No.32、梅雨入り
面目ねぇ、投稿して大分後に気付いたがとんでも無いポカやっちまってた…
夏の国例に漏れず水無月城。
春の国の大統領、アスタリスク・スターレールから宣戦布告を受け、夏の国現国王春間輪回はある人物を招いていた。
市松人形のような可愛らしい髪型と服装、それを忘れさせられるような白目と黒目が反転した異質な眼球。
無則仮名はその目を少し上に向けて真っ直ぐ見据えている。
勿論その視線の先にいるのは春間輪回である。
輪回はその少し高い場所に位置する玉座に鎮座し、同時に瞑想するように目を瞑っていた。
「で?なんじゃったか。妾に何をしろと言った?もう一度言ってみぃ小娘。」
「一応私も200年以上は生きているんだが、まぁいい。聞こえなかったと言うのならばもう一度。無則仮名よ、私に協力して、そして真名と共に死んでくれ。」
先程降りていた沈黙の原因が再び発生し、仮名はそれを聞いて掌を輪回に向けた。
「輪回よ、お主がどのように今の地位についたのか、まさか忘れたわけではないだろう?妾と真名の機嫌次第で、この国は簡単に滅びるのだぞ。」
「怖いことを言わないでくれ給え。何も考えなしにこんな事を言っている訳では無い。只、とある化け物の足止めをして欲しいだけだ。」
「とある化け物とな?」
手をおろし安全が保たれたのを確認し、輪回は短くその名を口にした。
「無音。」
その名の通り、再び二人の間に沈黙が訪れる。
「それは、真名にも言ったのか?」
「あぁ。彼女は快く同意してくれたよ。」
仮名は少し考えたような素振りを見せ、無表情は崩れ不気味に微笑んだ。
「任された。理を超える無則の力、とくと見せてやろうかの。」
少しずつ仮名の存在が曖昧になっていくが、その時の仮名の眼球は、一般的な物に変わっていた。
仮名と輪回の対談から3時間後。
午前4:00、夏の国と春の国を隔てる夏の国第二国門の上。
涼しい風が吹き抜ける中で、3人の影が動いていた。
元五騎アイシス・ハルマと、秋の国の巫女楸雨天神威。そして鈴音。
彼らは明朝から始まると予想される春夏戦争に備え準備を進めていた。
それから数時間後、陽が少し昇った時。
「鈴音。前もって言っておくが、これは戦争という名称を使っているが雑兵は居ないと同然だと思え。まず間違いなく一対一の戦いが各地で起こる事になる。そうなるとき、七分咲羅の円火ですら足手まといになる。」
アイシスは何か薬品を調合しながら背中越しに鈴音に話しかけていた。声からは分からないが、その表情には何が含まれているのか。鈴音はある程度の予測と好意的解釈で返事をした。
「つまり、国内潜入の紅蓮と円火と違って私には春の国の精鋭と戦え。ということですか?」
アイシスは門の下にいるらしい誰かと短くハンドサインを行い、珍しく少し笑いながら鈴音と神威の肩を叩いた。
「当たり前だ。臆するなよ、だが驕りもするな。お前らにできることを、任されたことを遂行しろ。」
言いながらアイシスはどこからか取り出した弓矢を構えている。
「合図と共にだ。距離は約220km、大分進んできたな。」
3秒後、アイシスの持つ永弓無窮花の弦は疾走した。
「行け!!」
放たれた矢に連れて行かれるように、鈴音は神威を抱いて遥か先へと飛び出した。
凡そ10分後、統一の感覚で前進する春の国の騎士団の頭上に、一発の矢と二人の影がたどり着いた。
鈴音は中指と親指を擦り、神威は控えめに手を添えた。
「鈴音!!」「神威ッ!」
矢が一人の目の前に突き刺さると、とても人の手によって引き起こされたとは思えない爆音が爆ぜ辺り一帯は塵埃に包まれた。
それを遠く春の国と夏の国から見る国の代表者二人。
「輪回、私はお前を止める。」
「諦めろアスタリスク。私は、お前から攻撃を受けることはない。」
春夏戦争は爆音を以て開かれた。
後々解説は挟みますが、今回登場した無窮花の簡単な説明だけしたいと思います。
アイシスが所有している武器の一つで、弦の付け根と指で引く場所の存在を固定し、其の間にある弦を曖昧にすることで引き続けることで放つ矢の速度や飛距離が変化します。
詳しくは追々書きます。
あと、活動報告を見ていない人が十割だと思うのでここで伝えさせてください。
私が並行して書いてる「君のソナタ」で没になった話を短編として書いているので暫く投稿がいつも以上に不定期になります。何卒御理解を。




