No.1第二話(下)よらば斬る
やっぱ細かい戦闘描写を文字で表すのは私には無理でした。
「なぁ紅蓮。」
殆どの人が1限目の準備をしているため、廊下は三人が独占する形になった。
「お前はさ、怖いとかそういうマイナスな感情特に無いのか?」
怒っているような悲しんでいるような。
静かで自然の美しさを思わせる雰囲気を纏い、白髪混じりの水色髪の青年、凛は後ろをついてくる赤髪の青年、紅蓮へと問う。
「そんなもんねぇよ、会ってまだ少ししか無いけど。
お前が何の意味もなく人を殺すやつじゃ無いってのは分かる。」
「そうか。」
それ以降三人の内誰も声を上げることはなく、そのまま施設内の闘技場へと向かった。
「凛!灰頭紅蓮!穂叢円火!三人共一分半の遅刻だ!!!」
全ての単語にエクスクラメーションマークがついてそうな大声のサングラスを付けた教師が既に十名程の生徒を整列させていた。
正直、同じクラスに氷璃が居たら中々くるものがある。
当然二年近く毎日暴言暴力を加えられていれば、ある程度全校生徒の顔は覚えている。
殆どの奴は顔見知りだったがそこに氷璃の姿は無かった。
「では!今からから!体力測定を開始する!!」
ビリビリと空気が震える。俺等は初等部から居るから慣れているが、紅蓮は平気なのだろうか。
「なぁ凛、体力測定って俺がいた学校と同じなのかな?
こっちは長座体前屈とか反復横跳びとかしてたんだが。」
「そりゃ随分平和な体力測定だな。この学園の体力測定は体力測定とは名ばかりのただの模擬戦だよ。」
「今から!魔力量の測定を行う!」
次々と生徒が魔力量の測定に向かっている。
「これあれか?水晶破壊するやつ。」
ツッコミにくい事を言うな。
解読不可
意外な事に紅蓮の魔力量はそこまで多い訳ではないらしい。
それでもクラスでは上から数えたほうが早いが。
それにしても、全くもって誠に遺憾だ。
「やっぱこうなるんだな。」
俺の対戦相手は模擬戦用の切れない刀を二つ腰に挿した赤髪の少女、穂叢円火だった。
「今度こそ勝たせてもらうわよ。」
「そんな気張らなくてもいいだろ、まだ出番じゃ無いんだ。」
そうはいったが、今から始まる紅蓮の試合の後らしい。
「中々に盛り上がってるわね。」
「そうだな。」
編入生がクラストップ(俺と円火を除いて)と戦うのだ。
クラスは黄色い声援に飲まれている。
「編入生!気張れよー!!」
「カイイ!クラストップの実力見せてやれー!!!」
そうだ、名前を思い出した。
カイイ=ディヴォート、茶髪と珍しい髪色をした入学式の時、MUSHA×KUSHAのくだりをしてた奴だ。
「カイイって言うんだな、宜しく!」
「こちらこそ。」
男性の中では声が高く、目を瞑れば女性と間違えそうな声だ。
「元の位置!!!」
サングラスの教師が手を掲げる。
「始め!!!!」
ビリビリと揺れる空気を先に切り裂いたのは、紅蓮だった。
「しゃあ!行くぞ!!」
第一階梯魔術、猪突。
手を牛の角に見立てて突進する技。
いきなりヤンキー戦法だ。
「behind of you。」
第三階梯の陰属性魔法だ。伊達にクラストップを名乗っていない、これを無詠唱で行うのか。
影になったカイイが紅蓮の背面に現れる。
「紅連!」
腕から炎の渦を出すが、また避けられた。
「良い火力だね。」
「随分お喋りなんだな、舌噛むぞ?」
何度も紅蓮が攻撃を繰り返し行うが、全て避けられてしまっている。
次第に紅蓮が苛つき始めたのか、地面を抉るほど豪快に拳を叩きつける。
「大丈夫?血が出ているようだけど…」
「るせぇ!」
ブンブンと紅蓮の拳が虚空を殴る。
「五騎に入る!なんて意気込んでいたけど、なんか大したこと無いのね。」
「辛辣な事言ってやるな、お前からしたらそうかもしれんが、俺達凡人からしたら、紅蓮もそこそこやる奴だ。」
それに、愚かなのはカイイの方だろう。
「ハァハァハァハァ…」
ダラダラと汗を流し、紅蓮はもう動けないようだった。
「うん、これで終わりかな?よく頑張ったんじゃ無いかな。」
パチパチと称賛と皮肉を込めた拍手を送る。
「俺はさ、魔法のセンス無ぇから…名指ししか使え無ぇんだ。」
ボソボソと振り絞るように言葉を捻りだす。
「俺の名指しは紅連。連なる紅の炎だ。」
刹那、地面から火の柱が立ち昇った。
