薬は用法容量を守って正しくお使いください
爺さんの寝顔を見ていると婆さんは、その寝顔が愛おしく感じた。
(よく見れば、爺さんの寝顔って可愛くないかしら……。)
その後、婆さんも爺さんに寄り添う形で眠りに落ちた。
爺さんは夢を見た。
婆さんが世界一美しかった時の頃の姿を……。
しかし、悪い魔法使いよってその美貌が失われていく場面を遭遇し、今の婆さんになり替わるところを目の当たりにしました。
「ギャーーーーーーーーーーっ」
爺さんは、発狂し家の土壁がはがれるくらいに叫びました。
婆さんもまた、その声に起こされ驚き。
「キャーーーーーっ」
と艶めかしい声で叫んだ。
不意に郵便局からお届け物が届いた。
送り主は空白だった。
小包の中から、手紙が入っていた。
内容は、
《拝啓:おじじとおばばへ
春という季節は、出会い別れの季節ですね。
新しい命が芽吹き、花は役目を終えればその花弁は散っていく。
そうやって命は育まれていくのです。
私は、あなた方お二人に提案します。
私は、爺さんの生涯の伴侶とでもいえる、婆さんの美貌を奪いました。
したがって私は、貴方にとって、憎むべき存在でしょう。
だからです。私を倒して元の婆さんに戻してみてはいかがですか?
その小包の中には、私を倒すための道具が入っています。
婆さんを救えるのはあなたしかいません。
しかし、やるかやらないかは、あなた次第です。
最良の決断を祈っています。
悪い魔法使いより》
爺さんは、婆さんを二度見しながら、この手紙に書かれてあることを信じることにした。
そして、婆さんの言葉を思い出し考えていけばこの手紙と共通する文言があり、信じる根拠となった。
爺さんは、婆さんに聞いた。
「貴女は、世界一の美女だった″天″さんですか?」
「やっとわかったのか」
「そうだよ、いかにも私が世界三大美女の一人の天だよ」
「ここに書かれてるものは全部本当のことですか?」
爺さんは婆さんに手紙を見せた。
婆さんは、縦に頷いた。
「で、私を元に戻してくれるのかい」
期待された眼で見つめられた爺さんは、首を横に振った。
「私には、もう若さがない……だから助けることができないです」
「若くなる薬でもあれば、話は別なのですが……。」
婆さんは、小包の中から怪しげな液体を取り出した。
小瓶のタグには、″年齢退化″と書いておった。
婆さんは、肩を落とした爺さんにお茶代わりと言いその液体を飲ませた。
すると爺さんの体は神々しく光り始めた。