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鈴音  作者: R a bit
鈴の音は遥か彼方へ
42/57

番外1、運ぶ言の葉仰ぐこの空

本当は君のソナタ書くつもりだったんですが、ちょっと明るめの話書く気分じゃなかったので。

灰色の髪を無造作にはねさせた一人の男が、まだ五騎さつきの一人と数えられていた時の話。

アイシス・ハルマがアイシスになる所以。

強さを、ただひたすらに力を求めたハルマではなく。

ただ一人の人間。アイシスとなる話。

一人の捨てられた少女と出会う物語。


鉄の香りを運ぶ草の揺らめきがアイシスの鼻腔をくすぐる。

何時もはこんな匂いを嗅ぐことはなかった。

基本的に防衛団ギルドのメンバーは魔物や魔族と戦う。

ただこの時は違った。

アイシス・ハルマは、夏の国現国王春間(はるま)輪回(りんね)によって直々に任務を言い渡されていた。

内容は、輪回が就任時に革命未遂を起こした騎士団や冒険者達の残党の排除だった。

魔族や魔物とは違った切り心地。

意味の分かる悲鳴。命乞い。

自分にも流れているはずのものが、大量に自らを囲う生暖かい感覚。

手に残る繊維や骨を断つ感覚。

その全てがアイシス・ハルマの精神を狂わしていた。

与えられた任務は殲滅だった。

確かに現在平定の夏の国に、武力反乱を起こす危険性の有る集団を野放しにするのは、リスクのある事だ。

アイシスも、それは重々承知していた。

疑問に感じていたのは、その家族も反乱分子として扱う事だった。

迷っていた。揺らいでいた。

だから彼は今、目の前にいる小さな少女を殺すことが出来なかった。

歳は何歳だろうか。二桁行っているようには見えない。

何故彼が、ここまでこの少女を手に掛ける事に対して疑問を持つのか。それは人道的なものや道徳的なものでは決して無く。

同情でも愛情でもない。情をかけたわけでもない。

彼は驚いていた。驚愕していた。おののいていた。

目の前の年端のいかぬ少女に。

確かにその感情を抱いていた。

だから彼は、アイシス・ハルマは、唇とナイフと喉を震わせる。

「お前は…何をしているんだ…?」

その少女の親は勿論、友人も、好意を寄せる相手も、忌み嫌う者も、恐らく全て殺したその血塗られたナイフを眼前に突き出されて

その小さな少女は、

ただ、目を瞑ってその時を待っていた。

「何故逃げようとしない…?」

少女は沈黙を貫く。

「怖くないとでも言うのか?」

眉も動く気配はない。

「お前の親は、お前をおいて逃げようとしたぞ?」

汗もかく様子はない。

「俺は、お前を殺そうとしているんだぞ?」

その少女は不動で不変だった。

「私には…もう…何も残ってない。」

手を握り合わせ、祈るように、彼女は首を差し出した。

こうやって、アイシス・ハルマは動揺していた。

「名前。名前は、なんて言うんだ?」

これが、アイシスと風鳴かざなりの風雅ふうがとの出会い。

そして、アイシスが風雅を育てる為に五騎を抜けた理由であり、事実的に五騎が解散した日と成った。

大分個人的な話なので読まなくていいです。

ただ字にしたかっただけなので。


名前は挙げませんが、私の憧れの人が一件起こしました。

三年強応援し続けた身として辛い限りです。

あの人のお陰で私は言葉の素晴らしさを知れました。

今こうやって自分の創作物をネットの大海に流せているのも、あの人に憧れていたからです。

創作は恥ずかしいものではないと知れたから、こうやって今自作小説なんて羞恥心の塊を開放できています。

比喩の美しさも、言葉選びも、全部あの人から始まりました。以前(勝手に名前挙げるのは申し訳ない)西尾維新先生と榎宮祐先生が小説を書くきっかけ。みたいな事を書きましたが、それ以前に言葉に興味を持てたのは全部あの人の曲に一聴き惚れしたからでした。

6月に始まって6月に終わる。

随分しみったれで、それでいて蒼い青春でした。

こんな無名な中二病を未だに拗らせたガキの駄文でも、片手をなんとか超えるくらいには見てくれている人がいる。

今はこの人たちが私があの人を見つけたように、時間割いてでも読んで良かったと思えるような小説を書きたいと思っています。

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