「条件型設置魔法、紅蓮。」
「しまっ!」
炎の渦は蓮華の花と成り、辺りを焼き尽くす。
どうやら空振りのフリをして地面に魔力を流していたみたいだ。
炎が収まるとカイイの姿はそこに無かった。
「風断ち!」
風の刃が紅蓮にぶつかり、後方へと吹き飛ばされる。
「「「おおー!!!」」」
「流石カイイ!」
声援は歓声に変わり、更にクラスは沸いている。
「これが俺達にも起こればいいのにな。」
「それを願うには、余りにも私達は嫌われすぎたわね。」
二人はお互いを称え合い、握手をしている。
「次は!凛と穂叢円火!」
その名前が出るやいなや、クラスは静寂に包まれた。
「うっし、格の違いを見せつけてやるか。」
「間接的に鬱憤晴らしね。」
俺は刀を一本挿し、紅蓮達と入れ替わる。
「元の位置!!!」
今までの戦績は13勝35敗1引き分け。
今日で記念すべき50戦目だ。
「始め!!!!」
さて、どうやって攻めようか。
円火の名指し、微睡みの桜花。
利き手の血管が変化して出来る、大気にあるマナを魔力にする器官、魔力回路を拡張する魔法。
一分咲羅から満開の十段階に分けられている。
長期戦闘より短期決戦だ。
魔力回路を一気に拡張すれば、また光梨と同じ結末になる。
それを知っているあいつの事だ、高く見積もって五分になるだろう。
「疾風の太刀。」
剣を素早く振り、擬似的な風断ちを撃つ。
「五分咲羅。」
朝よりも火力が高い。疾風の太刀は跡形もなく相殺された。
流石の火力だな。
俺は親指と人差し指で円を作り、その他の指を立てる。
「天の木漏れ日。」
第四階梯の陽属性魔法。放たれた光は熱を帯び、地を焦がす。
当たるのは危ないと判断してか、円火は避けることに専念した。
二つの剣先から火を吹き、加速しながら器用に走り抜けている。
「六分咲羅。」
「硝煙。」
「漆鉛。」
「螺旋の風。」
「緋天の弔い!」
体を巡る炎が肥大し、辺り一帯を燃やし尽くさんとする。
これは容赦ないな。準第六階梯の炎魔法、緋天の弔い。
「舞十技一番鳥の舞、」
目と鼻の先に膨大な炎が迫る。
「千鳥!」
なんとか足をバタつかせ、範囲外へ逃げることが出来たが…
「うぉおお!」
「熱っ!やべぇ離れろ!!」
やり過ぎだな…
二振の刀が打ち付けられた地面は抉れ、高熱によってマグマのようにドロドロに溶けていた。
「例の師匠さんの技?速いじゃない。」
「それ、当たってたら死んでるぞ俺。」
千鳥を見せたのは初めて。というか夢幻さんと出会ってから円火とは戦っていない。
コイツ、本気で殺るつもりだな。
「久しぶりで少しテンション上がってるの。付き合ってよね?」
間髪入れず円火は再び魔法の準備をしている。
「そこまで!!」
続行は他の生徒や施設に影響が出ると考えてか、その一言で俺と円火の模擬戦は終了した。
「どうやら、記念すべき50戦目は引き分けみたいだな。」
「そうみたいね、知らない間に追いつかれてきてしまったわ。」
違う、試しに魔法を使ったが明らかに威力が上がっている。
氷結でさえ滝を凍らす程だ。
前の自分なら当たっても六分咲羅状態の円火には、掠り傷にもならないだろう。
後から聞いた話、その時の俺の髪はより白色が混ざっていたらしい。
何処かで、否。これは只の現実逃避だ。
俺の耳元で、リンと鈴の音がした。
その日の夜は夢を見た。
明るいような、暗いような。とにかく分かることは前に何があるのかもわからない不思議な空間にいた。
それでも、前に誰かいるという事だけはわかった。
穏やかな声で、聞き慣れた気がする声で、初めての聞いたロックバンドのように鮮明に残る声で、こう言った。
「私の名前はーーー」
またリンと鈴の音がした。
紅蓮「次回予告のコーナー。ドンドンパフパフ。」
凛「特に書くこと無い。なんて理由のせいで早くもネタ切れだな。別に前のも面白くないが。」
円火「ヘブ◯ンみたいにしようかな。とかも思ったらしいけど、なんか気恥かしくなったらしいわ。」
紅蓮「確かに、劣化版西◯先生だもんな。」
凛「作者が勉強の出来ない中坊だからな。しょうがない。」
紅蓮&凛&円火「………」
アイシス「次回、No.2真意の先。安心しろ、ノートの口にタオルを突っ込んできた。」
ノート「フィ回もフォ楽しフィに!」
凛「ぺ◯ぱみたいになってる…」




