No.14紅顔の蓮
すみませんでした
私は新しく手に入れた刀を持ち、夏の国防衛通称ギルド、
その入団試験の受付をしていた。
「初めての方ですね。戦士希望ですか?
それとも、魔法使い希望ですか?」
ギルドでは入団に不平等が生まれないように戦士希望の人と魔法使い希望の人とで試験の内容が一部変わっている。
そしてこれは試験について夢幻さんに聞いていたとき耳にタコができるほど言われたことだ。
「戦士希望で。」
「はい、分かりました。試験まで残り一時間ありますので、準備が必要でしたら今のうちに行ってください。これが今回の貴方の受験者証明カードとなります。番号順でお並びください。」
受験者証明カード、現在の受験者の数と自分が何人目の受験者か分かるものだ。当然私はドベである。
残りの一時間、何をして時間を潰そうか。
そう思っていたら、所々橙色の混じった女性のようにサラサラな髪をした紅顔で少し幼く見える青年が話しかけてきた。
「よぉ!お前も入団希望者か。学園じゃ見なかったが外国から来たのか?」
「いえ、およそ14の頃に事故にあってしまい。この国出身のものですが学園に通えてなくて。」
「成る程、そりゃ災難だったな。俺は逆に高等部のときに
ここに越してきたんだ中等部でなら会えたかもだったな。」
中等部も行ってないはずだから会えないがな。
「あぁいけねぇ、話しかけることを意識しすぎて自己紹介がまだだったな。灰頭紅蓮だ。」
「紅蓮さんですね、よろしくお願いします。私の名前は凜と申します。」
「堅苦しいな、おい。呼び捨てで良いしタメ語で良いよ。
仲良くしようぜ。」
カカカッと少し独特な笑いを見せながら体を震わせていると紅蓮の前に屯していた人が紅蓮の背中にぶつかった。
「うぉっ!」
「あぁ?誰だお前、痛ってぇな。」
紅蓮は無様な声を上げながら私の方に倒れてきた。一方、相手の方は随分好戦的のようだ。
「ちょっと、おい凜!受け止めてくれても良かっただろ!」
なんとなく避けてしまい紅蓮は床に這いつくばっていた。
「あ、ごめんなんかの防衛反応が。」
「今お前の何を俺は侵害しようとしたんだよ!」
「貞操?」
「俺にんな趣味は無ぇよ!」
くだらない会話にぶつかってきた男は怒りだした。
「てめぇら俺を無視するとはいい度胸だな。俺を誰だと思ってる!」
「さぁな知らん顔だし。ただ、お前が誰かは知らないが
お前がこれから何になるかは知ってるぜ。」
「本気で舐めてるみてぇだなぁ?」
ぶつかってきた男は徐ろに短剣を取り出た。そのまま斬りかかると同時に紅蓮は指を銃の形にして詠唱をした。
「紅蓮」
目の前に炎でできた蓮華の花が浮かび上がる。
炎の方へ男が突っ込んでいった瞬間、
「少し頭を冷やしたらどうだ。試験の前に落ちたいのか?」
そう言いながら軍服を着た灰色の髪のぱっとしない男が音もなく現れ手を双方にかざし。
「亜空」
そう言うと炎の蓮華の花と男の短剣は消失した。
この人も受験者だろうか。警戒しているとぶつかってきたきた方の男は素っ頓狂な声を上げた。
「あ、あ、あ、アイシス・ハルマ!」
「「「「「「やべぇ逃げろ!」」」」」」
男達は一斉に外へ逃げていった。
アイシス、それがこの男の名前らしい。
「今回はどんな新人が出るか期待して来たんだが、まともなのは三人か、それも二人知り合いと来たものだ。」
はぁ、と疲れが目に見えるような様子だった。
「そこのお前、白髪のお前だ。」
「はい、何でしょうか。」
「今回の試験に二人天才がいる、一人は正式に入ってなかっただけで実力は既にsランクでもトップだ。精々尽力することだな。」
「転移」
そう言い残し、アイシスはどこかに消えてしまった。
二人の天才、注意するように言うということはその二人と争う必要があるのだろうか。私は気を引き締めることにした。
「それでは夏の国防衛入団試験、戦士希望者、並びに魔法使い希望者の方は10名ずつ係員について会場に向かってください。今回の会場は旧異種族闘技場となります。」
移動が始まった。私の番号は325番、まだ先は長そうだ。
予想外、それはあまりにも予想外。
ほんとはここで試験やるつもりでした。
それでもここで紅蓮とアイシスにあって貰わないと物語に支障がかなり出るのでお許しください。
(読者がいるかは別問題)