らも一緒に、背負いたいんだ」
それを聞いて鷹音は安心した
「う、うん」
「今は、今は言えないけど...」
「いつか、いつかきっと話すから」
「きっと...」
「そっか」
「いつでも、僕たちを頼ってね」
「うん、ありがとう」
鷹音は仲間と木綱が深まった気がした
しばらくすると、美汐が返ってくる
「おーい、オークに特に変わった様子はなかったぞ~」
にこにこと手を振るが、明らかに返り血がついている
それを見てリサは驚いた
「せ、先輩!血が!血がいっぱい!」
「あ、ああ、これか」
「帰りがけにうろついてたオークが私に矢らしいことをしようとしてな」
「なんとなく腹が立ったから消し飛ばした」
「け、消し飛ばしたじゃないですよ!」
「びっくりするじゃないですか!」
「ハハハ、すまんすまん」
「ほら、これで血をふき取ってください!」
リサは自前のタオルを渡す
「お、ありがとうリサ先生」
「洗って返すよ」
「いいですよ、支給品ですし」
リサは生徒たちの方を向く
「さ、行きますよ生徒の皆さん」
「美汐先生も、ほら」
「うむ、では乗り込むぞ、生徒諸君!」
「連携はいつも通りな」
「なに、君たちならできるさ」
「頑張れ!」
ニコリと笑う笑顔を見て、やはり鷹音と似ていると詩季は思った
オークの巣はそう遠くない場所にあった
詩季たちは戦闘準備をし、武器を構えた
次は戦闘します
ちゃんとした戦闘書けるかな?




