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...驚いた。さっきの嫌な思いがこんな短時間で更新されるなんて。


そんなことを考える程、私は、私を見ていた。


昨日、見られていた?

悶々としながら帰っていた、あの時に?


誰が?

...あの本にメモを挟んだ奴。


そもそも、あの本は誰かのSNSで見つけて、蔵書検索にかけたら、B408って。


スマホを手に取り、顔認証を受ける。

4回目でようやく通る。

震える手で検索をかけた。


...無い。

そもそもあの本が出てこない。


私はまだ夢でも見ているんじゃないだろうか。

今朝はやけに寝起きが良かったし、きっと。



そう思えたら、良かった。

そうやって忘れ去るにはあまりにも衝撃的で、理不尽で、それでいて魅惑的な記述。



まただ。また何も分からない。

後ろを定期的に見ないと落ち着かない。

むず痒くて、気持ち悪い。

きっと、見てるんだ、今も。


変に、興奮した。





今日もお姉ちゃんのお見舞いへ。

道路の節々は自然なピンクに彩られ、DNAに刻み込まれた感覚がそれを肯定する。

そんなに時間が経っていた。


電車に乗り込む。

駅のホームとの微妙に空いた隙間が奈落のように見え、荷物を持つ手にも力が入る。

普段自動車か自転車でしか移動しない私にとっては新鮮な体験だ。

だけれど、これからはこの隙間も日常の一コマになるんだろう。


それを、いまからお姉ちゃんに伝えに行くのだ。


スムーズに引き戸を開ける。

レールの端に着いたゴムクッションが勢いを柔らかく受け止めてくれた。


白いベッドには、髪をまとめ、天井を見つめるお姉ちゃんが横たわっていた。

天井のシミでも数えているのだろうか。

そうであれ。


「久しぶり、お姉ちゃん。2週間ぶりかな?」


...まあ、反応が無いのはもう慣れた。


「あのね、お姉ちゃん。私、堀香大学に行くことになったよ。まあ、滑り止めなんだけど。それでも、中々悪くないでしょ?」


褒めて欲しいなあ。


「それでね、私、一人暮らしすることになったの。ほら、堀香大って県外じゃん?実家から通うのも考えたんだけど私にはそれはしんどいかなって。」


寂しがって欲しい。


「だからさ、お姉ちゃんに会うのも月1くらいになっちゃうかも知れない。本当にごめんね?」



お姉ちゃんは、シミを数えるのに夢中なようにみえた。



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