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二体の死体

 群がる人々の間から見えるのは、一体の首のない死体。


 ”何? 事故?”

 ”死んでるの?”

 ”そりゃあの感じじゃ……”


 狭かろうが広かろうが野次馬という存在はどこに行っても一緒だ。自分だってその中の一人に過ぎない。

 だが、多かれ少なかれ悲痛な顔を浮かべる者達の中で、おそらく自分だけは違う。


 ーー敬三。これからどうなるんだ私達は。


 


 

 国頭神社で見つかった死体は二体。 敬三と和幸君だった。

 敬三はお堂の中で全身をめった刺しにされた上、首を切断されていた。切断された首は元々祠が置かれていた岩の上に乗せられていた。

 

 同じく首を切断された和幸君の死体は祠の岩の前で胡坐をかいた状態で見つかった。しかし奇妙だったのは和幸君の首が見つからず、なおかつ誰が切断したのかも分からなかった事だ。

 状況からして和幸君が敬三を刺殺。その後和幸君は首を切断された事による失血死で亡くなっていたのだが敬三を刺した刃物と切断面が一致しなかった。どうやって切断されたか分からない程綺麗だったらしい。


 こっちから調べずとも狭い地域故に話は勝手に耳に入ってきた。色んな人間が色んな噂や想像を掻き立て、恐怖しながらも皆どこかエンタメのように彼らの死を面白がっているように見えた。


“何か変な事が起きたらお前だけには分かっていて欲しい”


 敬三はあの日何を思ってあんな事を言ったのだろう。あいつもひょっとすると同じく終わりをーー。


 まただ。

 また勝手に終わりが浮かんだ。

 終わり。おわり。オワリ。


 勝手に浮かぶ言葉の中に、唐突に違うものが混じった。

 あの日の敬三の話。その時は感じなかった妙な違和感が今になって立ち昇ってきた。


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