3/7
おじじとおばば2
そこに見える鏡の前のお婆さんは、どこにでもいるような普通なお婆さんだったのです。
「……。」
お婆さんは、とてもショッキングなことだったために、言葉を失った。
「お分かりになられましたか?」
「……。」
「貴女は私の知っているお婆さんではないのです。」
「しかし、変ですね。」
「私の知っている、お婆さんの着物と貴女の身に纏っている着物が酷似していますね。」
そう言ってお爺さんはお婆さんを疑い深い目で足から順に舐めまわすように頭の先まで見た。
「おい、て…てめぇ…」
「人をエロい目で見んじゃねぇよ」
お爺さんは、ハッと我に戻り、ゴホンと咳ばらいをした。
「いえ、決して私はそのような目で貴女を見ていたわけでは…ありませんよ。決して……。」
「やっぱてめぇ、エロい目で見てたんじゃねぇか」
「鼻血をなんとかしろやぁ」
「私が鼻血ですか?」
お婆さんが持っていた手鏡を借りて自分の顔を見ると、そこには人生で流したことのないような出血量だった。