無力
皆様、新年あけましておめでとうございます。
まだ執筆し始めて2週間の身ではございますが、今年もぼちぼちやっていきますので、どうかよろしくお願い致します!
不意に、胸でスマホが振動した。
寒い。
強く握りしめ、ポケットから引きずり出し、見る。
父からの着信だった。
私は、自覚していたよりも随分動揺しやすいらしい。
財布から学生証を出すのすらおぼつかない。
退場ゲートを無駄に鳴らし図書館を出た頃には、表示が不在着信へと変わっていた。
乾いた熱気が私を温める。
そよ風が、鳥肌を収めてくれた。
図書館の裏手に回り、電話を折り返す。
わずかワンコールだった。
「もしもし。」
ゆったりとした低い声。どうやら急ぎの用では無いらしい。
「もしもし。さっき電話くれたよね?何かあった?」
お父さんとの電話はあの時以来だ。
「あぁ、あのな。ちょっと夏帆について、家族会議じゃないが、一度皆で話し合わないかと思ってな。」
あぁ。ついに。
「お姉ちゃんについて?具体的には?」
「母さんも前言ってたと思うが、再蘇生についてだ。」
5秒かけて口実を探した。見つからなかった。
「分かった。いつ?」
久しぶりの帰省がこんな嫌な形になるとは。
どうせなら数日泊まっていけと小さな親切を頂いたので、荷造りをする羽目になった。
リュックサックの中身が、モノクロに染まる。
あぁ。
あの本の写真を撮っておけばと後悔が押し寄せる。
エラーの記述さえ見せれば無知な私でも両親を説得出来た...というのは楽観的すぎるだろうか。
どちらにしろ、根拠なしで突撃しても陰謀論者として扱われるのがオチだ。
明後日までに何かしら武装を整えなければ。
ふと、エアコンからパキッと音が鳴った。
入居当時からの備え付けだったが、入って早々壊れてしまい、制御部品を交換してもらっている。
他人に操られる側の気分は、今なら身に染みて分かっている。
こいつは今、幸せだろうか。
私は、エアコンの電源を切った。




