10. 巨大組織ジル
あの激しいバトルから数日後。リコウに勝って新しいチャンピオンになったクウヤは有名になり、アイアンガレージにはたくさんの客が増え繁盛していた。
ブレスレットをマーロに返し左目を取り戻したクウヤは、体力をつける為にトレーニングをしていた。デトとロイトは、それを屋根の上からニヤニヤしながら見ていた。
「クウヤ、チャンピオンおめでとう」
「お前たちのおかげでリコウに勝てたし、ギン爺のスクラップ屋も繁盛した。ありがとうよ」
「次のバトルも絶対に勝ってね」
「ああ。今はまだTUNK4のチャンピオンだけど、俺は階級をもっと上げて最後はGRANDTUNKのチャンピオンになってやる」
「もしクウヤが強くなってチャンピオンになったら、あの巨大組織ジルを倒してくれる?」
「もちろん、お前たちの大事なルピサも俺が絶対守るってやるよ」
そしてクウヤの目が光る。
「親父を殺したあいつらを、俺は絶対に許さねぇ!」
クウヤはそう叫びながら、激しいトレーニングを続けていた。
「フフフ、じゃあ僕たちはルピサに帰るね」
デトとロイトは微笑みながら小さな穴に入り、ルピサへと帰って行った。
やがてザハスのサンデルク地区に、ゆっくりと夕陽が落ちていく。
無骨に聳え立つ球体のタンクは、美しい夕陽の明かりで真っ赤に染まっていた。
第1章「小人とスクラップ屋」 終わり