No.11 鉄は熱いうちに
初投稿でテンションが上がって急いで書き上げました。
物語的にはまだまだ序盤です。このまま誰も見てなくても勝手に悠々自適に続けます。
今回は設定の説明が主な目的です。可能な限り頭に入れてくれると嬉しいです。その前に読んでいただけるだけでも嬉しいです。急いだ分読みにくい分になっていたり、誤字があると思いますが一応チェックはしております。引き続き鈴音をよろしくお願いします。
また似たような夢を見ていたようだ。
「痛っ」
左腕には包帯が巻かれていた血が滲んでいない。布団に汗も染み付いていないし、服は着替えられていた。
「夢幻さんにまた迷惑をかけてしまったな。」
「そう思うならまず変な行動をしないでもらいたいな。」
タイミングよく灰神楽夢幻は現れた。気配もなく。
「ちょうど目覚めたようだな。間が良いことだ。」
夢幻さんは今笑っているのだろうか、怒っているのだろうか今は合わせる顔がない。
「おい凜。人が話をしているのだから顔を見たらどうだ?」
「すみません。」
「私は面を上げろと言っているのだぞ。」
意を決し、私は顔を上げることにした。
「その…って何ですか急に!!」
上げた直ぐ側に夢幻さんの顔があった。というかでことでこが触れ合っていた。
「なんだ急にはこちらのセリフだ。熱が測れないだろう。」
いくら恩人とはいえ、綺麗な顔が近くにあると流石にドキドキする。
「熱は無いです、というか体温計とか無いんですか!」
「すまないが私は魔道具の扱いがヘタでな、すぐ壊れてしまうのだよ。原始的だがこの方法しか無い。」
一見は体験に如かずとでも言うのか。真面目で清楚な見た目だが天然ボケの属性が入っている。
昨日の事は触れてこないらしい。そのまま私達は朝食を食べていた。
「そうだ凜、またお前が家出をすると私の胃がもたない。」
そんなことはないらしい。思いっきり踏み込んできた。
「そこでだが私とノートの二人でお前を鍛えることにした。」
「修行、ということですか。」
「あぁ一先ず私達の目標は真名とフェイトに会うことなのだが、真名はまだしもフェイトはそこそこ面倒なのだ。」
ということで、朝食を食べ終え私達は道場のような部屋で木刀を振っていた。
「一から教えるつもりだったのだが、素振りは完璧だな。」
妙に木刀が手に馴染む。記憶を失う前にやっていたのだろうか。不思議な感触だ
「そういえば、ギルドの団員は剣を持っていない人がかなりいましたが、あの人たちは何で魔物と闘うのでしょうか?」
「ん?あぁなるほど魔法使いのことか。すまないが私は魔法が殆ど使えなくてな、詳しくは後でノートに聞いてくれ。」
そういえば彼女も武器を持っていなかった。
「よし、素振りはもういいだろう。」
なかなか疲れるものだ。何回振ったのかも覚えていない。
「次は今の素振りのように私にその木刀を当ててみろ。」
「全力で、ですか?」
「全力で、だ。」
目が本気だ。本当に大丈夫だろうか。もちろん昨日の出来事から夢幻さんの実力は知っているが、私との距離は二メートルもない。
「じゃあ、行きますよ。」
ハッ!という声と共に私の振り下ろした木刀は夢幻さんの肩に当たった
ように見えた。実際は手応えが全くない。
普段から足音がしないが今回は本当に認識出来ぬまま、夢幻さんは私の背後に回っていた。
「これが今からお前に覚えてもらう体術、舞十技その一番鳥の舞、千鳥だ。」
何が起こったのかも分からなかった。私にこれができるのだろうか。
しばらくの間、夢幻さんからやり方を教わり攻撃を避ける練習をし続けていた。
「なっていないな。避けるだけではない、当たったように見せることが大切なのだ。でなければ千鳥なんていう名前はつかない。」
千鳥は怪我を負っているように見せかけて歩くらしい。その様子から千鳥足という言葉も生まれている。
