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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
74/107

73話

続々と集まってくると、みんな手には多くのお土産物を持ってい

た。


「そう言えばお土産物忘れてた…」

「旅館でも買えますよ?それに、荷物が増えるとなんなので後で

 まとめて買って送っちゃいましょう」


亮太は本当に気が利く。

先に送る用の宅配の準備も整えていた。

旅館に着くと、鍵をもらった。


ロビーには京都のお土産が所狭しと並んでいる。


「これもいいな〜、これ美味しそう〜」

「味見してみますか?」

「いいんですか?」

「待ってください…無闇に口に入れないでください…」


すぐに亮太が止めたせいで食べ損ねる。

が、横で伊東くんがパクッと口に放り込んだ。


「これ美味しいよ!あっ、こっちもいい!」

「試食は伊東くんに任せましょうか…」

「少しくらいいいじゃん……」

「ダメです!何が入っているかわからないんですからっ…」


断固として亮太は譲らなかった。


「あの〜お客様、当店は安全な商品を……」

「いえ、彼はアレルギーがあって、物によっては大変な反応が出る

 ので…」

「それは…大変ですね、ならやめておいた方がいいかもしれませんね」

「そうします。ほら、いきますよ」

「うぅ……亮太のばかっ!」

「静雅くん!」


鍵をひったくると部屋に走りだす。

もちろん、簡単に追いつかれてしまうが、それでも悔しかった。


亮太にとっては安全確保が大事なのはわかる。

静雅だって、前のように迷惑をかけたいわけではない。

それでも……ちょっとくらい旅行気分を味わいたいし、変わったもの

を食べてもみたいという気持ちだってあるのだ。


食事はバイキング形式で、好きなものを好きなだけ持ってきて食べ

ていい事になっていた。


洋風の料理に浮かれながら色々と取ってきてた口に運ぶ。

どれも美味しくて食べ過ぎてしまいそうだった。


「風呂の時間は食事が終わってからだそうですよ。ここは露天風呂

 があるそうです。ですが、決して一人にはならないでください」

「分かってるって…」

「僕も居るから安心してよ」


伊東くんも一緒に入るのだった。

大浴場には亮太は入れない。

一般の生徒達が入る場所で、背中や肩に刺青がしてある生徒の入浴を

安易に受け入れる場所などない。


亮太だってそれを分かっているので、別の部屋に泊まっている組員の

部屋で個室の風呂を借りる事にしている。


静雅を見張るように脱衣場まで来ると着替えの見張りに徹していた。


「あれ?雅、入らないのか?」

「あぁ、ちょっとな…」

「荒川や伊東は中にいるんだろ?」

「そうだけど、俺は後でいい…」

「一緒に入ればいいだろ?それとも恥ずかしいのか?見せられないよ

 うな大きさなのか?」


なぜ、そっちの事を言うのだろうか?

断固として動かなかったせいで、男子の間ではあらぬ噂が立ったのだ

った。


〜雅亮太のアソコは小さ過ぎて見せれないほどなのだと…〜


あまりに不躾な噂だったので、すぐに女子達の反感をかって鎮静化し

たのだった。

たった数日だけの男子達の話題になっただけだった。

後日、その噂をし出した張本人は女子達によって制裁されたと噂で流

れてきたのだった。




風呂の中では露天風呂を堪能すべくタオルを腰に巻くと少し寒い中を

渡り歩いていた。


「こっちにも露天あるって〜」

「うん、すぐ行く〜」


次々に入っては次の露天へと向かう。


「やっぱり露天風呂って気持ちいいよね〜」

「荒川くんはこう言うのも初めてだったりする?」

「うん…そうだね、でも、家の風呂も結構大きいからな〜、いつも亮

 太のやつが洗うの手伝うってしつこくて…」

「…一緒に入ってるの?」

「えっ…あ、違っ……わないけど…」

「いいよ、隠さなくても。好きなんでしょ?雅くんの事…」

「違う……」


静雅ははっきりとは言えない。

それが近しい伊東くんにも話せない事は多いのだ。


「でも、雅くんは荒川くんの事大好きだよね?警戒心がすごいんだも

 ん。誰にも触らせたくないって感じがさ〜、僕はまだマシだけどさ

 他のクラスメイトにはダメじゃないかな〜。」

「そんな事はないと思うけど……僕は友達作るのが下手だからかな…」

「そんな事はないよ。雅くんは友人として認めないの?」

「それは………あいつは僕の立場に寄り添ってるだけだし…おじいちゃ

 んが言わなかったらきっと側にすら来ないはずだから…」


静雅は自分に自信がない。だから、きっと亮太がなんでもすると言っ

たのは、きっと………


「考えすぎなんじゃないかな?荒川くんは雅くんの事どう思ってるか

 ってさ〜もう答えは出てるんじゃないかな?僕からみたらだけど…

 すっごく好きだって感じに見えるし…そろそろあがろっか?脱衣所

 で待ってるでしょ?」

「あぁ、そうだね…」

「一緒に入ればいいのにね〜いつも一緒なんでしょ?」

「それは…無理だよ。あいつの身体には………」

「あ!そっか。刺青?」

「うん…」

「そう言えばそうだよね〜、荒川くんは入れないんだね?」

「僕は……」


みんなとは違うから。

いや、そうじゃない!

そんな覚悟がないだけなのだ。

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