表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おしまいの町に灯りが灯る  作者: 川名真季
27/31

お祭りの二十七日目

 今日もうんざりするほど、空が青く、うんざりするほど、太陽が強く輝いて、暑い。

 そんなうんざりする暑さの中で、町が、ざわめいている。もうすぐお祭りが始まるのだ。


 学は、白い組み立て式パイプテントの下で、手話の本を読んでいた。今さら読んでも本番にはすっかり忘れているだろうと思ったが、それでも、少しでも、覚えておきたいと思うからだ。


「うわっ、勉強熱心だね」


 隣から、安川が学に話しかける。


「でも、ここまで来たら、細かいことは気にしないで、元気良く踊ればいいよ」


「だいたい正直に言えば、あそこに集まっている手話サークルのおばさんたちは、みんな耳が聞こえない人の通訳になれるくらい上手だからね。俺らが間違ってもあの人たちがちゃんとやっているから、適当に動けば大丈夫だから」


 安川は勢い良く学の肩を叩く。


 学は「痛いですよ」と笑って言いながら、思う。この人が三戸里市を覆う邪悪な意志に加担しているとは、到底思えない。まだあまり話をしていない他の三人も、同じだ。本宮陽菜乃が心配していたのは、本当に未来を変える会だったのだろうか。


 事件のことを考える学の意識を、幼稚園児たちの賑やかな声が、お祭りへと引き戻す。


 お祭りのオープニング、幼稚園児たちの歌とダンスが始まったのだ。学は顔を上げ、ステージの方を見た。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