「それは、よく、分かり、ました。」
はぁはぁと息を切らし私は床にうつ伏せになっていた。
何処か懐かしい。
竹刀とはいえ、肩をそれも同じ位置を正確に何度も叩かれてはたまったものではない。
「今日で千鳥を覚えてもらうつもりだったのだが、しょうがない。時間も時間だ、昼餉を食べたらノートのところに行こうか。」
そしてまた少し後になる。
私達は昼食を食べ終えノートさんのところに向かった。
(今まで心の中では呼び捨てだったのは秘密だ)
「おやおやいらっしゃい。やぁ凜くん今日もいい顔してるねぇ。」
「セクハラで訴えるぞ。」
「あ、むーちゃん来てたんだオハヨ。」
この人は基本的にこんな感じなのだろうか。
「はぁ、まぁいい。凜、改めて紹介しよう。ノート・キーパー夏の国防衛団、通称ギルドの団員で普段からこんな感じだが、こと魔法に関しては右に出るものは少ない。」
「グヘヘヘ///今日は手とり揚げ足取り教えてあげるよ。」
何故急に口喧嘩で面倒な子供みたいな事をしようとするのだろう。いや、考えてはだめだ。きっと本気で間違えているのだろう。
「じゃあ私は棘に約束を取り付けてくる。」
そう言い残し夢幻さんはこの場を去った。
二人きりで気まずくなる。そんな事はやはりなかった。
「じゃあ早速魔法の練習をしようか!エイエイオー!」
「オー?」
魔法の練習をするのに室内なのだな。と思いながら私はノートさんの対面に座った。
「じゃあまずは魔法がなにかについて話そうか。
少し長くなるから覚悟して聞いてね。
まずこの世界の始まりは何からだと思う?はい、凜くん!」
早速話が途切れた。
「ええと、大地でしょうか?」
「ブブー!不正解。正解は何も無いの。無がそこに有る状態。」
無が有る。哲学の話だろうか。
「この世界には神という存在がいるの。例を上げると、想像や有の神春、無の神無音、太陽の神天照、月の神月詠、星の神天津とかね。その神々の中でも最初に誕生したのは春と無音なの。無が有るから無と有の神が生まれたんだ。
あぁそう、さっきから神って言ってるけど、概念につく付喪神で神がいるから概念として世界に残るんだよ。」
頭が痛くなってきた。
「ええと、つまり箸があるということは同時に箸や食器の神がいる証拠ということですか?」
「ん?どゆこと?私本の内容言ってるだけだからよく分かんない。」
心配になってきた。いや、本の内容を読んでいるだけなら逆に安心か?というか本を読まなくても内容すらすら言えるくらい記憶力良くて何故ここまで!?
「まぁ取り敢えず話を戻して。
最初に生まれた無音と春は真逆のようで密接しているんだ。無は何もないのにそこには無が有る。そんな矛盾から生まれたのが、二体の龍。秩序の龍巴、混沌の龍数多、この二体の力で今も創造と消滅の相反する現象は起こり続けているんだよ。」
「ちなみに、その話は今何に関係しているのでしょう?」
私と違いノートさんは余裕たっぷりといった感じだ。
「焦らない焦らない。本題はこれからだよ。神は概念そのものではなくてその事象を術式化した一つの魔法なんだ。
ここで大事なのは神の力と私達の魔法は似てるけど名前が違うんだよ。神が行うものは神秘、神の力を借りて人が同様の力を使うことを神の御業、魔力を使い魔法陣や魔道具を使って事象を引き起こす事を魔法、魔力を使う事を魔術って言うんだ。」
尚更分からなくなってきた。
「分からないって顔だね。よく鏡で見るから私にはわかるよ。」
そんな事で誇らないでほしいがその通りだ。
「そういえば魔力って結局何なんですか?よく耳にしますが。」
「大気にあるのがマナ、魔力の器と魔力回路を通して作られるのが魔力だよ。」
成る程、習うより慣れよってことか。
私は外に出て魔法の修行をすることになった。
次も気分です。というか受験生なので、上げるのが来年度とかになるかもしれません。