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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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80話

警察が到着して事情聴取をされるまで、全員がバスで待機となった。

あの後、雅も戻って来て今はバスの中で大人しくしている。


伊東は自分の直感を信じて正解だと思っていた。

もしあそこでトイレの中に入っていたら?

もし、途中で他に客がいる事に静雅が気づいて話した時に、咄嗟に貸

し切りだったことを思い出していなかったら?

もし、トイレに行くと行った時、一人で行かせていたら?


雅くんが仕切りに警戒していたのを思い出して、自分でも警戒する様

になっていたから気づけた事だった。


普通に生活していたらこんな危険な目に遭う事はないだろう。

前にライブ会場に火の手が回った時もそうだった。


波戸崎からもらったチケットも、ぬか喜びで終わった。


きっとこれから荒川くんの友人で居続けると言う事は、そう言う事を

何度も目の当たりにすると言う事なのだろう。

ただの高校生の雅くんが人を簡単に殺した事もそうだった。


顔色ひとつ変えやしない。

言動から言って、もう何人も手にかけているような話ぶりだった。


隣にいた荒川くんは、きっと知らなかったのだろう。

自分以上に怯えていたし、怖い目にあったのだ。


狙われているのだから仕方ないかもしれないが、臨海学校の時の事

も全く話には上がらなかった。


攫われて、雅くんが助けに向かったとは聞いていたが、最後は帰っ

てこなかった。


帰ってきた雅くんは怖いくらいに殺気だっていたし、荒川くんは

怪我で病院にいるの一点張りだった。


後で荒川くんは病院には行ってないと言っていたので、きっと学

校側にいう言い訳だったのかもしれない。


家で部屋にこもっていたと聞いた。

そのあとは少し様子がおかしかったが、すぐに元に戻った気がし

ていたが、そうではなかったのかもしれない。


雅くんが荒川くんを特別に思っているのは見ればわかる。

主従関係というよりは…むしろ……

逆に荒川くんからは、ほのかな恋心を感じるのだが、彼自身が否定

している感じがした。

何か壁を作っている気がする。


彼の生い立ちは簡単に聞いている。

親を亡くして孤児院に行って、お祖父さん引き取られたと言っていた。


それがヤクザの組長で、唯一の孫だからか、命を狙われている…と。


伊東の父親の友人が荒川の父親で、それを知ったのはつい最近だった。

伊東の父親が亡くなった原因はヤクザの抗争だった。

巻き込まれる形で父は亡くなったが、それでも後悔はしていない。


自分の意思を貫いた結果なのだ。

なら、伊東自身も思う。

自分の意思を曲げてはいけない。

信じると決めた人を、裏切っちゃいけないし、そんな人間にはなりた

くはない。


父の墓前に誓った事を貫くのだと!

いつか自分も立派な警察官を目指す為にも、周りに大事な人を守れる

ような力を持たなければいけない…と思い始めていた。


事情聴取のせいで帰りのが夜遅くになってしまった。

犯人は見つからず、死体も無かったらしい。


爆破に巻き込まれた数人が重症だったらしいが、今は病院に運ばれて

安静にしているらしい。

聞かれた事は、爆破当時どこにいたかと、怪我はないかとか、気にな

る事はないかとかだった。


唯一気になる事として、食事前に部外者…いや、貸し切りだったはず

なのだが、他に客らし人を見かけたと言っておいた。

荒川くんには少し休ませてあげたかったので、終始一緒にいたので彼

に聞かなくてもいいように答えたおいたのだった。


返り血を浴びた雅くんにはギョッとしたが、今は着替えて普通だった。

さっき手を洗ってくると言って離れた隙に何事もなかったかのように

着替えて来たらしい。


周りもその事は全く話題にもあげなかった。

見ていても、話すほどの事ではないと判断したのだろう。


一介の高校生が何か出来るわけはないのだと、思ったに違いなかった。



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