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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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84話

数人のグループで真実を追求してやると怒濤を組んで2年の教室へ

と向かった。


きっとヤクザの息子というだけあってどれだけ厳ついのだろうと考

えていた。

が、実際見てみると、見るからに弱そうな線の細い青年だった。

一見おとなしそうな印象をうける。


どう見ても威張り散らすような性格には見えない。

2年が修学旅行中に張り出された写真ではもっと堂々としていたし、

周りの画像も今からカチコミかけます的な印象を受けた。


実際の人間とは全く逆の印象を受ける。


それに、クラスではもう一人の弱そうな青年に写真が合成だと指摘

された。

さっき見た写真だというのに、本物かどうかを見抜ける目を持って

いる事にも驚かされたのだった。


それだけ友人を信じているのだろう。

となれば、噂の出所の方が怪しくなるというものだった。

あの日は1年と3年しか登校していなかった。


「あの写真が合成なら…あの野郎か?」

「マジか…それだとまずくないか?」

「あいつの親って…逆らうと俺は親の事もあるから無理だぞ?」

「だよな〜、この辺りに住んでる奴だとみんな逆らえないよな〜」

「…いっそさっきのが、ヤクザの関係者だったらよかったのにな〜」

「確かに、きっと簡単だっただろうな〜」

「ちげーね〜」


笑いながら食堂に向かった。

が、意外な人物に呼び止められた。


「先輩〜、ちょっとお話しいいですか?」

「ん?これは2年のイケメンくんじゃねーか?女でも紹介してくれ

 るってか?」

「俺は…さっきの写真について聞きたいんですよ」


イケメンで知られた雅は先輩からもよく知られていた。

3年の女子が何度か騒いでいた事があったからだ。

誰が告白しても、全員が振られたとあってか、今は見守ろうの会が

作られたくらいだった。

後輩でも抜け駆け禁止となっているらしい。


毎日のようなラブレターは也を潜め、卒業前にアタックを許される

という謎のルールまでできたらしい。


「君には俺ら興味ねーんだけど?」

「俺にはあるんですよ、先輩。付き合ってくれますよね?」

「女紹介してくれるんならいーぜ?」

「なら、話は簡単ですよ。行きますよ?」


そう言って校舎裏の人が居なそうな場所に来ていた。


「おーい、イケメンくーん、話ならここでもいいだろ?」

「そうですね。ここならゆっくり話せそうですね。」


振り向いた顔は笑っているが、内心イラついてもいた。


「写真を出した犯人に心当りがあるようですね?」

「まぁ〜、こんな下手な事する奴なんざ、一人しかいねーだろ」

「だったらそっちをシメにいくんですか?」

「いや……それは…無理だろ」

「だよな〜あいつに手を出すのはなぁ〜」

「俺も、そればっかりは…」


口々にいうあいつとは、大体の想像はつく。


「これ、見ます?」


それは一枚の写真だった。

そこには児童養護施設の名前とそこに居る子供達が写っていた。

その中には彼らの見覚えのある人物も混じっていた。


「これって、あいつじゃねーか?」

「あれ?でも、児童養護施設って……」

「やっぱりですか…理解しましたか?貴方達が恐れているのは親も

 いないような人間なんです。養子として貰われたとしても、問題

 を起こせばどうなるか分かりますか?本当の親じゃない人をいつ

 までも庇い続けると思いますか?」

「それは………」

「もう一つ、いい事を教えましょうか?」


こいつら上手く使おうと思ったのか、あからさまに他の情報を教え

てやる。


「こういう方法もありますよ?そうすれば貴方達は被害者。被害者

 ならどうこうなる心配もないですよね?」

「確かにな……」

「いつも威張ってたもんな?」

「俺らで退治しようぜ!」

「そうだな」


意気揚々としているのを見守ると雅亮太はその場を離れたのだった。

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