1 生まれちゃったんだけど意識が三つあるんです
三人は同時に目を覚ました
ナツキ(あれ?体が動かない)
フユノ(あなたもですの?)
(でも、周りは見えますわ)
(ここは、赤ん坊用ベッドの上かしら?)
アキナ(あ、あの)
(私、体が動くんですけど...)
そういうと手を目の前にかざす
そこに移るのは赤子の手だった
ナツキ(赤ん坊の手?)
フユノ(あら、私にもみえますわ)
アキナ(あの、これって)
フユノ(同じ、景色を見て、感覚も同じ)
(本当に同じ体に入ってるみたいですわね)
ナツキ(嘘だろ!あたしは認めない!)
(くっそぉ!どうにかして動けないのか?)
ナツキが意識内でもがいていると
ナツキ(あれ?体が動く...)
(ぎこちないけど、動いてる)
ナツキは手をにぎにぎしてみた
目の前にかざした手が動いている
アキナ(あれ?今度は私が動かないよ~)
フユノ(もしかして)
フユノは意識内で動こうともがいた
ナツキ(あれ?また動けなくなった)
フユノ(あら、動けますわ)
(どうやら、自由に体の所有者を変えられるようですわね)
(所有者でないときは見る感覚だけ共有できてるみたいね)
その時、部屋の扉が開く音が聞こえ、誰かが近づいてきた
女性「あら、この子、もう目が見えてるみたい」
男性「おお、見ろよこの顔、お前そっくりで美人だぞ」
女性「まぁ、あなたったら」
ナツキ(うえ、なんだこの甘々な感じは)
フユノ(おそらくですが、私たちの両親でしょうね)
アキナ(綺麗な人ですねぇ)
女性は赤ん坊をのぞき込む
女性「おはよう、シキ」
「ご飯の時間よ」
そっと赤ん坊である自分たちを抱えて部屋を出た
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数年後、シキは6歳になり、ESPの適正検査を受けていた
ESP検査官「奥さん、この子は以前お話したように特殊です」
「その時に出ている人格によって能力が変わるようです」
「ナツキちゃんの時はパイロキネシスやサイコキネシスといった攻撃系」
「フユノちゃんの時は身体能力向上や強化といった補助系」
「アキナちゃんの時は治癒系」
母「はい、私も驚きました」
ESP検査官「これは異例ですよ」
「いまだかつてこのようなことはなかった」
「正直、お子さんがどういった成長をするのかわかりません」
「危険認定され、隔離される可能性もあるかもしれません」
母「...そんなことには、絶対になりません!」
「私の子供たちはみんな正しく力を使ってくれると信じています!」
ESP検査官「たちですか」
「奥さん、なにかあれば必ず私に相談を」
「不肖ながらこの日野美汐が協力いたします」
「この子たちの力、大切に育てましょう!」
ESP捜査官の女性はシキの母の手を握った
母「は、はぁ」
美汐「そこで提案なんですが」
「お子さんもまもなく学校へ入られると思います」
「私としてはこちらの学校をお勧めしたいのですが」
母「国立対魔生物ESP育成学校...」
美汐「そうです!」
「ここならばESPの扱い方を学べるし」
「高等教育までエスカレーター式!」
「学費も免除!さらに寮付き!」
「それにですよ!」
「私が保険医として常勤しているのでお子さんを見守ることもできるのです!」
まくし立てるようにしゃべる美汐に対し
母「そこは、魔生物と戦うESpを育てる学校じゃないですか!」
「そんな危険な学校に娘を入れることなんてできません!」
美汐「でも、いずれ必ずそうなりますよ」
打って変わって真剣な表情になる美汐
美汐「かならず、彼女は国に取られ、ESPとして魔生物と戦わさせられます」
「そうなれば会うことすらかなわなくなるかもしれない」
「そうなる前に、自ら国の管理下に入れば、面会も自由です」
「何より、事情を知る私があの子を国から守ることだってできる」
「そうではないですか?」
母「それは...」
美汐「絶対に悪いようにはしません」
「信じて、ください!」
母「...わかり、ました」
シキことナツキ、フユノ、アキナの三人は
国立対魔生物ESP育成学校、通称ESP校へと通うことになった
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この世界は生前の世界と似ている
住んでいる国は日本だし、東京だし
何もかもがほぼ同じといってよかった
ただ、この世界の人々にはESP(超能力)を使えるものがいて
街の外を普通に魔生物と呼ばれる危険生物が闊歩していた
百数年前までは世界も平和で、魔生物なんてものはいなかった
しかし、1910年の7月11日、世界は別世界に重なり
一変した
原因はわからない
そのとき、別世界の生物、魔生物がなだれ込み、人々は突如としてESPに目覚めた
三人はそれぞれESPを手に入れ、この世界へと生まれ変わったのだった
学校の通称がいいの思いつきませんでした
だれか考えてください
あと、変なとこあったら教えてください
アドバイス的なコメントが私には必要です