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鈴音  作者: R a bit
臨界transcendence
10/57

No.17プレリュード

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り」

「何も言わなくていいよ。」

私は紅蓮の言葉を遮った。これ以上自分を追い込んで欲しくはない。

「悪い、いや申し訳ない助かる。」

完璧な最敬礼だ。上名があるのだから育ちも良いのだろう。

「そういや、よく綾命あやめから逃げられたな。」

「ん?まぁ話せばどんな人もわかってくれるってことさ。」

「謙遜するなんて謙虚だねぇ。」

耳元で声がした。振り返るとまたもや綾命が居た。

「凜の分を考えてもポイントが200足りないと思ったらやっぱ逃げられてたか。よぉ今まではしぶとかったのに、僕からは逃げるんだ?」

明らかに円花まどかと綾命の紅蓮に対する態度は冷たい。

「昔の事は良いだろ、俺は新しく変わり続けてくんだよ。」

「それが変化した結果か?ならお前は相当な戯け者だな。」

「るせぇよ!俺だって、」

「受験者全員の結果の集計が終了した!これより三次試験を始める!」

相も変わらぬ試験官の怒声のような声によって二人のやり取りは強制的に終了した。


「三次試験って面接なんだね。」

「まぁ一応上層部に元騎士団の爺さんとかが居るし、何でもかんでも実力主義じゃ無いって事だろ。」

私達は三次試験の会場となっているギルド、夏の国の城(水無月城というらしい)に向かっていた。

到着すると予想外な事が起こった。

面接、本来面接官と受験者のみで行うはずなのだが…

「今回は一段と人数が少ねぇな!」

「おい誰だよ試験官!綾命が居るぞ出禁にしとけ!」

「ねぇ、あの子好みなんだけど声かけていいかな?」

「り〜んく〜ん!私も見守ってるよ〜。」

そこはギルドの一階の中央。受付の近くにあるため作戦会議をし、食事などをする場所。二階に上がる階段は螺旋構造の為、上からも見える。要するに一番目立つ場所に私達受験者四人は座らされていた。

