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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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76話

消灯時間になると、カードをしまって布団の中に入る。

いつもと違ってペラペラの煎餅布団に綿の布団だった。


いつも羽毛布団なので少し重みを感じる。


「安物の布団ですね。全く静雅の分の布団を用意させるべきでしたね」

「いや、何言ってんだよ!そんな必要ねーって」

「雅くんは相変わらず過保護だよね〜」

「ほら、寝るぞ…」


そう言って川の字に並んで寝ることにした。もちろん真ん中は静雅で

その両サイドに伊東と雅が寝る。


うとうととし始めた頃、もぞもぞと後ろから入ってくる気配がある。

なんだろうと寝返りを打つと、目の前にいきなり壁が現れた。


「ん?」

「眠れませんか?」

「はぁ?ちょっ……亮太……」

「しっ………伊東くんが起きちゃいますよ?」


小声で話す声が耳元で囁かれてゾワッとする。


「温かいですね〜、静雅くんの体温…匂いも落ち着くんですよ…」

「おいっ……お前っ……ンッ…」


顔を上げた瞬間目の前に迫った唇に吸い込まれるように重なっていた。

腰に回っていく手に引き寄せられると完全に身体が密着する。


心臓の鼓動が激しく高鳴る。

離れようと踠くが全くびくともしない。


足も絡められると逃げる事すら諦めそうになる。

背中から服の中に手が入ってくる。

こうやって抱きしめられるのも、キスするのも初めてじゃない。

家では何度もしていた。


我慢できない亮太がよく、家族の目を盗んで静雅にしている事だった。

静雅自身も、許していたしじゃれあう程度としか考えていなかった。


尻を撫でるようにして鷲掴みにされると、ドキッとした。


「亮太………冗談だろ……」

「しません……今はね。でも、少しだけ触らせて……何もしないから…」

「…」


そう言って際どいラインを触れていく。

太股から股にと、そして尻タブを揉みながら撫でられる。


眠たくなっていくと同時に寝るはずの心とは反対に身体が熱くなって

くる。


「勃っちゃいました?」

「やめっ……触るなッ………」

「いいですよ、少し出しましょうか?」

「いい……寝れば治まる……」

「治って貰っては困るんですが…」

「ん?」


ズボッと浴衣を捲るとパンツの中に手を突っ込んできた。

隣では伊東が寝ている。


そんなところで何を始める気だ!と怒鳴りたかったが、身体は言う

ことを聞かない。

亮太の手によって扱かれ、すぐにイってしまった。


恥ずかしくて何も出来ずにいると、ムクッと起き上がり手を洗って

きては再び静雅の布団の中へと潜り込んできた。


「なんでくるんだよ…」

「くっついて寝た方が温かいでしょ?」

「そんな事は……」


ないと言おうとしたが、亮太に抱きしめられていると眠気が襲って

きた。

旅行先だったせいもあるのだろう。

普段からあまり深い眠りには付けない静雅だったが、今日は落ち着

いた寝息を漏らしていた。


いつも悪夢にうなされているのを知っている亮太には少しでも安ら

かに眠って欲しかったのだ。

旅行イコール家族の死を目にした彼にとって、いい思い出を作るの

にはいい機会なのだ。


だからこそ、この旅行中は何事もないようにしなければならなかっ

たのだった。

あと一日。

それであとは帰るだけになるのだが…

まだ油断はできない。


朝起きた時には、すでに服に着替えた亮太の姿があった。


「さぁ、起きてください。食事行きましょうか!」

「ん〜、雅くん、早いな〜ふわぁっ〜〜〜」

「静雅くん、起きてください」

「んんっ………もうちょっと……」


耳元で囁くとすぐの飛び起きて着替え始めた。

何か言いたげだったが、それは後で聞かされるだろう。

まずは食事をとってからの話だった。



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