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「影の王、誕生阻止戦」

風が――戻ってきた。


精神世界から帰還したユウトとレオンの周囲に、風が渦巻き始める。

第三の影の侵食で停滞した空気が、ようやく「世界」を思い出したように。


『ぷるぷるっ! 世界が息しはじめたですぅ!』


ゴルドが大地を踏み鳴らしてうなる。


『第三の影は精神世界への根を断たれた!

 だがやつはまだ“器”を完成させていない!

 ――今が叩き落とす唯一の好機だ!』


第三の影がゆらりと浮かび上がり、形を歪ませながら笑う。


【レオンを奪ったか……

 だが、世界を奪うのは……私だ】


地面が再び白銀へ浸食されていく。

空と大地の境界が剥がれ落ち、すべてが“線”だけに還っていく。


レオンが剣を握り直す。


「影との縁は――俺が断つ!!!」


だが第三の影は冷たく言い放つ。


【縁などない。

 お前はただ“空白を背負った人間”】


「違う……違うさ。

 俺は――仲間を得た!」


レオンの周囲に風が集う。

その風はユウトの声を運び、レオンの意志を支える。


ユウトは一歩前へ出る。


「さぁ……世界は風を取り戻した。

 あとは――」


ユウトが剣を構えた瞬間。


――ユウトの“内なる風”が世界と重なった。


髪が激しく揺れ、風がユウトの背へと翼を描く。

大気が震え、戦場の中心に竜巻の核が生まれる。


完全覚醒

風の勇者ウィンド・アヴァターユウト


第三の影が初めて、恐怖の波を揺らした。


【その力……風が“人を選んだ”証……

 許されない……】


「許す? 許さない? 知らないな」


ユウトは剣を構え――宣告した。


「世界の意思は――俺たちだ!!!」


――戦闘開始


第三の影が空間を捻る。

風が切り裂かれ、レオンの足元が崩れる。


『ぷる!? 地面が消えてるですぅ!』


レオンが踏み込み、ユウトの背中を護るように影へ斬りかかる。


「死んでたまるかあぁぁぁ!!!」


――ガギィィン!!


影の腕が刀へと変形し激突。

白銀の火花が散る。


ゴルドが拳を振り下ろし、地を砕いた。


『影に現実を渡すなぁぁっ!!!』


ユウトは風を拳へ凝縮。


「吹き飛べ!!

 アエル・ブレイカー!!」


――ドォォォン!!


白銀の霧が千切れ、影の身体が刃こぼれした人形のように歪む。


第三の影の叫びが空気を削る。


【世界が……私を拒むのか……!?】


ユウトが叫ぶ。


「世界は――生きたいんだよ!!!」


第三の影が怒号とともに地へ腕を伸ばす。

裂け目から、「輪郭のない獣」が這い出てくる。


――影の眷属。


レオンが睨み、ユウトへ叫ぶ。


「ユウトは本体を!

 ここは俺が抑える!!!」


「任せた!」


レオンの剣が閃き、眷属を次々と消し飛ばす。


ユウトは影の核へ突き進んだ。


影の核心――世界の境界線の裂け目


第三の影が最後の防壁として、空白の渦を放つ。


【世界は崩れ……私が再構築する……!】


「それじゃダメだ」


ユウトは胸に手を当てた。


(風は……外じゃない

 ここにいる)


風の核が震える。


吹き荒れる――生きようとする風。


ユウトは、剣を水平に構えた。


「さよならだ――影」


【やめ――】


斬り裂く。


――風断ちの一閃。


世界を飲み込む白銀が吹き飛び、影の身体が線ごと分解されていく。


第三の影が最後に吐き出した言葉は――


【まだ……終われない……

 世界の……輪郭は……

 壊れたまま……】


完全消滅。


白銀の残滓が霧散し、風が一斉に吹き荒れる。


ピリィが歓声を上げた。


『勝ちましたぁぁぁぁぁ!!!!!』


レオンが膝をつき、深く息を吐く。


「……ユウト。

 本当に……ありがとう」


ユウトは風を収め、その肩を軽く叩く。


「礼はいいって。

 これからも、共犯だろ?」


レオンは、迷いなく笑った。


『共犯って言い方がおかしいですぅ!!』


風が吹き抜ける。

世界が、再び呼吸を始めた。


だが――


ゴルドが、眉間の皺をより深くした。


『第三の影は倒れた。

 しかし……あの言葉が気になる。

 “世界の輪郭は壊れたまま”』


ユウトとレオンが顔を見合わせる。


風は戻った。

けれど――


(影の根は……まだ残ってる?)


足元の土が震えた。


大地の底――

“第四の影”の胎動が、確かにあった。


ユウトは風を握りしめた。


「いいぜ。

 まだやれる」


レオンが隣で剣を構える。


「当然だ」


世界はまだ終わらない。


――風の勇者の物語は

ここから第2章へ動きだす。

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