既にギャラリーの声が凄い。そして知人、いや痴人が居る。

「それでは!これより三次試験を開始する!」

この人はやはりうるさい。

「初めの質問だ!ギルドへの志望理由はなんだ?俺から見て左から順に答えろ!」

「親を見返すためです。」

「自分の人生を、肯定する為です!」

左から、つまり円花と紅蓮が言った。次は私か。

「私は、恩人に恩を返す為です。」

「殺しても魔族や魔物なら誰も文句を言わないから。」

「ふざけんなぁー!」

「お前人も殺すだろ!」

「一生タダ働きしとけ!」

綾命だけギャラリーからブーイングを受けている。当の本人はニコニコしているのが余計怖い。

「次の質問だ!もし今眼の前で誰かが魔物に襲われていたらお前らは最初に何をするか!順番は常に変わらない!」

「周囲を確認します。他に人がいないかとか、敵が罠を張っていないか等。」

「俺はいち早くその人を助けたい。自分を犠牲にする覚悟は試験に来るときに決めてきた。」

「私も可能な限り迅速に人を助けたいです。」

「魔物がそいつに攻撃する隙をついて殺す。使えないならそいつも殺す。」

もはや言葉ですら無い罵声が轟く。

「次の質問だ!確実に勝てない敵に出会ったときお前らはどうする?一人の時と複数人の場合を答えろ!」

「一人ならその時のために転移の魔法石を持ち歩いてそれを使います。複数人でも変わりません。」

「一人ならそこで死ぬ、複数人なら俺が囮になる。」

「一人なら第一に逃げることを考えて不可能ならそいつの情報を残す事を試します。複数人なら多分私も囮になります。」

「殺す。」

もはやわざと周りを掻き立てているようにしか見えない。

「最後の質問だ!この場にいる団員の中で自分はどのくらいの実力だと思っている?」

「Bランクの中位くらい。」

「Eランク。」

「実戦経験はあまり無いので今はわかりません。」

「上から四番目。」

ギルドはS〜Fまであるため円花の発言はかなり強気なのだが綾命も同じく誰も文句を言わない。実力は評価されているのだろう。

「よし!ギャラリー共!お前らへの質問だ!」

試験官はその場にいる団員に問いかける。

「こいつらに自分の命と国を預けられるか!?」

「「「オオオォー!!!」」」

「四人の入団を認める!」

私達四人をむさくるしい雄叫びが祝福した。


入団試験が終了しパーティへの勧誘が始まった。

既に円花は4つのパーティから紅蓮も同じく二つパーティから声をかけられていた。

綾命は、アイシスと話をしている。一対一ということはただの雑談なのだろうか。

同様に私も一つのパーティから声をかけられていた。

「凜、久しぶりというか私達の事覚えてる?」

「ナイトさん、三年ぶりですね。」

声をかけてきたのは三年前出会ったギルド団員、ナイトだった。

「もしよかったら私達のパーティに参加してくれないかしら?」

「俺もできればそうしてほしい。少し事情ができた。」

「僕もお願いしたい、初対面で押し付けがましいだろうけど。」

歩きながら本に夢中になって何処かに行ってしまうウィンドも本を閉じている。余程大切なことなのだろう。

「あまり大きな声で言えないけど、私達は貴方が試験を受けている時、延々雪林にいたの。貴方は先に囁きの森に戻ったから知らないだろうけど、綾命は私達に気づいていた。」

話した内容は要約すると綾命に襲われはしたが命は取られなかった。それも紅蓮や円花を逃さないため急いでいたからで、試験中でなければ殺されていたかもしれない。

私と綾命の攻防を見ていたから戦力としても私が綾命に気に入られていたこともあり、その対策として迎えたいらしい。

「私の師匠?に当たる人には自由にしろと言われているので大丈夫ですよ。これからよろしくお願いします。」

「本当!?助かるわ〜。」

握手をしパーティに入ることが決まった。

「改めて自己紹介するわね、私はナイト。ランクはAで得意な魔法は陰と陽。よろしくね。」

「俺はバーンライト、Cランクだ。基本は魔術で戦うが得意なのは炎魔法だな。」

「僕はウィンド、Cランクで一応このパーティ、文殊のリーダー。魔法は得意なものも苦手なものもない。器用貧乏ってわけでもないけどね、補助が基本的な仕事かな。」

「凜です。氷魔法が得意ですが、基本的には剣で戦います。よろしくお願いします。」

自己紹介を終えた私達は軽い歓迎会を行い明日から行動をともにする事になった。

今は既に帰路についている。

家には夢幻さんとノートさんが酒を呑んで既に酔っているようだった。

「あ〜凜くんおかえり〜。」

「凜、悪いが収納から酒を持ってきてくれないか?今歩くと倒れる気がする。」

基本的に夏の国は温暖な気候だが夜はよく冷える。

今夜は鍋だったようだが既に鍋は雑炊に変わっていた。

「…お風呂焚いてきます。」

「!?おい凜、ちょっと待て、一応お前が主役なのだぞ?」

「ぐがぁ〜zzz」

あれはもう駄目だな、後で水を持っていこう。

夢幻さんは一見クールビューティーなのに何処か抜けている

ノートさんは見たとおりだ。

食器は、洗っておくか。

パチパチと薪が破裂し風に吹かれて炎が揺れる。

マツムシと風鈴の音が闇夜に溶ける。

今日は星が綺麗だ。

流れ星が三つ流れる、願い事は咄嗟には出なかった。


夢を見た。三年ぶりにあの夢だ。

どこかの森に居た、誰かの叫び声が聞こえた。

泣き声は嗚咽混じりで言葉になっていない。

血の匂いが鼻腔をくすぐる。

匂いの発生源は…

「お前、名前は?」

今度は自分の声だった。

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