No.25'裏返り翻し
No.25で書くのを忘れた、もとい書き足したほうがいいと感じた内容を番外にする予定が長くなったのと独白っぽく無いのでこうなりました。
転移魔法、春間の血族にのみ現れる特殊魔力回路によって可能となる時空属性の魔術と魔法。
春の国69代国王、春間百足によって空間と空間を繋ぐ転移魔法は完成された。
その後転移魔法の魔法石を作り本来であれば転移の方法は魔法の刻印以外にあり得なかった。
ノート・キーパーとアイシス・ハルマが誕生する前までは。
ノート・キーパーの名指し、万有の印は自身が作り出す本に指定した魔法の魔法陣を閉じ込める能力。
制約は本のページ数と1ページに一つの魔法しか使えないことであるが、この力によって魔法使いの歴史が大きく動くことになった。
アイシス・ハルマは春間の一族ではあるが、分家であるハルマ家のため、空間を繋ぐ程の力は持っていなかった。
アイシス・ハルマの転移魔法は少し複雑な為、今ここに記すのは辞めにしよう。
要するに何が言いたいのか、それでも尚転移魔法の魔法石は高価で貴重なものなのだ。
故に余程緊急事態でなければ使うことはない。
それ故、転移魔法の魔法石を使用したときには、ギルドはそれを感知するように作られている。
では、私の独り言と説明はこのくらいで終わりにしよう。
「夢幻さん!たった今オーガの里跡地から夏の国第一国門への転移を確認しました!」
ギルドの一階にある受付の奥の部屋で声を大きくし報告をする、それを聞く二人の女性がいた。
「鬼?あそこは少し前に私が殲滅したはずだが…」
表情を変えず思考する女性、灰神楽夢幻。
夏の国の最高戦力である彼女はAランク以上が複数名必要とするクエストの人員削減でしか仕事は与えられていない。
それ以外は緊急事態に備えるためギルド長を務めている。
「今回は周囲の魔物が高い魔力の痕跡を持つオーガの里に集まらないようにするための哨戒任務だったのですが、」
「成る程な、決闘に時間を割いたせいであそこらへんの魔族、ギアスあたりにでもやられたか。」
先読みをし一人納得する夢幻だったが、その予想は大きく裏切られることになる。
「いえ、最後に決闘が開かれたのは一ヶ月前です。それに恐らくは例の異常気象の元凶とギアスが共存できるとも思えません。」
夢幻はまた何かを察したように天井を、春間輪回の居る王室を見つめていた。
時間を少し戻そう。
五騎と文殊が二回目のトラブルを起こし、五騎が退散した後の話。
後の、とは言うが時間的には前の話。
決定的にこの世界が変化した話だ。
黒い少しセクシーなドレスを身に纏い何色かとはとても形容し難い色の髪を靡かせ、ハイヒールで闊歩する。
国外、要は夏の国に長年住んでいる人で無ければただの変質者か露出狂に見えるであろうその女性。
夏の国現国王、春間輪回。
本来なら城に住み、城下町や国外と繋がる一番大きな門から一直線に伸びる大通りを歩くのであれば、彼女は終着点である水無月城から歩き始めるのだが…
今回は真反対、門の方から彼女は現れた。
コツコツと整備された硬い道をヒールの先端で叩く音は、夏の国に多く取り付けられている全ての風鈴に負けじと応戦している。
そのくらい彼女の存在感は強かった。
魔法において全世界で三本の指に入る実力者である彼女にとって必要のないはずの場所、
老婆といえば失礼だが年を召した女性一人で経営する然程繁盛はしていない薬屋。
輪回はそこで足を止めた。
「やぁ、フィール。元気しているかい?流石にそろそろ一人の経営は厳しくなってきたんじゃあないかな?」
表向きはにこやかに国民を気遣う賢王に見えるが(服装は個人の自由とする。)事情を知る国民やフィールにとってそれは嫌味ったらしくとしか感じない光景だった。
「何さ、久しぶりの客人かと思いきやあんたかいな。」
木を隠すなら森の中というが、彼女の年季の入った年相応の顔にはっきりと変化がわかるほど眉間にシワが寄ったのがわかる。
「酷い事をいう、私は一応この国の王なのだぞ?」
「だから嫌いなのさ、まだ引きこもっていたから良いものを…」
はぁ~とため息を付き椅子に深く腰を下ろし、胸元を漁ろうとして手を止めた。
「あんたと居ると嫌ね、昔を思い出すわ。」
「気の所為だろう、私はまだ二十歳だ。」
「二乗するのを忘れてないかい?」
「そう思うなら年上を敬うのはどうだ?」
「健脚なら御老体を労りな。」
あんたみたいに皆暇人じゃあないのさ。
そう付け加えてフィールは裏口から何処かへと行ってしまった。
「まて、アトモスフィア。」
閉じられた扉から音が返ってくることはない。
「言い忘れていた、今日ここでトラブルが発生する。
店は閉まっておけ。」
輪回もまた、そう言い残し城へと戻った。
髪とドレスは揺れるも、その場所の風鈴が鳴ることは無かった。
「成る程な、相変わらず気まぐれのくせに過干渉だな。」
「いやはや、理解が早くて助かるよ。」
「皮肉でもない単純な悪口を無視するな。」
転移魔法の発動の報告を受けてから二十分後、夢幻と輪回はまた謁見の間で話をしていた。
「まぁ、やはり今の私であってもこの世界の法則には逆らえないようだ。」
いつもであれば王座に深く腰を下ろしているはずだが、今の輪回はそうではなく鼻歌を歌いながら服を選んでいた。
「今回の転移魔法の発動は、まぁ十中八九凜だろうな。」
「おや、やはり分かっていてその態度なんだな。
凛に何かあるたびに大騒ぎしていたというのに、人は成長するものだな。」
「お前は何時までも若くていいな。」
湯呑みを傾けお茶を啜る音が鼻歌と混じる。
「どうせお前も、然程歳は取らぬであろう?」
鼻で笑いながら満足したような顔で王座へと足を運ぶ。
結局服は変えなかったみたいだ。
「それは皮肉か?」
夢幻の質問に輪回は目を開けてから悠然と答えた。
「いいや、既に起こった未来だ。」
リンという風鈴の音が今日は少し鈍く聞こえた。
覚えているか、見ている人がいるかは知りませんが
恐らくNo.がまだ一桁の頃、凜の魔法の特訓をするシーンでノートの名指しをノートと記述していましたが、一応解説です。
魔法陣を閉じ込める本を呼び出すのがノート、
魔法陣を閉じ込める魔法が万有の印です。
こういうのも含めて最終話を書き終えたらストーリー解説を投稿する予定です。
話が分かりにくいのと単純に文才が無い弊害。




