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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
91/107

90話

数時間前。


先生達に不法侵入で取り押さえられた健大は隙を見て逃げ出し

ていた。


先生を振り切ると隠れてやり過ごした。


「あいつ……逃げやがって……」


手に持った凶器を握りしめると空いてる窓から教室へと入った。

ちょうど生徒達も下校して静かになっていた。

私服で歩きまわると目立つと思い、部活動の部室へとやってきた。

不用心にも鍵がかかっていないのをいい事に中に侵入した。


自分と同じ体格そうな生徒の制服を拝借すると着替えて何気なく

学校内を彷徨いた。


窓の外を先生が駆けずり回っていた。

横を通り過ぎても気づかれない。


「間抜けなやつだな………」


探すは憎っくき相手、静雅だった。

さっきは簡単に逃げられたが、今度こそ逃がさないと意気込んだ。


さっきのゴミ箱に2ーBと書かれていた。

教室に向かったが、ゴミ箱は空っぽで置かれている。

もう戻ってきて下校したかもしれない。


いや、そうとも限らない。

静雅の行きそうな場所など察しがつく。


女子生徒がよく言っていたのを聞いた事がある。

雅という生徒と一緒によく保健室にいると…


すぐに保健室に向かった。

そっとドアを開けると誰もいないようだった。

チッと舌打ちをすると出て行こうとして足を止めた。

奥には荷物が置いてある。

なら、すぐに戻って来るに違いない。


奥に隠れると、誰かが入ってきた。

迷いなく奥へと歩いて来る。


「静雅あぁぁーーー!!」


大声を上げると飛び出して襲いかかっていた。

目の前に来た生徒に手に持っていた包丁を突き立てるとズブッ

ズブッと肉を割く触感が伝わって来る。

熱い液体が飛び散り、顔にかかる。


目の前が真っ赤になって染まっていく。

馬乗りになると怒りに身を任せて刃物を引き抜くと再び刺して

いた。

さっきチラリと見た鞄には静雅が持っていたキーホルダーが付

いていた。

それが3人でお揃いで買ったものだとは知らない。


そして再び振り上げた時、入ってきた養護教諭によって阻止され

たのだった。


「なっ………なんで……」

「これ以上は許せませんね…ここで一体何をしているんです?」


冷たい視線に独特な殺気。

どこかで同じような殺気を向けられた気がする。

だが、覚えてはいない。


あっという間に取りおさえられると救急車をよび、警察にも連絡

がいく。


血まみれになった伊東の身体からは大量の血が流れ出てきていた。

応急処置はしたが…助かるのは難しいだろう。


雅からの着信に出ると事情を説明し、ここには来ないように言っ

ておいた。

校庭に入ってきた救急車に手を振ると運んでもらう。

チラリと目があった空き部屋には亮太とその腕のなかには静雅が

こちらを見つめていた。

和泉先生は目を伏せると、白衣をひるがえし保健室へと戻って行

った。


「はぁ〜誰が後片付けすると思ってるんですかね〜…全く……」


警察が来るまではそのままで。

分かってはいても嫌になる。

この血の匂いの充満した空間では自分が昔の自分に戻った気分に

すらさせる。


「もう手を汚す事はしなくていいはずなんですがね〜」


昔はそうではなかったかのような言い方に窓を開け放ち匂いを薄

めたのだった。


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